ジャーガー・ランドローバーのシステムがサイバー攻撃を受けたというニュースをスマホで見たとき、自分のことは棚に上げて「これからオーダーしようとしている人や納車待ちしている人はやきもきしているだろうなぁー。ランドローバー京都のM田さんたちもてんやわんやかぁー!」と思ったのだった。このサイバー攻撃が自分にも降りかかってくる事態だということを一度たりとも考え合わせてみたことはなかったノー天気な防人だったのである。
9月6日の土曜日はさきもり号初の車検のため、ランドローバー京都に行く日であった。長期休暇で名古屋に戻っている娘が、
「6日はディーラー以外にどこかへ行くの?」
と聞いてくるものだから、
「実は、いつも行列ができるハンバーグ屋さんとして有名な”グリルはせがわ”に行くつもりだ」
と答えたところ、自然と娘もくっついてくることになったのだった。食を中心に人生を構成している娘には自然の成り行きなのだろう。こちらも、ハンバーグの権威を名乗るのであれば、この”はせがわ”に行ったことがないというのでは格好がつかないと思っていたので、今回は二人の目的意識がうまい具合に合致したということか。

朝5時40分に名古屋を出発。まずは、西に向けてひたすら走り、木曽川・長良川をまたぐ東海大橋を渡る。青空に赤のトラス構造がよく似合う。橋の向こうに横たわる山並みは養老山系である。

揖斐川、津屋川を越えて、県道56号線を関ケ原に向けて元気よく走るさきもりちゃん。この56号線は別名『養老焼肉街道』と呼ばれていて、いろいろな焼き肉店が集まっている。休日の夕方には各店舗前に行列が形成されるくらいこの周辺の住民は焼肉好きだ。
ランドローバー京都に到着するや否や、サービスのN美さんと営業のM田さんが現れて、二人に挟まれてショールームに入店。着席するや否や、
「防人はんは、JLR本社がサイバー攻撃を受けたというニュース知ってはります?」
とのことだったので、
「いやぁー、それはこちらも聞こうと思っていたことなんですよ。新しい車を契約した人とか大変なんじゃあないですか?」
「8月31日に攻撃があったらしくて、その日からネットにつながらくなって、?状態だったのですが、9月2日にプレス発表があってそれで我々も詳しく知ったような状況なんですわ。車の製造状況の確認、部品の発注など全くできない状況なんですぅーッ!防人はんの車検関係の部品は攻撃前に発注してあったので無事なのですが、今回の修理に関する部品はこれから傷を確認しての発注になるので、システムがいつ戻るのかが皆目見当もつかない状況なので、今回の車検に抱き合わせて修理完了できるかどうか怪しい雲行きなんですよ。まあ、来週の日曜日(9月14日)までにシステム復旧しなかった場合は、まずは車検終了ということで一度さきもり号をお返しして、修理部品が整った段階で再び入庫ということになりはるかもです。本当にお手数かけますぅー」
「なんと!わがさきもり号の修理も影響があるとは…!自分のことは棚上げしていました。ということは、今日も入れて少なくとも年内中に京都には4回も来ることになるのですね。いやぁー、たくさんドライブできて幸せです」
「我々もお客様を幸せになりはっていただいて金を払っていただくことが仕事どすからぁー」
「次回はネギをもって、じゃあなかった、残りのお金をもってきますよ」
以下が今回の車検内容である。まず、今日は80650円を支払った。そして、今度(いつになるか未定になってしまっているが、早いと来週の14日、部品調達のシステムが復旧すればもう一週間後の21日とか28日になるか)ランドローバー京都にやってきた時に残りの191400円を支払うことになるわけである。
車検について!!(さきもり号の走行距離は6万1千キロ)
重量税 :41000円
自賠責 :17650円
代行手数料:22000円 合計80650円
ここまでの費用は絶対必要なもの。これは今日支払わなくてはいけないお金。
次がランドローバー京都で行うことでかかる別途費用。
車検点検整備作業一式:71000円(以下の細かな点検色々)
ブレーキ系統点検
ブレーキパッド残量測定(F10㎜、R10㎜)
ステアリング系統点検
ステアリングギアボックス取付点検
トランスミッション系統点検
トランスミッションオイル漏れ点検
エンジン系統点検
エンジン冷却水の水漏れ点検
燃料系統漏れ点検
ホィールボルト締付点検
バッテリー電圧点検・ターミナル締付⇒12.59V、713A
シャシー・サスペンション系統点検
フレーム・メンバー類締付点検
タイヤ偏摩耗・空気圧測定(F6.3㎜、R6.2㎜ F230kpa R250kpa)
灯火装置系統点検
LRPC指定定期交換部品(エンジンオイル補充、ウィンドウォッシャー液補充)
車検検査費用(測定機器使用):17000円(テスター装着など?)
Land Rover専用診断機使用/故障診断
陸運局に提出する書類に必要なデーターの測定。
車検マイナーパーツ(グリス、油脂、パーツクリーナー):2000円
産業廃棄物処理費用 :2000円
ブレーキオイル交換 :4200円(部品代)+9000円(整備料)
エンジン冷却水(クーラント)交換:12500円(部品代)+18000円(整備料)
エアーエレメント交換 :10900円(部品代)+3600円(整備料)
エアコンフィルター交換 :14800円(部品代)+9000円(整備料)
合計 174000円+消費税17400円=191400円
車検総費用 80650円+191400円=272050円なーり!
ディーラーで車検する場合、車検必要経費80650円以外に、車検点検整備作業一式71000円と車検検査費用(測定機器使用)17000円の88000円は必ず払う必要があるのだろう。それ以外の11万円は防人が必要と思ったのでやってもらうことにしたのであって、断ることもできるものである。なので、日ごろからきちんとメンテナンスしていれば、輸入車ディーラーでも20万弱で車検を済ませることも可能なわけだ。世間で言われているほど高いわけではない。ただ、バッテリー交換、タイヤ交換、デフオイル交換などが重なると、それぞれ10万円レベルのアップがガツンガツンと来るので驚きの額となることもある。日ごろからコツコツとお金をかけて手入れするか、車検時にガツンと払うかということだろう。

ランドローバー京都の入り口にはフジホワイトのディフェンダー110が停まっていた。普段と変わりないようだが、実は、サイバー攻撃のため業務は滞り、大変な状況なのだ。

ディーラーから"グリルはせがわ"に向けて娘と共に歩き始める。北大路通りを西に向けて歩いていくと、まず、高野川を渡ることになる。目標地点まで3㎞弱の道のりだ。

北大路通りをさらに西に進むと、30分ほどで賀茂川を渡る橋(北大路橋)が見え始めた。この時点で開店時間の11時ちょっと前であった。あともう少しだ。

北大路橋を渡りきったところにあるのが"グリルはせがわ"だ。賀茂川沿いにお弁当の窓口があり、レストランは反対側にある。お弁当を買って賀茂川の河川敷で食べても風流カモ。
手続き後は、ショールームを徒歩で出発して、北大路通りをひたすら西進し、30~40分で賀茂川の右岸にある”Kyoto GRILLはせがわ”に到着した。我々がお店の手前の赤信号に引っかかっている丁度その時にオープン時間となり、表に並んでいた10人ぐらいのお客さんがお店に入っていった。お弁当販売の所は誰も並んでいない。最初、「あまりに多くの人が並んでいたなら、お弁当にして、賀茂川(高野川と合流すると鴨川となるらしい。知らんかったぁー!)の木陰で食べてもよいね」と娘と覚悟を決めていたので、なんだか拍子抜けして、レストラン側のドアを開けてみたのだった。すると、まだ、二~三組入れるくらい席が空いていて、まったく待ち時間なく入店できてしまったのである。なんとラッキーなことよ。30分ほど待って登場したハンバーグは、付け合わせに目玉焼き、スパゲッティナポリタンとベーコン(ベーコンハンバーグなのでこれは当然か)が添えられていて、ご飯が何杯あっても足りないぐらいだった。ハンバーグソースはトマトケチャップ味が目立つ感じで、ご飯というよりパンに似合う仕上がりになっていたかも。防人としては、濃厚なデミソースの方がご飯に合うと思っているので、この点はいまいちだったかなァー(娘はこのソースも含めて気に入ったようなので、これは個人の好みということだろう)。とにかく、全体としては大変充実したお昼御飯が食べられてとても幸せであった。

開店時間前から10人くらいの行列が。我々が信号待ちをしているときにオープンとなり、店の前まで来たときには行列の人々は店に吸い込まれ、店の前の人影は消失していた。つまり、我々は全く待つことなく、並ぶことなくお店に入れたのである。ラッキー!

11時5分に着席したが、11時10分には満席となった。オーダーしてから食事が来るまでには30分ほどの時間がかかるので、普通の店より少し長めの時間が。防人はベーコンハンバーグ1800円を注文。付け合わせもナポリタン、目玉焼き、ベーコンと好きなものばかり。当然ご飯は大盛りだ。

娘はチーズハンバーグを注文。大そう気に入った様子で、ご満悦であった。

食後は賀茂川の右岸を下鴨神社に向けて歩いたのだった。写真中央は比叡山だ。

路地を歩いていたら、『ランチとコーヒーの店かも?』という看板が。入ってみたら"寿司屋"だったりして。

ここは下鴨神社の楼門だ。この辺りは"必殺仕事人"などの時代劇の撮影でよく使われたらしい。

楼門をくぐると美しい舞殿が現れた。娘はあまり興味ない様子で、お祈りもソコソコに…。

神社の糺の森あたりではいろいろな売店が並び、目の色を変えた娘は一目散にこの屋台群の中に消えていった。

今回の代車は"レンジローバーヴィラール"だ。そういえば、中さんのレンジローバー、レンジローバースポーツを運転させてもらったし、前回はレンジローバーイヴォークを少し運転した。ということは、一応、現在のレンジローバーファミリーすべてを制覇したことになるのかなぁー。
昼飯後は、賀茂川を散歩し、下鴨神社からショールームまで残暑の中すべて歩き続けたのだった。代車の『レンジローバーヴィラール』に乗って、帰路は琵琶湖大橋を越えて、永源寺経由の道で名古屋に戻ってきた。さて、部品供給が今回の車検時に間に合うのか、それともしばらく混乱が続くため、傷の修理は随分と後になるのか神のみぞ知る状況というわけだ。
《追記》今回のサイバー攻撃で相当深刻な被害をJLRは被ったらしい。いつになったら正常な状態になるのか皆目見当もつかないが、このまま長引くと大変なことになるだろう。部品の調達ができないということは修理ができないわけで、車検を通すのに必要な修理となると期限があるので、その期限を過ぎても部品が到着しないなんて言うことも起こりうるのだろうか?N美さんの話だと「部品の供給に関する部門を真っ先に正常化するべく優先的に作業している」ということであるが、サイバー攻撃以降一週間以上が経過しているわけで、そろそろ目途が立ち始めてるのか、それとも、混迷の度合いを深めているのか一体どっちなんだろう。それから、Piviproのソフトウェアーアップデートとか大丈夫なんだろうか?(サイバー攻撃でシステムがおかしなことになっているわけだから、ありもしないアップデート情報を送り付けてくるなんて言うことはないのだろうか?防人は情報端末系は弱いのよねぇー!)。色々?マークなのであるが、現場はもっと混乱し?マークばかりなのかもしれない。とにかく、生産自体がストップしているという話もあるし、メーカー自体が機能不全に至るサイバー攻撃の怖さを目の当たりにしたという感じだ。例えるなら、いきなり本丸が焼け落ちてしまったということか?現場は大変なのだろうけど、一刻も早い復旧を願う。
《追記2》「JLRはサイバーインシデントの影響を受けました。影響を軽減するため、私たちは直ちにシステムを積極的にシャットダウンする措置を取りました」とJLRの広報担当者は語っているようだ。また「現在、私たちはグローバルなアプリケーションを管理された方法で再起動するために迅速に作業を進めています。この時点で顧客データが盗まれた証拠はありませんが、小売および生産活動は深刻な混乱を受けています」とも述べている。同社は被害を受けたサイバー攻撃の種類について詳細を明かしていないが、封じ込めのためにシステムを切断するのはランサムウェアへの典型的な対応だ(SecurityWeekの記事より抜粋)。
このランサムウエアというのは、感染すると、データが暗号化されたり、業務情報や個人情報が窃取されたりするらしい。そして、暗号化された情報を元に戻すための身代金(!?)の請求、さらには盗んだ情報を受け渡すときに二度目のお金を請求するという二重窃取の構造のようだ。また、8月31日の日曜日に攻撃があったとすると、9月初めの繁忙期(西洋は9月はじまりだから、車会社も忙しいのかな?と勝手に解釈)を狙っているとみられ、これは犯人側が交渉で有利になる時期を狙ってきたと解釈できるのではないだろうか。混乱を早期に収束するために相当な身代金が払われれることになるのかもしれない。JLRは「現時点で個人情報の流出はない」と言っているが、ランサムウェアに感染するとほぼ間違いなく情報の流出は起こるらしいから、JLRも二重窃取に苦しむことになるのか?それにしてもひどいことを考える輩がおるもんだが、その賢さをもっと社会のために使えんもんかねぇー!
(補足) 9月10日、JLRは「一部情報の流出があった」と報告したらしい。
《追記3》中さん(大きな企業のお偉いさん)からの話だと、『身代金』を支払う可能性はゼロとのこと。もし払おうものなら、この事実が瞬く間にアンダーグランドの世界に広まって次から次へと新たなウィルスが仕掛けられるリスクが高まるかららしい。だから、何とかして自力(外部のリソースも使ったり)で解決することになるとのこと。ということで時間はかかる。さきもり号の修理はいつになることやら!JLR本社の方々、頑張ってくださいよ。
《追記4》9月11日にランドローバー京都のN美さんから連絡があり、案の定というか、未だに部品供給網の復旧はできていないようだ。というわけで、9月14日にまずは車検終了のさきもり号を取りに行って、傷の修理については部品供給網が回復してから予定を組みなおすことになった。ここで、車検においてはテスターによるコンピュータ診断(Land Rover専用診断機使用/故障診断)が欠かせないが、これができなくてはいくらサイバー攻撃前に部品を取り寄せていたとしても、車検終了すること自体も不可能だったはずだ。そこで、「このテスターは大丈夫なのか?」とN美さんに聞いてみたところ、テスター関連の被害は少なかったらしく、現在は回復しているとのことだった。
(補足) 9月14日、日曜日に車検終了ということで京都に行ったのだが、ランドローバー京都サービスのN美さんが、「一部部品のオーダーが取れるようになった」と言っていた。そのおかげで、さきもりちゃん修理の部品は全部揃うことになったので、10月半ばに再び修理入院することになりそうだ。それから、Piviproのソフトウェアーアップデートとかは大丈夫らしい。
《追記5》再び中さんから入電!「それにしても防人が書く京都弁はヒドイ」らしい。指摘されたところは、
「…修理部品が整った段階で再び入庫ということになりはるかもです。…」
「我々もお客様を幸せになりはっていただいて…」
防人的には”…はる”、”…どすぇー”、”おおきに”とか使えば京都弁になると思っているので上の文章が変とも何とも思わないのだが、京都に住んで20年以上(30年くらいか?)の中さんにはすごく気持ち悪いらしい。ちなみに、中さんの奥さんは生粋の京都人だからなおさらか?防人は(中さんもだが)甲州出身だが、両親は神奈川と広島なので、甲州弁は学校では使っていたが家では使わなかったので30年以上の名古屋生活ですっかり抜けてしまった。だからと言って名古屋弁が身についたわけではない。甲州弁(”…ずら”、”ってッ”)、広島弁(“じゃけん”)、神奈川弁(”…だっぺ”)、名古屋弁(”…ダガやぁー”)、三河弁(”じゃん”、”だら”、”りん”)、京都弁(“…してはる”)なんかが混在して訳の分からない言語体系と化しているのだ。でッ!結局どう修正すれば適正な京都弁になりはりまんねん。


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