アルデンテという行き先を見失ってしまったスパゲッティバジリコを平らげ、サーフのテイルゲートドアにすわりI.W.Harperのウィスキーを飲んでご満悦の中さん、地面に座りカルーアミルクを飲みながら見上げる僕。今日は中さんとの約束の桂川の釣り、というより、桂川周辺におけるハイラックスサーフの走破性の試乗会に来たのである。普通は「今日釣れた魚は…」なんていう話ななるのだが、今日の二人は四輪駆動車の話ばかりに花が咲く。中央道での高速安定性、林道において低速でのディーゼルのトルクフルな走り(トルクフルな走り?モーメントが豊富?あまりわかっていない僕だが!)、特にディーゼルエンジンの静粛性には驚いた。普通、ディーゼルというとトラックを思い浮かべてしまうので、それとのギャップには驚かされた。それと、林道を走るとき普通車なら轍の山の部分に車輪を合わせて走らさないと車の底を擦ってしまうのだが、そんなことをまったく気にしなくてよい。極めて心地よく林道も運転できる。また、対地障害角のアプローチアングル(AA)が大きいので急な坂道を上がってもフロントバンパーを擦ることはない。スカイラインとは全く異なる異次元の世界だ(当たり前か)。夜は「テントを張ろうか」という僕の申し出に対して、「オレのサーフで寝ようぜ」という中さんの意見を受け入れてサーフに乗り込み、シートを倒して床に就いた。酔いが回り、気持ちよさそうに眠りにつく中さん、どの四輪駆動車を買うか妄想にふけり眠りにつけない僕、対照的な二人はそのまま朝を迎えるのだった。


中さんのサーフお披露目会から帰った僕は猛勉強を始めた。4×4Magazineを中心に四駆雑誌をことごとく読み漁り、妄想を広げ日々幸せだったなあー。世間も空前の四駆ブームで、トヨタのサーフや70系プラドをはじめ、いすゞビッグホーン、日産テラノ、クライスラーチェロキー(ホンダが代理店だったかな)、そして、三菱パジェロ、…各社の個性ある四輪駆動車がしのぎを削っていた。雑誌でも各社の四駆車対決的な特集が組まれ、それらの性能比較を必死で暗記したりもした。僕の部屋に4×4Magazineが積みあがってくる頃には僕の思いはサーフ(70系プラドも捨てがたい)、テラノ、パジェロに絞られてきたのだった。
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