ピヨピヨ釣日記 (2024.6.26 飛騨川水系小坂川・大洞川)

フライフィッシング

 6月26日の水曜日は奥様と買い物がてらどこかに出かけることになっていた。二日ほど前の月曜日、

「今度の水曜日はどうするの?」

と奥さんが聞いてくるものだから、

「アレッ、どこかに一緒に出掛けることになっていたよね」

と返すと、

「それね、仕事が入ったので一日中忙しいわッ!」

とのこと。

「それは残念!仕方がないのでちゅり(釣り)にでも行ってくるしかないかなあ」

と返すと、奥さんはにんまり笑って、

「本当は、釣に行けて嬉しいんでしょう。無理しなくてもいいわよッ」

「いやいや、本当に残念だよ。○×♯◇…。断腸の思いで、防人ッ、ちゅりッ、行きまーすッ」

てな感じで、水曜日早朝、慣れ親しんだ国道41号線を下呂方面に向けてひた走るのだった。一週間前の飛騨川(秋神川)は渇水で全くダメだった。その後、23日の日曜日(この日は、記念すべき”チームさきもり”の第一回Off会であった)を中心に雨が降ったので、飛騨川の渇水状態も改善されているだろうと読んだのだ。それと、飛騨川の下呂を越えた上流域に小坂川という川が流れ込んでいるのだが、この小坂川の支流に大洞川というのがある。この大洞川の出会いの所が、たしか、大きな淵になっていて、そこをシンキングのシューティングヘッドライン(毛バリを遠くへ飛ばすことが出来るフライ用の糸で、沈むタイプ)で狙うと巨大なイワナ、アマゴやニジマスとかが釣れるのではないかという妄想が、先週の秋神川の帰りあたりから頭にこびりついて離れなくなってしまったのだ。まあ20年以上前の記憶であり、今はその淵も埋まってしまっているかもしれないのだが、兎に角行って確かめてみないとこの妄想を鎮めることは出来ず、仕事にも支障が出始めていたので、まずは小坂川の大洞合流点に行ってみようと思ったのだ。

 合流点ギリギリのところまで車で入れる。これは20年前と同じだ。対岸にはお城のような家が建っている。
 ここが大洞川合流点だ。昔は足元に淵が広がっていたが、現在は河原になっていた。川の土砂運搬能力はすさまじい。
 これは大洞川の流れ。この川の源流は御岳山方面であり、かなり奥が深い。防人はこの谷の源流は行ったことが無い。

 大洞出会いに到着してみると、昔は足元から淵が広がっていたのだが、今は河原となり、淵は中央部の方へ移動していた。川の規模的には♯4、♯5の竿(渓流で使うに大きめの竿)が欲しい。はて、防人はそのような竿を持っていただろうか?

 その昔、黒部上之廊下を中心に沢登をして、そこでフライフィッシングをしていた時は、♯0の竿(繊細な竿)と♯5の竿(強力な竿)をリュックの両サイドに装着していた(どちらもセージのセンターアクシスという竿だった)。川の規模に応じて竿を使い分けていたのである。♯5の方にはフローティングライン(水に浮くラインで表層を狙う時に使う)に加えて替えスプールにはシンキングのシューティングライン(毛バリを遠く飛ばせる沈むライン)を装着できるようにしていたのである。その♯5の竿は黒部川の支流である東沢という谷を遡行しているときに、あろうことか紛失してしまったのである。あの時は、毎日雷雨と鉄砲水(渓水が雨によって一気に増水する現象)に悩まされ、更に最源流は雪渓となり、雨に濡れながら登ったため体が冷えて、人生で初めて低体温症を経験したのだった。そんな中、リュックを見ると両サイドに装着していたはずの竿の一つ(♯5の竿)がなくなっていたのだ。まあ、その時は低体温でピヨピヨだったので、竿のことを気にするより自分の体の方に夢中でそれどころではなかったが、下山してから事の重大さ!つまり14万円の竿をなくしてしまったことの後悔が噴出してきたのだった。その後、この手の竿、つまり、渓流の竿としてはかなり強力で、シンキングのシューティングヘッドもそれなりに飛ばせるので湖でもなんとか使えるような竿を購入することはなく現在まで過ごしてきたのである。

 そんな状況なので、

「この淵を攻略するのはいつもの♯0、♯2(どちらも繊細な竿)では脆弱すぎるよなあ」

と思いながら代車ディフェンダー君の後部ドア―を開けてみると、

「アレレッ!♯4のフォーピースロッド(四本継ぎなのでコンパクトに収納できる竿)があるぞ!?一体どうしたことだ?何々、イグ○○○ーとかいてあるぞ」

と不思議な思いになりながらも、その竿を取り出し準備を開始。驚くべきことは、昔♯5に巻いてあったシューティングラインを巻き込んだ新しいリールもあるではないか。であるなら、早速これで淵を攻略するか。投げてはリトリーブ(ラインを手繰り寄せる)を繰り返すが全く無反応。合流点の真ん中に行きたいのだが、そのためには大洞川を徒渉しなくてはいけない。しかし、増水気味(一週間前に比べて20㎝以上の増水!まあ、これが普通ということかな)の大洞川は、現在の衰えた徒渉能力の防人をそう簡単に対岸に渡らさせてはくれない。少し上流まで行って、流れの弱いところを渡るしかない。そこで、上流までフローティングラインに切り替えて、ウエット系の毛バリ(沈む毛バリ)でポイントを探りつつ移動してみることにした。まあ、防人は源流部でドライフライ(水に浮く毛バリ)の釣りしかしないので、ウエットで釣ること自体どうしてよいかよくわからないのだが、この○○ナイターという竿はパンパンに硬い竿で、ドライフライでいつものように釣りをする気分に全くならないのだ。水面下の岩のくぼんだ所にウエットフライを流し込んでスイングさせて誘うような感じを演出しながら上流へ移動していく。すると、大岩があり、流れがその岩にぶち当たり、いい感じのくぼみがあるポイントを発見。毛バリをスイングさせると、水面下でなにやらギラりと光を感じ、竿に手ごたえが。なんと、25㎝くらいのアマゴが釣れてしまった。「ウェットフライでも釣れるんだぁー(当たり前だろッ!)」と感心し、再び、その岩の奥の部分に毛バリを流し込むと、今度は根に引っかかった(地球を釣った)ような感じとなり、竿が止まったままとなった。

「アレレッ!根掛かりかな?

と思って竿を左右に振ると、グググッといきなり躍動感を感じ魚さんが釣れていたことを認識する。何度か走られ、イグ○○○ーの固い竿がしなり、やり取りを楽しみながら、しかし、バレないでくれよ(針が外れないでくれよ)と祈りながら手繰り寄せると、30㎝には足りないが、良型のしっかりとしたアマゴちゃんだった。

 おッと!赤い竿(ブランクが赤い)とアマゴちゃんのマリアージュだ。
 黄色い囲みで二匹のアマゴが釣れてきた。二匹目は釣ったというより釣れた感じだったが。
 手前にある赤いブランクの竿は一体誰の竿だ?本当は手前に魚、その向こうに竿を配置しないと、魚が大きく見えない。この写真は逆なため、アマゴちゃんが小さく見えてしまうが、これはアマゴ自慢の写真ではなく、釣り竿のイグ○○○ーを自慢する写真なのである。
 小坂川から大洞合流点を眺める。この辺りはドライフライで釣り上がってみたが、ライズしてきてもイグ○○○ーでは合せが上手くいかず、何度か失敗してしまい、ドライフライでの釣果はゼロ。課題が残ってしまった。
 結果を出したので、いい気分で昼飯タイム!おやっ、傍らに赤いブランクの竿が!?これも釣り竿自慢の写真であることは言うまでもない。

 対岸に渡り、そのまま小坂川を今度はドライフライで釣り上がったが、竿がパンパンに硬いので、毛バリにお魚さんがバシャッと出ても、合せが上手くいかない。○グナイ○○は、まるで、棒に釣り糸がついてるみたいに固いのだ。結局ドライフライでは成果出ず、まあ、釣れているので先週に引き続きボウズという屈辱はなくなったので、のんびりと昼飯を食べ、その後は合流点の淵でひたすらシンキングのシューティングラインを投げまくった。ガッ、妄想通りの結果は出せず、シンキングラインと渓流釣りとの組み合わせについての課題が残ることに(ちなみに、防人は湖でのシンキングラインの釣りは大好きだった)!

 20年前は、手前の河原はなく大きな淵が横たわっていた。現在は淵の位置は写真のように中央に移動した。結局この淵では釣れなくて、本来の妄想の達成は出来なかった。
 小坂川は御岳の裏側(北側)から流れ出でてくる川である。その源流の濁河川は強烈なゴルジュ帯が横たわる。濁河温泉というのがあって、昔よく入りに行ったなあ。

 この♯4のイグナイターは、一つ番手が上の♯5のシンキングシューティングヘッドをいとも簡単に投げてしまうのは驚きだ。タイトで強力なループを作ることが出来るので、ポイントに向けての直進安定性は舌を巻くものがあった。しかし、ちょっとしたミスを許容してくれないので、レンジは狭く、その狭い範囲でキャスティングを実行できる釣り人の能力を試されるという意味では融通が利かない竿である。また、ドライフライでの合せが上手くいかず、課題が残った。というか、ドライフライでの釣り上がり的な振舞には適さないのではと思ってしまうがどうだろうか!今度、ワチェットの鈴木さんに聞いてみようット!

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