Defender購入への道程(ピヨピヨ日記21:奥伊吹)

Defender購入日記

納車一週間前の日曜日(10月16日)の朝、僕とトクチンは奥伊吹に向けて姉川の上流を目指した。試乗の予約は14時からだが、その前に河原で昼ご飯を作って食べようということになり、早めに名古屋を出発したのだ。家で米を研いでおいて、ウィンナーと凍らしたハンバーグ(前もって作っておいた)を保冷バックに詰め込み、準備は完璧だ。姉川沿いに昼飯場所を探しながら運転するが、いい場所を発見できないまま気が付くと奥伊吹スキー場(現在はグランスノー奥伊吹というらしい)の会場に到着してしまった。駐車場に止めて、車から降りようとしていると、スタッフの方(ランドローバー神戸⁉の人で、若い人だけどとても話しやすい人だった)が駆け寄ってきてくれて、ドアを支えてくれる。恐縮しながら自己紹介すると、まずは手続きだけはしておく方が良いとのことなので、スキー場のレストハウスに行く。ランドローバー京都の営業の人とメカニックの人がすぐに対応してくれて、

「今からでも試乗できますよ」とのこと。

「腹が減っては試乗が出来ぬので、まずはそこの河原で昼飯食べて、予約通り2時に登場します」

「そうですか。気を付けて行ってきてくださいね。それではまた後で」

というやり取りを交わして、僕とトクチンは河原に向かう。それにしても、ランドローバーの人々は対応が迅速で丁寧だなあ。奥伊吹スキー場のあたりの川はもう小川のような小さな流れだが、スキー場裏に行ってみると、河原のそばに小さな炊飯場所を発見。まず、河原の木々を集めて炊飯場所の釜戸に配置しておく。次にガスバーナーでご飯を沸騰させ、5分間その状態を維持。その間に火を起こし、ご飯の鍋を焚火の脇に置く。次に、ガスバーナーの強火でハンバーグの表面を焼き、ウィンナーも入れて先ほどの焚火の上に置く。20分後、ご飯炊きあがり、ハンバーグも焼けて待ちに待った昼飯タイム。二人でむしゃむしゃ食べるが、ご飯三合は少し多すぎた。食べ終わってみるとお腹ポンポンとなり、胃に血液集中しまくり状態で片付けをして受付に。途中、駐車場で対応している若い営業の人に、「いい匂いが匂ってきていましたよ」と言われた。「へへへッ」本当は営業さんも誘えばよかったが、彼は仕事だからね。

小さな流れだが、澄んだ冷たい水だ。ご飯を浸漬して、その間、トクチンと焚火集め。
ご飯を焚火の脇に置いて15分くらいの間、均等に火が行き渡るように定期的に鍋を回転させる。ハンバーグも焚火で10分弱オーブンで温めるような感じで。
出来上がりました。焚火炊きのコシヒカリ、ハンバーグ、ソーセージ、コロッケ、コーンポタージュのランチでござーる。ちょっと作りすぎたかな。

レストハウスに行くと、ランドローバー京都のメカニックのS田さんという人がやってきて、

「私がサポートで一緒に乗りますね。よろしくお願いします」

とあいさつを交わし導かれたのは、ランドローバー京都で、初めての試乗で乗ったゴンドワナストーンの110ディーゼルだ。「よう、久しぶり」と語りかけて運転席に乗ったはいいが、またしても「はて、エンジンの始動は?Dレンジに入れるにはシフトレバーをなんか変なところを押して、動かさなくてはいけなかったような感じだが、どうだったかな?」となり、またしてもワナワナとなっていると、サッサとS田さんが出発の準備をしてくれてしまった。後一週間で納車なのに大丈夫か俺!?

これだけディフェンダーが並ぶと壮観だね。
一番手前から二台目がランドローバー京都の110ディーゼル。アレレッ、前試乗した時にサイドマウントギアキャリアーやルーフのアタッチメントパーツが付いていたかなあ?

Lowレンジにセットして、奥伊吹スキー場(グランスノー奥伊吹)のゲレンデに乗り出していく。車でゲレンデを走るなんてことはこのような機会がないとまずできないだろう。この車はエアサスなので、路面の凹凸も何事もなかったかの如くいなして進んでいく。そして、27度の急斜面も勝手に上がってくれるので、こちらはハンドルを保持し、アクセルを調整するだけでよい。スキー場の頂上について記念撮影などして、しばらく景色を楽しむ。このスキー場はブンゲン(射能山)という変わった名前の山の北西斜面側に構成されている。この不思議な山の名前は、この山域からウラン元素が産出されたことに因んでいる。本当は、試乗前にブンゲンを登ってからにしようかとも考えたのだが、コースタイムが6時間30分ということに怖気づいて取りやめて、その代わりに昼飯を作ろうと考えた次第だ。

さて、いよいよ下山タイムだが、もし冬でここにいるみんながスキーを履いていたとして、このうちの何人が無事にレストハウスまで滑り降りることが出来るだろうか?そのようなコースを今からディフェンダーで滑る、いや違った!降りていくのである。下りはヒルディセントコントロールのボタンを押して、スピードを時速10㎞にセッティングして降下開始。すると車は時速10㎞を忠実に維持しながら急傾斜を降りていく。途中、ぬかるんだ場所で車輪が滑り出しても四輪が電子制御でコントロールされるので不安になることはない。傾斜が緩くなってきたらセットスピードを20㎞(時速30㎞まで調整可能)くらいにして降りていく。本来これだけの坂をエンジンブレーキで降りて行ったらどんどん加速していってしまうので、フットブレーキを頻繁に踏まなくてはならないのだが、ヒルディセントコントロールを使うと、運転者はハンドル操作だけに集中すればよい。この制御システムはランドローバー社が開発し特許を持っているようで、そのため他社が使うときもヒルディセントコントロールという名で使われているようだ。

レストハウスに戻ってくると、次の回も試乗できるようなので、今度はコイルサスの90をリクエストすると、なんと、あるらしい。S田氏も再び同乗してくれるようなので安心してコイルサスの90に向かう。サントリーニブラックでホワイトスチールの90!やっぱりカッコよくカワイイ!

やっぱり、ディフェンダーは舗装された道路より、土の地面の上の方が似合うよね。
サントリーニブラックのコイルサス90。

先ほどと同じコースを運転し始めるが、すぐに挙動の違いに気が付く。コイルサスの90は路面の状況が運転者に手に取るようにわかるのである。これは僕にとって精神的な安らぎを与えてくれるようで、路面からの車の挙動でアクセルワークやハンドリングをどのように調整するかの判断がいち早くできるからである。この点、先に乗ったエアサスの場合は、路面の状況をいなされてしまうので、乗り心地は良いのだが、路面状況がよくわからないまま物事が進んでいく。たしかに、電子制御で車がすべてやってくれるわけなので、乗り心地が大事だと思うのであればエアサスだろうが、僕はなんか、ふわふわした感じが地に足がついていないようで落ち着かなかったのである。それに、コイルサスのパジェロに30年乗ってきて、それでダートを走りまくってきた過去の経験があるのかもしれない(これが一番大きいか)が、そのパジェロをはるかに上回る一体感。このコイルサスの90に乗った瞬間、体にピッタリとはまったというか、意気投合したというか、故郷に帰ってきたというか、何とも言えない満足感に包まれて、自然に笑いだしてしまったのである。S田さんも、「コイルサスの方が反応が機敏ですね」との感想。まあ、エアサスかコイルサスかは個人の好みであり、それまでに乗ってきた車の種類に依存しているだろう。「反応が機敏」と思うか、「乗り心地が悪い」と思うかはその人次第なので、このようなオフロードでの試乗体験を通して判断するのが一番良いのではないだろうか。有名なモーター評論家が「ディフェンダーはエアサス一択」などと書いていたとしてもそれはあてにならないのだ。あくまでも自分が体験し、自分の感じに従うのが最も信頼できる判断基準なのだろう。驚いたことに、息子のトクチンまでが「アッ、こっちの方がいい」という感想。夏に京都でエアサスの90に試乗した時は感じられなかった満足感を味わえたのである。大きな収穫だったが、「もし、これが逆だったら事件でしたね」とは後日、M田さんからの返信メール。確かに、逆の感想になったら恐怖、恐怖。

一回目の試乗での頂上での風景。みんな、それぞれ写真撮影。これから買う人も、すでに注文した人もみんな童心に帰ってはしゃいでいた。
頂上で、童心に帰った防人自身。トクチンが撮影してくれた。奥の山は金糞山(かなぐそやま)or川上岳?
二回目の試乗で、再びやってきた頂上。コイルサスの90に極めて満足したのだった。

二度目の試乗時は、こちらも少し慣れて、メカニックのS田さんといろいろ話すことが出来たが、彼はもとは国産メーカのメカニックとして働いていたが、数年前にランドローバーに移籍してきたらしい。彼によると、四駆としてのメカニズムは国産車よりランドローバーの方が一目も二目も上だと言っていた。特に、ヒルディセントコントロールは本家の威厳があるようで、他社の追随を許さないようだ。

頂上からゲレンデを見下ろす。中級者コースかな。
運転席からの眺め。一週間後からはこれが日常になるのかぁー!ワクワクワクッ‼

レストハウスに戻ってくると、お腹もちょうど良い感じになってきたので、サンドイッチとコーヒーをもらい、スタッフの皆さんにお礼を言って駐車場へ。驚くことにすべて無料。高台でおやつ代わりにコーヒーを飲みながらサンドイッチを食べてトクチンと今日の出来事を思い出すように会話をする。息子は特に急斜面を登ったり降りたりするディフェンダーの能力に感動したようだ。

「僕も免許取ったらディフェンダーに乗る」

「来週納車されるディフェンダーはお父さんのだからな。トクチンは自分で働いて買えよ」

「えッー、ケチっ!」

「ケチなもんか!車は自分で買うもんだ」

みたいな同レベルの会話を駐車場の脇で繰り広げるのだった。そこに、朝、親切に対応してくれた若い営業の人もやってきて、今日の試乗会のことで盛り上がった。彼はこれから撤収して(確か)兵庫まで戻るらしい。「お互い、運転気を付けて帰りましょう」と別れの挨拶をして、僕らは一足早く会場を後にした。

帰りはやっぱり、下道で、関ケ原、垂井(ここのケーキ屋さんでロールケーキをお土産に買って)、大垣、岐阜羽島、一宮、小牧、春日井、といつものドライブルートで最後のパジェロによる遠征を噛みしめながら戻ったのだった。MT車とも来週でお別れだな。

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