ピヨピヨ釣日記(2024.9.25 木曽川水系小川 今シーズン渓流釣り納め)

フライフィッシング

 前回の阿寺川は最高の半日であった。渓流シーズン最後の釣りにしても良いくらいの十分な内容であったが、しかし、まだ、シーズン最後の水曜日(防人の定休日は水曜日と日曜日。日曜は家族サービスの日)が残っているではないか。しかも、天気が良さそうなので、そのような状況で平々凡々と大事な休みの日を名古屋で過ごすことなど防人にできるはずがない。だがッ、ノコノコとシーズン最後の休みを釣りに出かけてボウズなどを食らった日にゃーこれからの渓流解禁までの半年間をどんな言い訳をして過ごせばよいのか、それはそれで考えただけでもぞっとするようなことである。職場でこのような悩みを打ち明けた所、

「防人さんは悩みがなさそうでいいですねェー」

ととぼけたことをホザキおる輩ばかりだったが、

「行かないで後悔するより、行ってボウズを食らう人生の方がはるかにマシだッ!」

と宣言し(この防人宣言を出した時にはすでに皆仕事に邁進しているようで、誰も防人の宣言を聞いていないようだったが…)、9月25日の水曜日は果敢に攻めて攻めまくることに決めたのだった。奥さんにもシーズン最後と言うことで、一日釣りに行く(夕飯の準備しなくてよい)お許しをもらい、早朝の目覚ましにも敏感に反応し、土岐から中津川までは嫌いな高速も使い、すべてはシーズン最後の釣りに意識を集中したのだった。

 場所はというと、前回の阿寺川にすれば無難だが、そのような弱気な選択をするほど吾輩は野暮ではない。今回は、赤沢自然休養林下流の小川が木曽川に合流するあたりでタナビラの大アマゴを釣り上げようという妄想計画なのだ。これはボウズの可能性大のアブナイ計画だが、攻めこそ最大の防御であるはずなのだから仕方がない。それに、一日あるから、最悪ボウズになりかけたら夕方にでも阿寺さ行ってチャチャッと釣り上げれば良いだろうというせこい考えも頭に浮かんではいた。そんなわけで、阿寺を越えて、寝覚ノ床(浦島太郎は竜宮城から帰って来て、この場所まで来た時、あまりの美しさに竜宮城の事を思い出して、あの有名な玉手箱を開けたという場所らしい!防人の理解では、浜辺で開けたとばかり思っていたので、こんな山奥まで歩いてきたとは驚き驚き)を過ぎ、上松(中山道69次中38番宿)から19号と別れ、赤沢自然休養林方面に向かう。この赤沢に向かう道路に沿って流れているのが、小川である。小川は上流で赤沢(全面禁漁)と黒沢(こっちは釣っても良い。昔はよく釣りに来た)に分かれるが、今回は木曽川出合いあたりを狙おうと思っていたので、まずは木曽川沿いをウロウロしさきもりちゃんを停めておく場所を探すが、うまく見つけられなかった。仕方なく、小川に沿ってすこしドライブして、小川堰堤付近にさきもりちゃんを停めて、川に降り立ったのだった。もちろん、今日は強力なフライロッドであるイグナイターを使うことに一点の曇りもない心理状態であったことは言うまでもない。

 木曽川にかかる赤い橋。川の向こう側が上松宿だ。桧の貯木場もあり、木曽路真っ只中的雰囲気満載だ。
 道の広がったところにさきもりちゃんを停めて、釣の支度を開始。この瞬間はいつもワクワクドキドキだ。
 イグナイター様登場。この竿を絞り込む大物が釣れるかなあ-!
 小川堰堤上はとても開けた渓相。優雅にキャスティングが楽しめる気持ちの良い川だ。
 何度もバラシ(魚が針にかかって、やり取りをするが、途中で針から外れてしまうこと)や合わせ損ないをして時間だけが虚しく過ぎて行ったが、やっと釣り上げましたぞ。これでボウズはなくなった。いかにも成魚放流感丸出しの朱点一杯のアマゴちゃん。25㎝くらいであるが、手ごたえはしっかりしたものだった。
 今回は手前で毛バリに反応することはほとんどなく、対岸でばかり反応した。ここは手前に強い流れがあり、メンディングしまくりで毛バリを流した所、元気よく飛び出してきたのだった。実は、この一つ下でも元気よく飛び出してきたお魚さんがいたが、合わせそこない悔しい思いをした。
 これも朱点一杯の成魚放流的アマゴちゃん。サイズは30㎝にやや満たない(余裕で25㎝以上はある)が、手ごたえは良くてイグナイターもよくしなっていた。
 良い石が沈んでいて、他にもアマゴちゃんがいたようだが、他の奴は釣り上げることが出来なかった。よく見ると、中央アルプスの駒ケ岳(黄色矢印)が目の前に見えるではないか。
 木陰を見つけたので、昼飯タイムとする。今日はシーフードピラフ(というより焼き飯か!)を昨日の夜作ってきたので、それをフライパンで温める。
 シーフードピラフにエビのアメリケーヌソースをかけ、ファミマで買ったたまごサラダも乗っけて頂きまーす。スープが切れていたので、お味噌汁になってしまった。
 昼飯後は、トクチンと奥さんの間に紛争勃発したようなので、防人も、のほほんと釣りをしていてはまずい雰囲気となったので、急遽、帰ることに。但し、入渓点までウエットフライで釣り降ることにした。ギリギリまで攻めないとね。
 川から上がってみたら、そこからは中央アルプスの宝剣岳(黄色矢印)と駒ケ岳(オレンジ色矢印)が真正面に!山の向こう側には千畳敷カールがある。昔、娘とロープウェイで上がって、これらの山を縦走して、下山は麓の駐車場までひたすら歩いたのだったなあー!

 11時に昼飯の準備をして、その写真を撮ろうとしていたら、奥さんからラインが来ていることに気が付いて、開いてみるとトクチンと奥さんの間に紛争が勃発したらしい。昼飯を食べながら、

『このまま釣りをして夜遅く帰ってよいものか!紛争の火花が防人にも降りかかってくるのではないか?』

としばし熟考して、これは丸一日釣りをするのではなく、早めに帰って仲裁し、更に夕飯もいつものように作った方が今後のためにも良いだろうと高度な政治的判断が働いて、断腸の思いで釣り場から退却することを決断したのだった(防人、精神年齢高かッ!)。しかし、ただ離脱するのももったいないので、釣り上がってきたところを、今度はウエットフライ(沈むフライ)で釣り下がっていくことにしたのだ。ダウンクロス(下流方向に対岸に向けて斜めに毛バリを投げること)にフライをキャストして、そのまま竿を固定して流れにフライをまかせ、毛バリがこちら側の岸に寄ってきたら一歩下流に移動して再びダウンクロスに毛バリをキャストし…、を繰り返していった。するとどうだろう、毛バリが流れを横切っていく過程で、ガツンと衝撃が来て、ほぼ向う合せで魚が走り出すではないか。イグナイターが激しく曲がり、下流に走られる。ひと淵越えてやり取りをするが、そこで痛恨のバラシ!ウオオオーッ!めげずに、再びダウンクロスにキャスト、一歩下流、そして再びキャスト、を繰り返すと再びガツンと来る。合わせた瞬間に魚が水面から飛び上がり、再び下流に走られて…、またもやバラシ。ノオオオーッ‼今度は小さなポイントでもダウンクロスに投げて毛バリが流れを横切り始めて…、ガツンとくる。やり取りしている間に再びバラシ。ヒエエエッーウエエエーンッ!!! こんな感じで大騒ぎしているうちに入渓点に到着してしまった。これで防人の今シーズンの渓流釣りは終わりである。まあ、半日になってしまったけど(正確には8時~13時)、最後の最後でウエットフライの釣りの面白さが少しわかったような気がする。釣り上がるのではなく釣り降るのである。ダウンクロスにキャストして、小細工せず流れにフライをまかせてアタリを待つ。そして、フライがこちら側に来たら一歩下流に移動して、以下同じ事を繰り返していくのである。手にガツンと来る衝撃は、ドライフライにバシャッとライズしてくる時のワクワク感とは異質の感動を与えてくれる。この防人流の釣り方が正しいのかどうかわからないけど(今度ワチェットに寿さんに聞いてみるかなあ!)、『ウエットフライと釣り下り』という新たな世界を垣間見た気がした。ウエットフライを食べに来たお魚さんを今日はすべてバラシてしまったけど、何だか来シーズンの大きな目標が出来たような気がした。そう言う意味で今日は最高のシーズン納めであったのではないか。それにしても今シーズンは釣り症状が悪化の一途をだどったシーズンだったなあ。来シーズンは如何に!

 釣り終わり、さきもりちゃんの所に戻り、彼女のエンジンスタートさせた。

「中津川からは嫌いな高速にするか」

と思った。なるべく早く家に帰つてトクチン・奥さん紛争を仲裁しなくては。なんだか予定が狂いまくりの一日であった(半日かッ)けど、不思議と充実感に満ち溢れてさきもりちゃんのアクセルを踏み込むことが出来たのだった。

 釣り終わり、さきもりちゃんの所にたどり着いた。それにしても、今年はさきもりちゃんと頻繁に釣りに行ったものだった!イヤッ、待てよーッ。3月から7月まで君はランドローバー京都で入院しておったではないか。と言うことは、今年の釣りのほとんどは代車ディフェンダー君とだったか。

 

 

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