
大宰府政庁への旅に向けて意識を高める防人君(僕の化身)とそのお供のセイウチ君(トクチンの化身)。八ヶ岳の別荘にて。
Defender=防御する人=防人(ぼうじんorさきもり)ということで、このブログが”さきもりブログ”となったわけだが、”さきもり”とくれば大宰府を防衛にあたった人々ということになり、一度も大宰府に詣でたこともないのに、防人を名乗るのはいかがなものかということで、今回、息子のトクチンを引き連れて大宰府への旅を計画したのである。
そもそも、大宰府防衛の必要性が生じた理由は何なのだろうか。それは今から1300年ほど前に朝鮮半島のクム川河口の白村江(はくすきのえorはくそんこう)で行われた海戦で、唐・新羅の連合軍に百済・倭国(日本)連合軍が大敗を喫したことが原因のようだ。これにより、日本国内では朝鮮半島から攻め込まれる可能性が指摘され、その最前線である九州の福岡(地図を見れば、朝鮮半島に一番近いのは九州であり、ここに防衛網を築くのは極めて自然なものである)に防御施設を築く必要性が生じたのだ。博多湾の近くにあった穀物の貯蔵や対外交渉を行う重要機関を内陸に移し、これを大宰府政庁として周囲に土塁や山城を築き防衛網を周到に張り巡らした。そして、この大宰府の防衛にあたった人々が防人、すなわち日本のDefenderなのである(主に東国の軍人たちであったようだ)。
僕は高速が嫌いで、すぐに眠くなる。九州まですべて高速で行くなんていうのは地獄以外の何物でもないので、当然下道。しかし、のんびり下道だと日数がかかる。僕の計算(というより妄想)だと7泊から8泊は欲しい。しかし、娘への仕送りなどで我が家の財政は火の車であるため、奥さんからもらえるお金は7万円。そこで、夜はテント泊、車中泊(90でも車中泊が出来ることを示せたら、これは世界初の偉業‼)、安宿泊を組み合わせて行ってみようということになった。
更に、今回西日本の旅に出るにあたって、もう一つ大事な目的があった。僕は松本清張の『砂の器』が好きで、特にTBS版『砂の器』を最高に気に入っているのだ。千住明作曲の”宿命”はまさに和賀が背負った重すぎる宿命に合っていて最高だし、中居正広演じる和賀英良(本浦秀夫)もいい雰囲気を醸し出していた。そして、ストーリーの重要地域であるTBS版亀嵩駅も、給水塔が残されていて、レトロ感を振りまいていた。もちろん、原作とTBS版は相違があり、和賀(本浦秀夫)の父(本浦千代吉)は原作ではハンセン病という大きな宿命を背負っていたのに対し、TBS版では村人30人を殺害した犯人ということになっていた。また、和賀自身も、原作ではヌーボーグループという前衛芸術家集団の一人で、電子機器を使った音楽家だったが、TBS版(1974年の映画版もそうだが)ではピアニストであった。更に、このドラマで重要な意味を持つ亀嵩駅だが、TBS版ではJR山口線の篠目駅が使われていた。4年前、息子と列車を乗り継ぎ、木次線の本当の亀嵩駅を訪れたとき、我々は「これは亀嵩ではない」と思ってしまったのだ。当時、旅から帰り調べてみると、TBS版で使われていた亀嵩駅は山口県にあるとわかり、愕然とした過去がある。この時以降、いつか必ずや我々にとっての本当の亀嵩駅⁉を訪れるぞという思いは日に日に高まっていったのだった。更に、ドラマでは千代吉が殺人を犯してから、息子の秀夫(和賀)を伴って石川県から島根県の亀嵩までの日本海側を歩いて警察の手から逃げ延びていくのだが、映像で登場する美しい日本海側の自然、丹後半島の伊根、兵庫の鎧駅、鳥取砂丘、なども訪れてみたいと常々思っていた。今回の旅ではこのロケ地巡礼(聖地巡礼)も兼ねてしまおう。本浦千代吉と秀夫の旅は歩きであったが、防人とトクチンの旅は我がさきもりちゃん(我が家のDefender90)と共にである。更に、千代吉と秀夫はハンセン病とその家族(または、大量殺人の犯人とその家族)という重い宿命を背負っての旅だったが、防人とトクチンは一体どんな宿命を背負って旅にでるのか。色々考えていたら、中さんから、
「ランドローバー京都創設以来の珍客として、M田さんから、珍人度合いをレンジローバーのランクに対応させてSVクラス認定を受けているではないか。これはまさに防人家の宿命だ。その宿命を背負って旅に出よ!」
とのお達しが!これで準備はできた。さあ、西に出発だ!

今回のテーマソングは、千住明の『宿命』と、さだまさしの『さきもりの歌』(映画「203高地」の主題歌)の二曲である。ちなにみ、ダッシュボードのピアニカは、TBS版砂の器で、千代吉と秀夫の逃避行で、秀夫が持っていたピアニカと同じものをそろえた。旅の間、隣でトクチンは『宿命』をよく弾いていた。

まずは8月1~2日にかけて、八ヶ岳の別荘の風通し、山梨のオヤジ殿との買い物、本の整理を行った。そして、8月3日の早朝(6時)、八ヶ岳の別荘から出発。目の前の八ヶ岳の向こうには北アルプスが。八ヶ岳高原道路、八ヶ岳ズームライン、茅野、諏訪を経て松本へ。そこから梓川に沿って安房トンネルを目指す。

梓川のダム群を越えて。

周囲は火山性の地形で、川にも温泉水が流入。

釜トンネル手前を左折。このまま直進して上高地に行けるのはバスとタクシーのみで一般車は通行止め。昔、沢渡に車を停め、自転車で上高地までクライムアップし、前穂、奥穂、唐沢などの登山を楽しんだなあ。

安房トンネルだ。このトンネルは驚くべきことにアカンダナ山(活火山)を貫通している。工事は困難を極め、作業中に水蒸気爆発が起こり、何名かの尊い命が失われたのだった。

道の駅 奥飛騨温泉郷上宝で『まろやかコーヒー』を取り出して、エネルギー補給。むかし、ここは釣りのための車中泊場所でよく使った。

高原川(神通川)沿いにある神岡鉱山。昔、ここから流れ出したカドミウムによるイタイイタイ病が大問題となった。
中部山岳地帯を越えた後は、高原川に沿って下り、41号を富山までひた走り、そこから舞鶴までは高速を使うことにした。このまま下道だと、天橋立に急遽予約したオートキャンプ場(一字観公園キャンプ場)のチェックインタイムに間に合わないし、以前、富山から福井までと福井から舞鶴までは下道を何度か走ったこともあるので、今回は高速ワープということにしたのだ。

日本三景(松島、天橋立、宮島)の一つの天橋立。この一字観(いちじかん)キャンプ場からの眺めは最高だ。キャンプサイトの客は我々だけ。後は、コテージに泊る家族が何組か。

テントを設営し終えて、天橋立を見入るトクチン。彼も感動したようだが、僕も感動した。今日はこの景色を独り占めできるのだ。最高の夜となるはずだ(はずだった)。

トクチンが「腹減った」とうるさいので、明るいうちに夕飯の準備。麓のスーパーで買ったお惣菜がほとんどだが、美味しく感じた。

沈みゆく夕陽に今日一日を振り返る防人だった。明日はどんな景色が待っていることか。日が沈むと海陸風が吹き始め、極めて涼しい。しかし、時たま蚊の攻撃も受ける。蚊取り線香と蚊よけスプレーは必須。

夜のテン場と天橋立。この写真を見ると、テント泊は最高と思うかもしれないが、テント内は暑く、シャワー浴びるもすぐ汗だく。入り口開けて寝ると風は入るが蚊の攻撃を受ける。蚊取り線香による煙の中で寝ることに。あまり寝付けず、すぐに目が覚める。隣でトクチンはぐうぐう寝ている。やはり若さにはかなわない。
僕は若い頃、黒部上之廊下を遡行しその谷間でよくテントで寝たことがある。その経験から、今回もテントを活用してみよう思ったのだが、認識が甘かった。黒部の標高は1500m前後と高く、夜は涼しいというより寒い。テントに入り、シュラフに潜り込むくらいで丁度よいわけなのだが、今回のような標高数百メートルくらいの場所では、テント内は灼熱地獄以外の何物でもない。巷ではキャンプブームのようだが、みんなよく寝ていられるものだ。ほとんど熟睡できず、汗まみれのきわめて不快な朝を迎えた防人だった。ちなみにトクチンは、昼間のさきもりちゃんの助手席でもグウグウ、夜の暑いテント内でもグウグウ。彼は鈍感なのか、それとも若さなのか?疑問は残るがきっと鈍感なのだろう。
コメント
高速は便利(ワープの時だけ)ですが、何も立ち寄れないのでつまんないですよね。私も知らない土地の下道は大好きです。わくわくします。
私も砂の器、気に入ってます。TBS版が放送した時に文庫本も購入しました(笑)
ちょうど東京の舞台が家の近くの蒲田というのも気に入りました。ズーズー弁とかヌーボーグループ懐かしいですね。
203高地も映画自体が好きです。これに影響され?そもそも歴史がすきだからですが、203高地大連旅順も旅行で行きました。203高地から見渡す旅順港はいいですよ。
長文失礼しました。
なっなんと!家が蒲田の近くですか。ということは、和賀と三木巡査が立ち寄った”スナックゆうこ”も近く?もしかして常連(笑)?更には203高地が好きで旅順に行ってしまった?ということは”坂の上の雲”とか秋山好古とか好きですかね。
スナックゆうこももちろん近いです(笑)残念ながら常連ではないですが。
はい坂の上の雲も好きです。最初のナレーションの「まことに小さな国が開化期を・・・」一時期全て暗記してました。ちょっと変人です(笑)
スナックゆうこが近くにある!羨ましい。坂の上の雲の最初のナレーションは僕もトクチンも好きですが、暗記はしなかったなぁ!後、エンディングのStand Aloneも良かったあ。今度僕と一緒にランドローバー京都に行ってM田さんを囲んで会話してみませんか。てんぷらさんもレンジローバーSVクラスにランクされるかも。いや、もしかしたらその上をいくのでは!?楽しみです。
はい是非機会があればお願いします。M田さんも困惑しそうですね笑
同じ色の2トーンカラー外装の同じスチールホイールの変わった人…