東海地区が梅雨入りして初の水曜日、前日からの激しい雨が降り続いていたが、家でジッとしていることが出来なくて、ついつい家を抜け出してさきもりちゃんとウロウロすることに。奥さんからは、
「今日ぐらいは家でジッとしていたら」
と言われたが、
「それが出来たら苦労しないわい」
「だったら、増水した川に流されたりしてニュースにならないでよ」
と言う会話を交わしての出発であった。さきもりちゃんと共に道を北上し続けると、名古屋の庄内川は濁流、木曽川恐ろしいぐらいの濁流、津保川濁流、そして長良川も増水(木曽川ほどではない)!この日は天気予報が梅雨前線南下し、太平洋側が激しい雨と言っていたので、北に行けば行くほど天気は良くなると思っていて、長良川の増水が木曽川ほどでなかったため分水嶺(最近よく通過するひるがの高原ですな)を越えれば何とか釣りになるだろうと思考が固まった。ひるがのを越えて、牧戸に到着すると、庄川はササ濁りぐらいの増水。「防人様の読みは流石じゃのう」と我ながら感動する。さて、この牧戸を右折すれば、庄川源流部であるが、ここは中さんとも来たし、先週は六厩で釣りしたばかりだ。増水の時は源流部へというのは定石なのかもしれないけど、同じ場所に通うのは苦手な防人なので、無意識に左折して御母衣ダム、白川郷方面に向かってしまった。まあ、左折しても尾上郷川や大白川があるし、御母衣(みぼろ)ダム下流なら、ダムが水を止めているので増水は無いという思いもあったからだ。この御母衣ダム、白川郷に沿う国道156号線は昔(釣りや富山、金沢方面の旅行とかで)よく通ったところだが、ここ20年ほどはご無沙汰状態であった。御母衣湖畔の道は昔に比べトンネルが開通し通りやすくなった感じがして、気が付くと御母衣ダムを通り過ぎていた。途中、尾上郷の林道は閉鎖されていて入れなかった。ダムを下り、平瀬の集落が右手に見えてくると大白川の林道が登場するが、ここも閉鎖中。遊漁券を買った平瀬キャンプサイトの受付の女性陣の話では、大白川林道の閉鎖は雪崩の被害復旧がこの時期ではまだ終わっていないからのようであった。因みに、大白川の水量はかなり多かったので、この合流点よりやや上流の庄川本流に入ることにしたのだが・・・。

平瀬の集落のやや上流に長瀬神明神社が庄川右岸にあり、その近くから河原に降りる道があるので、河原にさきもりちゃんを駐車する。背後には橋があるので、昼飯の時はその下で食べれば雨にぬれずに済むと判断したのだが。

入渓点の川の様子。なかなか良さそうな感じであるが。今日はドライフライは使わず、ひたすらウエットフライで釣りくだる決意を固める。目指すは大物のみ!雑魚には用は無いぜっ!なんてね。使用ロッドはイグナイター!

橋の幅とその高さに注目。少し風が吹くと横から雨が入りまくりで、あまり橋が屋根の役目を果たすことは無かったのよね。トホホホッ…。結局、雨に降られながら昼飯となったのでした。防人気象台の予報では昼までには雨が止む予定だったが、1時過ぎても雨がしとしとと降り続いていた。

ズボンで川に入るのでもちろんずぶ濡れ。赤のレインジャケットは防水効果がなくなっているのであまり役立たず、全身ずぶ濡れで寒くて仕方がないので、このような時は暖かい昼飯を食らうに限る。最近はまっている行者ニンニク風味のチャーハン、燻製卵、ポテトサラダ、チキンクリームスープと言うメニュー。
今回は本流であり、雨も降っているので、「もしかしたら大物が釣れるかも」と言う思いから、いつものドライフライ(水面に浮かぶ毛バリ)は使用することを止め、ひたすらウエットフライ(沈む毛バリ)で釣り降ることにした。斜め下流(ダウンクロス)に投げて、毛バリが流れを横切りこちら側に来たら一歩下流に移動して再び投げての繰り返しを愚直に行う(まあ、防人はこれ以外のウエットフライの扱い方を知らないだけなんだけどね)。半日これを実行し続けて、三度アタリがあった。手にガツンと衝撃が走ったのだけどフッキングに至らず、手ごたえを味わう以前の状況だった。釣りのブログと言えば、己が釣り上げた魚を自慢気に載せて「僕ちゃん凄いだろうーッ!」的自慢節全開のものが多く、あまり品のある行為とも思えないので、今後さきもりブログには魚の写真を控えようかなあーと思い出している今日この頃である(クゥーッ!、結局、載せるべきお魚さんの写真がないだけの哀れな状況!ボウズ、ボウズ、ボウズ)。まあ、仕方がないので御母衣ダムのお勉強をしながら名古屋に帰ります。トホホホッ…。

堤高131mの日本屈指のロックフィルダム。この周囲は断層が幾筋も走り岩盤が脆弱で、1585年には大地震によってダム地点直下にあった帰雲城ががけ崩れで埋没し城主内ヶ島氏理一族が滅亡するという大惨事お起こってる。そのため、当初、重力式コンクリートダムの予定だったが、それだとサイドの岩盤にかかる応力が増すため、このロックフィルダムに変更されたのだとか。ロックフィルにすることで周囲への水圧がどの程度軽減されるのか防人には不明。

上流側からみた御母衣ダム。ロックフィルダムとして高さは日本で第5位、ロックフィルとしての貯水量は徳山ダムに次いで第2位とのこと。このダムは発電用ダムで、多目的ダムの様に洪水調整の治水目的は無いのだが、第一類ダムと言うものに属しているらしく、豪雨や台風などによる増水をあらかじめ貯水できるようにいつもダム湖の水位を下げているらしい。そのおかげで、緊急放水もなく下流部の水量は安定しているということなのかなあ。

巨大な御母衣湖。この湖の底には230戸の家が沈んでいるようだ。豪雪地帯のこの地域は厳しい自然と合い対峙するため、封建的家父長制が強烈で家長の意見は絶対的であったらしい。また集落の住民の結束力もゆるぎないものであったため、御母衣ダム建設に対しては「御母衣ダム絶対反対期成同盟死守会」を結成し、その反対運動は熾烈を極めた。妥結に至ったのは、交渉開始から7年後のことだったとか。

有名な荘川桜。ダム建設で水没する光輪寺にあった樹齢400年以上に及ぶアズマヒガンザクラ(重量約35トン)。見事なその枝振りを見たダム建設の総裁がこの桜を保護しようと決意。結局、照蓮寺のサクラ(重量約38トン)と合わせて70トン近い巨大桜を200メートル上の山腹に引き上げ、約1,500メートル移動させるという前例のない移植作業が行われたのだ。桜の時期が終わり、現在工事中のため近寄ることは出来なかった。

御母衣湖畔にある昭和な感じのドライブイン。水曜日は休み?缶コーヒーを買って、ポヨヨンとする。さーて、今から名古屋までの楽しいドライブタイムの始まりだぜッ!
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