ピヨピヨ釣日記(2024.9.18 木曽川水系阿寺川 エメラルドグリーンのパーマークを持つアマゴを求めて)

フライフィッシング

 しまったーッ!二週連続で寝坊してしまったーッ‼時計を見ると5時17分。本当は4時に名古屋を出発して釣りに行くつもりでいたが、またしてもこの時間になってしまった。5時40分に家を出て、先週に引き続き高速軌道に入る。今回は中央道へ向けて舵を切り、中津川で降り国道19号(中山道)に入る。

 国道19号(中山道)を恵那市、中津川市まで来ると右手に恵那山の雄峰を見ることが出来る。更に先に進むと、いよいよ右手は中央アルプスの高峰、左手の山も負けず劣らず木曽川から一気に聳え立つようになる。『木曾路はすべて山の中である』という島崎藤村の”夜明け前”の始まりの部分を目の当たりにできるのである。中津川を過ぎ、田立、南木曽、十二兼を過ぎるといよいよ今日の目的地である阿寺渓谷はすぐそこである。阿寺ブルーと呼ばれる極めて澄んだ渓水がV字谷を刻み、そこに住むアマゴたちはエメラルドグリーンのパーマークを持つ宝石のような姿態を持つ。イヤッ、正しくは20年前にこの谷に釣りに来ていた時はそのようなアマゴたちが生息していた。今回は、その美しいアマゴたちに会うためにシーズン終盤でこの谷にやってきたのだった。

 赤い橋の向こうから流れ込んでくる川が阿寺川である。手前の黒い橋を渡り、赤い橋の右手の林道を入っていく。
 20年前は阿寺川に沿った林道はダートだったが、今日ではキャンプ場まですべて舗装されていた。がっかりするさきもりちゃん。
 最初に釣れたアマゴちゃん。日差しがなく、写真写りがはっきりしないが、阿寺川的アマゴかなあ!よく見ると、目の所に何かくっついているぞ。ウオジラミか?取ってあげようと思って手を伸ばした瞬間に針が外れて逃げて行ってしまった。
 まだ日差しが差し込んでいないが、アマゴは元気にドライフライ(浮く毛バリ)にアタックしてきた。重量感あり、25㎝くらいの良型アマゴだった。幸先良さそうだ。左岸すぐ近くに林道が走っている。入渓しやすいのも阿寺川の利点であり、欠点でもあるかも(釣り人が入りやすい)!

 この阿寺川は雨が降っても濁らない。ほかの木曽川の谷が濁流と化していて、釣場に困った時でも、この阿寺川は濁りが入らないので何とか釣りが出来るのである。すなわち、この川は悪天候における釣り人の駆け込み寺(だから阿か?)のような存在である。これは谷全体が濃飛流紋岩という固い岩に覆われていて、硬いがために岩が砕けて砂化しにくく、そのため増水時でも濁りが入らないということらしい。阿寺川の入り口部分は花崗岩の巨岩が至る所に横たわっているが、少し上流部に行くと花崗岩よりどす黒い感じの岩々が目立つようになり、それらが濃飛流紋岩と言うことのようだ。ただ、防人は岩石の分類は極めて苦手なので、どれがどの岩石なのかよくわからないのである。

 幅広のしっかりしたアマゴちゃん。しかし、なんか阿寺のアマゴとは違うような!こんな感じだったッけ?
 長い距離毛バリをドリフトしてきて、最後の最後でガブッと来た。手前の黒っぽい大岩は濃飛流紋岩かな?
 このどぎつい朱点は成魚放流ものかなあ。
 手前の流れをメンディングでしのいで、毛バリをドリフトしたのだった。
 イワナ君登場。これは天然だろうかねえ!型は15㎝くらいと小さめ。
 如何にもイワナ的ポイントで飛び出してきたのだった。
 今日半日のほとんどをここで過ごしたのだった。黄色円の所ですべてアマゴが釣れた。防人がこん風に一か所に滞在するのは珍しいこと。
 上の写真の右岸の河原で昼飯タイムとなった。この場所界隈で3時間以上を過ごすことになろうとは!
 銀座のキーマカレーなので、ひき肉と共に炒めたチャーハンを準備してきたのだった。ポテトサラダも持参。スープはジャガイモのポタージュ。なんと、ジャガイモとジャガイモか!
 そろそろ釣りシーズンも終わりですなあ。秋を知らせるトンボ君が、釣り竿の穂先にとまって一休み。青い空、白い雲、濃緑の山。この景色の中でのコーヒーは最高。

 今回はキャンプ場に近い上流部は至る所に釣り人の車?(もしかしたらハイキングの人の車かもしれない)が止まっていたので、比較的すいていた下流部を釣ったのだった。おかげで川は広く、どのポイントもロングキャストで狙えて、まさにフライフィッシングならではの醍醐味を味わえた。遠くを流れる毛バリにアマゴがライズしてきて、合せを入れると竿を通して躍動感が伝わってくる体験を味わえるのはフライフィッシングの特権だ。内容も25㎝~30㎝までの幅広のアマゴ(タナビラといったかなあ!)が釣れて来て、防人の脳は蒸発気味。我が人生悔いはなし。まあ、人生の意味(なんていうものは無いのだろうけど)を知りたいのであれば、釣をすべきである。釣れない日もあればよい釣りができる日もある。人生山あり谷あり。釣果も山あり谷あり。まさに人生の縮図がこの釣りに込められているのである。つまり、釣りという行為は『爆釣(テーゼ)』と『ボウズ(アンチテーゼ)』との境を彷徨い歩き(アウフヘーベンして)、結局繰り返し釣り場に参上してしまい奥さんに怒られて険悪なムードになった家庭内の状態をいかに乗り切るかという難局打開の能力を高めるものなのだ。そして、最終的には釣り人はジンテーゼの境地になるのだろう⁉

 今回、右岸で(日陰になるから)昼ごはん作り、いつものようにのんびり食べたのだけれど、左岸の林道を行楽(キャンプ場が目標!?)の車がひっきりなしに通過していった。中には林道ハイキングを楽しむハイカーの人々もいて、このような賑わいは20年前にはありえないことであった。阿寺渓谷は有名になってしまったのか?なんだか、自分が浦島太郎になったような気分になったのだけど、通りがかる車の何台かには手を振ってもらい、それはそれで悪い気はしなかったかな。

 これは大きなアマゴちゃん。しかし、朱点が強く入りすぎているから放流物かなあ。阿寺渓谷のアマゴとはなんか違う気がする。まあ、防人的にはなんでも釣れれば嬉しいのだけどね。
 20m近いロングキャスト。下流からの追い風に助けられて、毛バリが美しくターンオーバーして着水。かなり遠くからの大きなアマゴさんとのやり取りはスリリングだった。それにしても阿寺ブルーの美しい流れだ。
 サイズは22~23㎝だったが、幅広アマゴで重かった。なかなか上がってこなかったので尺かと思ったが。
 これもロングキャストで攻めたのだった。深みがあり、石が沈んていて最高のポイントだ。
 この日最大で最後のアマゴちゃん。有終の美を飾るのに相応しい!流れの向こう側で来たので、やり取りはドキドキワクワクだった。
 手前の激しい流れをメンディングを駆使して凌いで、毛バリをナチュラルドリフトし、最後沈みかけた毛バリに水中でギラッと来たので合わせたのだった。まさにフライフィッシング!

 今回の阿寺川は良く釣れた。昔よりはるかに釣れたような気がしたけど、これは漁協による放流が盛んに行われているからだろうか。成魚放流も多いのか?確かに楽しかったけど、昔の阿寺渓谷のアマゴはエメラルドグリーンのパーマークを持ち本当に美しかった。しかし、もしかしたらこれは過去の記憶が美化されすぎて、防人の脳の中で勝手な置き換えが起こっているだけだろうか。天然のアマゴの朱点はかなり薄く、ギトギト感はない。しかし、今回釣れたアマゴたちは朱点がはっきりしすぎている個体が多かったように思うのであり、成魚放流が盛んなのではと勘ぐってしまった。この阿寺川のような谷はなるべくなら稚魚放流、発眼卵による放流が最も適しているのではと思うのだがどうだろうか。とかなんとか生意気なことを言っても、結局は、とても良いサイズの幅広アマゴが十分釣れたので最高の半日であったことは言うまでもないけどね。

 もう今シーズンも来週で終わりである。天気予報で来週は荒れそうな雰囲気であるが大丈夫だろうか。防人の場合、奥さんのご機嫌も荒れてしまわないように注意しなくてはいけないだろう。至るところに気を使い、根回しをして、万全の態勢で臨まなくてはいけませんぞ。皆さんも頑張って渓流釣り納めに行きませう。

 今日はさきもりちゃんの周囲100m以内で釣りをしたのだった。いつもは歩きまくる防人なので、こんなことはとても珍しい。
 戻ってみるとバッタ君がさきもり号にくっついていたが、実は彼は名古屋までついてきてしまったのだった。

 

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