彼女(Vehicles CarrierのArabian Sea)が名古屋にやってくる。
10月3日の午後、彼女は豊橋港を出港、その日の夜遅くには知多半島からセントレア(常滑沖)、そして、名古屋港に迫ってきた。そして、10月4日の早朝には名古屋港金城ふ頭に接岸。ここはJR東海のリニア鉄道館やレゴランドがあり、名古屋人にとって馴染みあるところである。しかし、何故このような娯楽施設のあるところに自動車運搬船がやってくるのだろう⁉
10月4日、娘や息子が学校に行った後、僕もそそくさと準備をして、
「それじゃあ、行ってくる」
というと、奥さんは
「えッ、今日は仕事午後からじゃあないの?」
「いやッ!急遽仕事が入って!Arabian Seaが名古屋港に来たので、会いに行かないといけなくなったのでね」
「…」
「ほんじゃあ!行ってくるわ」
「…」
目が点となっている奥さんに手を振り、僕の思いは名古屋金城ふ頭にまっしぐら。昼夜問わずヒソヒソと密会していた彼女(Arabian Sea)に会いに行くのは、なんだか不倫しに行くようで少し後ろめたい気分だ。しかし、M田氏にも「しっかり写真撮ってきてくださいよ」と言われたことだし、ここは堂々と会いに行くべきだろう。名古屋市内は通勤ラッシュの名残がまだあり、市内の至る所で信号に引っかかり運転しづらい。熱田神宮まで来ると、標識に”金城ふ頭”の文字が!後は標識に従って運転して(ナビを使うことはしない。機械音声にナビされるのは嫌いだし、操作がよくわからないという根本的問題もあるからね)、1時間半ほどで、JRリニア鉄道館に到着。このふ頭の西側の岸壁に彼女がいるのだ。ドキドキと共にステアリングを右に切ると…!
いたっー!Arabian Seaちゃんがいたぞ!よくもまあ、ヨーロッパから遠路はるばる我がディフェンダー90ちゃんを積んできてくれましたぁー。ウワァーん!!!男泣きになく僕。感動の対面。


リニア鉄道館に来るだけだと気が付かないが、その西側に少し足を延ばしてみると、あちらこちらに大量の車(新車)が駐車されており、海外への輸出を待っているのだ。そして、Arabian Seaの手前の巨大な駐車場にもたくさんの車が止められていて、よく見ると、船尾の車の搬入口に向けてものすごいスピードで、次から次へと車が突入していく。運び込まれるのは乗用車だけではなく、ブルドーザーのような重機も入っていく。この駐車場の入り口にいた守衛さんに話を聞くと
「名古屋港は自動車の輸出港としては日本一だよ」
とのこと。流石トヨタのおひざ元!豊橋港が外車の輸入港として日本有数であるのに対して、名古屋港は国産車の輸出港として日本一ということか。すごいぞ愛知!



周囲をウロウロしてみると、トヨタ、ホンダ、三菱、スズキ、…など自動車メーカーごとのモータープールがあり、特に目を引いたのはスズキのハスラーだ。色とりどりのハスラーが並んでいて、まるでカタログのようである。色決めで悩んだら、ここに来れば実物を見ながら考えることが出来るのでおススメかな⁉



これまで金城ふ頭は家族で訪れる商業的娯楽施設の場所かと思っていたら、今回、全然異なる側面を見ることが出来た。躍動する日本の車産業と世界とをつなぐ主要な出入り口だったのである。レゴランドと壁一つを境に全然異質な世界が隣り合わせになっていたということを知ることが出来たのもArabian Seaのおかげである。感謝感謝。ちなみに、名古屋港の陸地部分は日本一、取り扱い貨物量日本一、貿易額も東京港、横浜港を抜いて日本一、自動車輸出台数はもちろん日本一。コンサートの名古屋飛ばし、観光的に魅力が…などと揶揄される名古屋だが、名古屋港を見ることでモノづくり愛知と言われているこの地域の底力を垣間見ることが出来た。いい社会勉強でした。

金城ふ頭から職場に向かいだしたときに、広場があったので車を止めて振り返ると、名港トリトン(湾岸道の橋)が見えたが、Arabian Seaの姿は隠れてしまって見えなくなっていた。その日の夕方、Arabian Seaは横浜港に向けて出港した。
コメント