Defenderピヨピヨ日記(NO5 Hakko Offroad Meeting2023.5.21 グランスノー奥伊吹でのオフロード走行)

Defender購入後日記

 納車一週間前の2022年10月16日に訪れて以来、7カ月ぶりのグランスノー奥伊吹である。前回は試乗車(110と90)でオフロード体験をしたが、今回はさきもりちゃん(我が家のディフェンダー90)を引き連れてのオフロード走行にワクワク感を抑えることが出来ない。最近は、さきもりちゃんを運転しているとやたらとオフロードに突入したくて、機会あればという状況なので、今回のゲレンデ走行は日頃のうっぷんを晴らすまたとないチャンスである。それと、前回登り損ねた『ブンゲン(射能山)』への登頂も実現したいという欲望もある。

 色々な欲望にまみれて、8時30分、グランスノー奥伊吹の駐車場に到着。すると、向こうからやってくるのはランドローバー京都のDさんではないか。彼とは車の趣味が似ている(現在はともにディフェンダー90のオーナー同士、以前の車はDさんはMT70系プラド、僕はMTパジェロ)せいか、初めて京都のショールームに行った時からよく話すのだ。Dさんの指示に従って、ゲレンデに車を乗り入れ、手続きを済ませ、9時の出発を待つ。今回は朝一のオフロード走行のせいか、お客さんは僕と大阪の人(彼は何と、限定150台のローンチエディション110を購入することが出来たラッキーガイだった)の二組のみ。10時以降の走行はどこの時間帯も満杯なのだが、朝一はぽっかり空白地帯となっていたのだ。

9時、先頭はスタッフカー(ディスカバリー)、我がさきもりちゃん、大阪のローンチ110、そして、しんがりはスタッフカーの110の4台で出発。まずは7カ月前の時と同じ反時計回り(上空から見て)でコースを巡る。グランスノー奥伊吹のゲレンデマップで言う所のファミリーゲレンデ、パラダイスゲレンデからチャレンジコース(最大傾斜30度)を上がって下って、アルペンコースを経て日の出山(1045m)に登り、そこからダイナミックコースを下るが、前日の雨で ダイナミックコースはぬかるんでいて、滑りやすい状況。スキーには良いかもしれないけど、車にはねぇー! しかし、ランドローバー社特許のヒルディセントコントールはびくともせず安定して車を麓までおろしてくれる。頼もしい技術だなあ。

センターハウス前の広場。前回は、この広場に試乗用のディフェンダー勢ぞろいしていて、壮観だった.
ランドローバー京都のゴンドワナストーンの110君。この車には本当にお世話になっているので愛着ありますなあ。
ファミリーゲレンデの麓で出発を待つセイウチ君。
黄色の矢印が日の出山。正面はアルペンコースかな?
日の出山(1045m)に到着しました。ここで少し休憩。
ダイナミックコースをヒルディセントコントロールを頼りに下ります。ローンチ110、しんがりのスタッフカーも順調ですね。
道のないゲレンデを降りるのはなんと気持ちの良いことなのか。このダイナミックコースはスキーの大会にもよく使われるようだ。
バラエティークワッドリフトの終着駅が見えてきた。ここからはバラエティーコースを経て、麓のセンターハウスへ戻っていく。

 センターハウスまで戻ってくると、スタッフの方が、

「2回目は時計回りで行きましょう」

というまさかのアナウンス。こちらも、ぬかるんだダイナミックコースをクライムアップしてみたいという願望に以前から駆られていたのだ。下るだけならヒルディセントコントロールがすべてやってくれるので、ハンドルを握っていれば良いわけだから、慣れてくるとつまらなくもある(前回の時も反時計回りで二回コースを走行しているのでね。まあ、下りでも車がずるずる滑る感覚は楽しいが…)。登りとなると、アクセルワークとか重要になるし、場合によってはスタックする可能性もあるのでワクワク感は降りの比ではない。さらには、さきもりちゃんに搭載した電子制御アクティブディファレンシャル(e-diff locker)の本領も体験できるだろう。

 時計回り走行いざ出陣!バラエティーコースを経ていよいよダイナミックコースへ。ぬかるんだ地形に突入してホィールスピンが始まりそうな予感がしたが…、電子制御でセンターデフに加えてリアデフもロックされ、四輪にトラクションがしっかりかかって不安感が全くない。攻めの姿勢でアクセルを踏み続けると、あっけなくダイナミックコースをクリアーしてしまった。これも電子制御アクティブディファレンシャルによるところが大きいのかなあ?できれば、ディフェンダー90で電子制御アクティブディファレンシャル装着車と未装着車の二台を準備して、走り比べてみたいという妄想に浸っていると、ふと気が付くと、しんがりのスタッフカーがやってこないようだ。アレッ、どうしたのかなあということで、車から降りてゲレンデを見に行くと、なんと、スタッフカーがスタックしているではないか(これはオヤジギャグではない)。これぞ、オフロード走行の醍醐味。更にはスタックしたディフェンダーを目の当たりにするという貴重な機会でもある。慎重にゲレンデを降りていくと、右前輪が溝にポコンとはまり込んでいる。どうも、ホィールスピン状態になったのを立て直そうとステアリングを動かしてトラクションを得られる位置を探そうとしているうちに滑り動いて、溝の所にはまり込んでしまったようだ。「もし、このディフェンダーに電子制御アクティブデフが付いていたらスタックしなかっただろうか?」などと妄想が開始しかけたが、イカンイカン、今は救出活動が先だった。ゲレンデ周囲の倒木を探してきて、タイヤと溝の間に詰め込んで、スロープを作ってやり、車をリバースさせると呆気なく脱出成功。ただ、木の枝でホィールアーチプロテクションに傷がついたが、これもディフェンダーとしては勲章みたいなものかな。

ダイナミックコースの核心部分にいよいよ突入。最大傾斜線に合わせるまで、車が左に傾く。たまりませんぞ!
こうなっては流石のディフェンダーも動けませんな。しかし、このようなスタックのレスキューは簡単だ。
倒木などを使って、タイヤの下に敷き詰めて、溝の高さまで上がってこれるようなスロープを作ってやればよい…。アッ、この前買ったスコップを活躍させればよかったか!

 今回は、ダイナミックコースをヒルクライムするさきもりちゃんの様子を息子が動画を撮ったので、それを練習がてらYouTubeに掲載してこのブログから見れるようにしてみた。後、スタックからの脱出シーンも載せちゃいましたぞ。

ダイナミックコースのヒルクライム映像。

スタックから脱出映像。

 今回のオフロード体験で、ふと昔のことを思い出した。当時はインタークラーターボ2800㏄のパジェロを買ったばかりで、四駆ショップにも出入りしていたのだが、そこで、オフロードコースをジムニーで攻めまくっている人と知り合いになり、その人を師匠として一時期オフロードの走り方を学んでいたことがあった。コースでは師匠からいつもボロボロのジムニーを借りて、練習していたのだが、ある時、30度以上はあろうかと思われる、まさに壁のようなルートのヒルクライムをやってみろということになった。まず、師匠の助手席に乗って手本を見せてもらうが、これが後方にバック転しそうでとても怖かった。この時、「途中で車が動かなくなったら、すぐにバックギアに入れて、ブレーキ踏まずにエンジンブレーキでおりていくように」と忠告を受けて、いざ自分の番になった。勢いをつけて突入するも、案の定、途中でホィールスピンが始まって、何ともならなくなった。そこで、言われた通り、ギヤをバックに入れて降下を開始。しかし、急斜面をエンジンブレーキのみで降りるのは非常に怖く、ついついブレーキを踏んでしまった。すると、ホィールがロック状態になりツルツルツルっと斜面をスキーのように滑り始めた。運よくというのか運悪くというのかよくわからないが、ジムニーは斜面の下まで直滑降で滑り降りてきて、傾斜が緩やかになって来たところで、後輪を支点として回転し、そのままコテッと横倒しになってしまったのだ。「ヤバいッ!借り物の車を横転させてしまった!」とパニックになっていると、向こうから師匠たちが駆け寄ってくる。それも満面の笑みをたたえて、怒り顔ではなく…。

「おーい、大丈夫か!」

「はいッ、大丈夫です」

「ようし、みんなレスキュー開始だ!ウィンチ積んだランクルをここまで持ってこい。あの木の幹にツリープロテクターつけて滑車を取れ!」

師匠からの的確な指示が飛ぶ。茫然と立ちつくす僕以外は、みんな生き生きと動き回りレスキューのこの時が来るのをまさに待ち構えていたかのような盛り上がりぶりである。そして、10分も立たないうちにジムニーは元通りに復活していたのだ。もちろん、今回の横転での傷は元通りになっていないが、もともとキズだらけなので、今回の横転でどのキズが新しくついたのか判別は難しいところだ。レスキューが終わるとみんな満足げに元の持ち場(各自が突破しようとして挑戦しているセクション)に戻って行ったのだった。

「車を横転させてしまって、なんというか、…」

「そんなことより、今日はこのヒルクライムを成功させろ。ガツンと行けッ」

「了解しましたッ!」

ジムニーに再び乗り込もうとドアに手をかけて、ふと周囲を見ると、マッドセクションで泥だらけになって奮闘しているテラノ(日産の四駆)がいたり、ロックセクションでしこたまサイドを打ち付けて金属音を周囲にとどろかせているジープがいたり、凹凸地形で顔(フロント)から突っ込んで立ち往生しているジムニーがいたり…、決して町の中では見ることが出来ない四駆達の姿がそこにはあった。泥だらけになって、自分の車をレスキューしている師匠の友達に、手伝いがてら

「休む間もなくですね」

と声を掛けると

「もったいなでしょ。折角、高いお金を払っているのに!」

「高いお金?」

「入場料の元は取らないとね」

彼は入場料で払った7千円がもったいないと言っているのだ。車が傷つき、凹んでしまうことによる板金、塗装修理代はもったいないのではない、ホィールスピンしてすり減るマッドテレイン、オールテレインタイヤがもったいないのではない、ローレンジでひたすら走り続けることによるガソリン代がもったいないのではない、入場料がもったいないと言っているのだ。この四駆師匠との出会いは普通の車のオーナーとは全く異次元の感覚を持つ人々の世界に、価値観の世界に僕をいざなってくれたのである。

 ふと、我に返り我がさきもりちゃんを眺めるが、流石に、このディフェンダーが横転してしまったら泣くに泣けないよなあと思う。ランドローバー京都のM田さんからは「ディフェンダーのアルミ板金は高いですからね」と忠告を受けている。しかし、なんだか、昔体験した四駆乗り達の暑苦しい世界が懐かしく思え、久しぶりにその世界を覗いてみたいなあという気持ちが燻り出したのも事実である。傷だらけの安いジムニー探してみようかなあ!しかし、安く手に入れたとして、その後、本格クロカン仕様に改造するのにお金がねぇー!奥さんに許してもらえないか。

10時からの部は満員だ。ディフェンダーの隊列は威圧感があり、見ていて迫力あるね。「全部合わせると1億円か」なんて思ってしまう僕は品がないかな!
チャレンジコースを上がったところで方向転換し、今度は下りに挑戦。家族連れの車内からは歓声が、というより悲鳴が上がっていた。みんな、オフロード走行を楽しんでいたようだ。
オフロード走行後は、僕とトクチンでブンゲン登山。先ほど、ディフェンダーで走ったゲレンデを歩いて上がり、ゲレンデ最上部に到着。見ると、午後の部のオフロード走行が行われていた(黄色矢印)

 10時に麓のセンターハウスに戻ってきたが、先ほどのスタックで、時計回りのコースは中止となった。そう言う意味で、我々はラッキーだったなあ。さて、これから僕とトクチンはブンゲン(射能山1255m)への登山開始である。

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