ピヨピヨ釣日記(2024.8.1~3 閉伊川水系薬師川 オヤジの追悼釣行) 

フライフィッシング

 ディフェンダー日記で書いたことだが、ここでは釣り中心の記録として残しておこう。

 この薬師川は今から45年以上前、小学校の頃に、フライでの初めての渓流釣りに挑戦したことがある川だ。当時は「フライフィッシングでは日本の渓流は無理だ」とまことしやかに言われていた時代であり、小学生だった防人としても、池ではフライで釣ったことがあるけど、川でどのようにやればよいのか皆目見当もついていなかったのである。そこで、ニンフフライ(カゲロウなどの幼虫時代を模した毛バリで、一般的には水に沈むようにウェイトを嚙ましてある)を結び、インジケーター(要するに浮釣りということ。毛バリは水中を流れ、このインジケーターが水面をウキの様に漂うのである。そして、このインジケーターが消し込まれたらお魚さんが毛バリをくわえたとわかるので釣りやすいのだ)を途中につけて、この薬師川を釣ってみたのだ。場所は早池峰山荘の真ん前、現在はタイマグラキャンプ場があるところであった。最初は渓流竿で川虫をつけて脈釣りで2~3匹のイワナを釣ったものだから、これに気分を良くしてフライでもやってみようと思ったのだ。毛バリをポイントに投入する行為を繰り返していくと、ある小さなポイントでインジケーターがピクッと水中に埋没した。無意識に合せを入れると、プルプルプルという可愛い躍動感が竿を通して伝わって来て、人生初の渓流フライフィッシングによるイワナが釣れたのである。サイズは10㎝ちょっとだったと思うが、記念すべき一匹だった。しかし、当時の僕は、この釣り方がウキをつけた餌釣りと何ら変わることが無いと感じてしまい、あまり面白いとは思わなかった。それよりは、湖でシンキングのシューティングヘッドラインで遠投をして、毛バリをルアーのごとく手繰り寄せてくる(リトリーブする)釣り方が好きで、その後は富士五湖や甲府にある龍ケ池(ルアー・フライ専用の管理釣り場で、小学生の頃は良く行ったものだ。武田神社の後方の山の麓にあった)に行くことがほとんどで、渓流フライフィッシングを本格的にやり出したのは名古屋に来てからの事だった。

 その後、大人になって薬師川に一度来たことがある。1997年前後の頃と思うが、パジェロロングの後方座席をフルフラットにして、そこに布団を敷いてベッド化し、奥さんと東北を車中泊で巡る10日間の旅をした時だった。午前中、曲り家や南部鉄器を見て観光し、遠野の猿ガ石川を釣るも不発に終わって、この薬師川に流れ着いたのであった。早池峰山荘より上流にある橋(基幹林道川井住田線)にパジェロを止めて、その橋の周囲でフライフィッシングをしたのだが、簡単にイワナが4~5匹釣れて、そのうちの二匹を夕飯のおかずにして、その場所で一夜を明かしたのだ。早朝も橋の前後を釣ると、再びイワナが釣れてきて、「流石、薬師谷は良く釣れるわい」と思ったものだった。

 タイマグラキャンプ場とその奥に早池峰山荘が見える。夏の日差しに青い空。夏は東北の溪によく似合う。
 タイマグラキャンプ場前の薬師川の様子。昔はここはイワナの領域であったが、現在はヤマメ領域になってしまったようだ。
 早池峰山荘やや上流のバンガロー近くで釣れたヤマメ。
 最近は本当に釣り人が多くなったようだ。キャンプ場周辺のヤマメは極めてシビアだった。
 まさに東北の白い斑点のイワナ君。薬師川のイワナは手ごたえが最高。
 ここはロングキャストで狙ったので、手前の流れの処理が難しかった。
 上の写真二匹はどちらもキャンプ場上の橋(基幹林道川井住田線)の上流側で釣れた。
 反転流に毛バリを乗せて、まわし込んだところでガバチョと来ましたぞ。
 以下の写真は橋(基幹林道川井住田線)の下流側で釣れたイワナ。
 流れの手前で飛び出してきたのだった。
 デップリとして重いイワナ。釣り上げるのに手こずらされた一匹。
 今度は流れの向こう側を狙ったのだった。
 薬師川を釣る"釣りキチ病重症化しつつあるアブナイ防人"。
 橋(基幹林道川井住田線)からの薬師川の眺め。冷たい川の水は夏の釣りには最高!
 早池峰山荘からの眺め。タイマグラキャンプ場、その奥に北上山地最高峰の早池峰山が見える。日本百名山、花の百名山に指定されている。ハヤチネウスユキ草やミヤマオダマキはとても美しい。

 今回久しぶりに訪れた薬師川は釣り人も多く、キャンパーや登山者などもいて、子供の頃に来た秘境感漂う場所とは程遠いところになってしまった。当然魚さん達もスレていて、以前ほど簡単に釣り上げることは出来なくなっている。これなら、名古屋近郊にもっと釣りやすい川はあるわけで、わざわざ、950㎞の道のりをかけて釣りに来る必要はないと思われるかもしれない。しかし、…である。この北上山地周辺ののどかな山並み、そこを流れる川たち、そして、のんびりした性格の東北の人々との語らいは中部圏にはない魅力的なものであり、日頃、中部山岳地帯の厳しい山並みのV字谷のなかで釣りをしている防人には、この上ない安らぎを与えてくれるものであった。だから、今後はオヤジの法要にかこつけて、定期的にこの地を訪れようと思っているのだ。

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