ピヨピヨ釣日記 (2024.7.3 神通川水系 万波川)

フライフィッシング

 来週、いよいよさきもりちゃんが退院する。京都に迎えに行ってその足で日本海に抜けて、神通川をさかのぼり、万波川に行こうという妄想が芽生えたのだった。しかし、その妄想は急激に頭全体を支配するようになり、仕事などの生活が立ち行かなくなった。「であるなら、一週間ほど早いが休みの水曜日に代車ディフェンダー君と共に行ってしまえ」ということで、早朝4時に名古屋の家を出発した。今日は一日休みを目いっぱい使うことに奥さんの許しも出たので(つまり、夕飯を作らなくてもよく、帰りは何処か外で食べて帰ることになった)、徹底的に攻めの姿勢でステアリングを握る。41号線で下呂、萩原、小坂、久々野、高山を通り抜ける。お越し太鼓で有名な古川を過ぎたところで、国道471号線に入り、更に国道360号線を宮川沿いに走る。この辺りまで来ると飛騨ナンバーの車に交じって富山ナンバーの車も多くなる。この宮川は北アルプスの笠ヶ岳、槍ヶ岳、穂高方面に源流がある高原川と合流すると、神通川と名前を変える。神通川はその昔、神岡鉱山から垂れ流されたカドミウムで下流の町でイタイイタイ病が発生し大問題となった川だ。今回の万波川はその神通川の支流であり、その源流は白木峰(1596m)の西南稜に位置する。

 万波川のイワナを釣ろうと思った時、下流の富山側から入るのではなく、岐阜の飛騨地域の打保という集落から万波峠を越えて上流部に直接入るのである。上流部の岐阜県側で万波川と呼ばれるこの川は、下流部の富山側では久婦須川(くぶすがわ)といい、久婦須川ダムを越えて入る方法もあるかもしれないが、途中で林道は途絶えているようだ。上流部の万波峠経由も万波ダム(恐らく取水用ダム)を越えて、しばし下流まで行くと林道は崩落し、これまた途絶えているらしい。であるなら当然、

「途中はどうなっているのか?」

という大問題が浮上するのである。車で手軽に入り込めない秘境が残されている可能性がある。イワナやヤマメ(分水嶺の南側、すなわち太平洋側に向かう川にはアマゴが、北側の日本海側に向かう川はヤマメが生息する。これらを区別するのは簡単で朱点があるアマゴに対して、ヤマメには朱点がない)が沢山自然繁殖し、釣師にとっての桃源郷が残されているのではないか!。再び、防人の脳裏にはこの妄想がこびりつき始めてしまったのだ。いつか、この川を久婦須川ダムバックウォーターから万波川を経て白木峰(1596m)までを完全遡行してみたいという妄想が。

 朝4時に名古屋を出発して、打保駅に到着したのが8時だった。トイレをすませて、いよいよ林道に踏み込むか。
 この狭い道を入る。すぐ白山神社があり、その脇をかすめながら、林道はいよいよクニャクニャ度合いを増していく。
 クニャクニャ林道を登ること20分ほどで万波峠に到着。対向車は出会わなかったけど、もし出会ったらと考えて気を使った。
 峠から5分ほど下ると万波川の橋を渡る。ここの渓相は見ての通りチャラ瀬であまりいい渓相ではない。
 下流方向に舵を切るが、この草が覆いかぶさったダートを走らないといけない。
 オッ!キジか?鳥は詳しくないけど、彼(彼女)はどこうとしないので、しばらくストップする羽目に!
 ムムッ!ディフェンダーは太すぎるかも!草が覆いかぶさり、水溜まりも沢山ある。ザブーンッ、ギシギシギシギシ…、代車だけどいいんかいな!
 万波ダム(発電用の取水ダムかな)のやや上流に広い場所を発見。代車ディフェンダー君はここに駐車して、釣の支度開始。

 まあ、万波川の上流部に入るのも、車で行けるからといって手軽か!というとそうでもない。名古屋からだと、JR高山線の打保(うつぼ)駅まで4時間(高速を使えば短縮できるかもしれない。防人は下道派なので4時間はかかる)のロングドライブがある。打保の集落からは狭い道を入り白山神社の脇をかすめたあたりからクニャクニャの登坂路が待ち受けている。道幅はぷよッとしたディフェンダーの車幅的には広いとは言えない。対向車はまず来ないが、来るかもしれないと思いながらカーブの先を想像し、退避場所も記憶に留めながら(対向車が来た時は退避場所までバックしなくてはいけない。そのため防人はバックは得意になってしまっている!ヘンな意味ではない)の運転は気を使う。当然、音楽はオフにして、窓は全開で周囲の音に最大限集中する。このような狭い急傾斜林道走行が15㎞はある。万波峠を越えて5分ほど降ると万波川の橋に出るが、そこの万波川はチャラ瀬(釣りにあまり向かない川の状況)であり、渓相はあまりよくない。そのため、橋を渡った後、ダート林道にステアリングを切り下流方向に向かう必要がある。これが狭い。はっきり言ってディフェンダーは太すぎ!両脇から草が覆い茂り、梅雨の最中ということもあり深い水たまりが沢山ある。ジムニーが丁度よい感じであるが、ディフェンダーでも問題はないが(通常モードで走れてしまうレベル!ただ、車幅があるからね)。問題があるとすると、代車なのに両脇から覆い茂る草木の中をギシギシギシギシギシギシ……ギシギシギシギシ、ザブーン、ギシギシ…ザブーンザブーン…ゴトゴトゴト…ボコンボコンザブーン…ギシギシと運転して良いのかということだ。後、退避場所がほとんどなく対向車(まず来ないのだろうが)が来たら、このような草の覆い茂っている林道をバックするのは大変気を使う作業である。更に釣りを開始した後も野生動物の豊富なところなので、彼らとの鉢合わせは避けなくてはならない。万波ダムのあたりに車を停めて、林道を更に下流に向けて歩くのだが、定期的にくま笛を拭きながら周囲に気を使う必要がある。長距離ドライブ、長い林道走行、草木が覆い茂るダート走行、クマさんとの遭遇の恐怖感を克服した者のみがたどり着けるある意味秘境的な場所なのである。

 万波ダムの少し下流の橋を渡り、20分ほど歩いて、川と林道が接近したところで入渓。上流部のチャラ瀬渓相とは打って変わって、いい感じのポイントが連続する。まさにイワナの谷だね。
 中さんの教えの通り、くまスプレーの黄色のタグを切断して、臨戦態勢を整えておく。それと、リュックのベルトには鋭利なアウトドアナイフを装着しておく。いざとなったらクマと戦うぞ。

 当然、美しいイワナ君は沢山生息していて、いっぱい釣れたのであるが…!以下ではその一部であるが、イワナちゃんと毛バリの流し方(矢印で表示)とライズしてきた場所(○で表示)の順に写真を掲載しておく。

 なんだかいっぱい釣れたので、お腹が空いてしまった。まあ、ここまで来て釣れないなんてことはありえないよね。
 ムムムッ!なんだか木の葉や枝が流れ出して、濁りが入ってきたぞ。それと共に増水し始めた。いざという時に退避できるように林道側の高台から様子を見る。これは上流の万波ダムが取水を止めて、河川に放流し始めたということかな。
 これが朝の万波ダム。ほとんど流れていないね。取水して、下流の万波発電所に水を送っているのだろう。
 増水の原因はこれだね。取水やめて、放流し始めたということかな。朝とはずいぶんと異なった景色だ。
 代車ディフェンダー君もそろそろ返却なので、この前清掃したのに、再びドロドロに。このまま返したらヒンシュクだろうなあ。
 万波峠を越えて大谷に沿う林道をひたすらクライムダウンしてきた。眼下に打保の集落が見え始めた。後ちょっとで林道も終わりになる。

 さきもりちゃんの退院前に往復500㎞強の釣行をしてしまった。日頃代車ではダート走行なんてしないのだろうから、本来のディフェンダーの生息場所をこの防人様が垣間見せてあげたということかな。更に、日曜日は山梨の実家の整理もある。この一週間で1200㎞以上のドライブをこなすことになりそうだ。代車ディフェンダー君、最後に一仕事よろしく頼むよ。

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