その昔、ある自動車整備工場で
「ATFは交換しなくていいのですかね?」
といった質問をしてみたら、
「ATFの交換はしなくてよいですよ。というか、しない方がいいですよ」
と言われて、防人的には???であった。何故なら、いかにロングライフと言えども、駆動力の伝達、高温になるであろうATを保護し、金属同士の接触を滑らかにし、こびりついた鉄粉などを洗浄している油なわけだから、いつかは劣化してしまうだろうと思ったからだ。
《注意》ATFを未交換で長く乗り続けると、AT内にスラッジなどが蓄積し、その状態でATF交換を行うと、新しいフルードの強力な洗浄作用でスラッジがはがれ、狭い部分でそれらが詰まりより切実な状態になってしまう。であるなら、妥協策として交換せずに乗り続けたほうがよいということになってくるわけである。あくまで、愛車に長く乗り続けたいのであればATF交換は必須と思っている。
エンジンオイル交換は日ごろからマメに行っている。デフオイルも前後、センター共に交換した。この前のランドローバー京都での車検でブレーキオイルとかクーラントも交換した。残る砦はATFのみとなったわけだ(イヤイヤ、バッテリー交換、タイヤ交換、…etc!そして、これらの繰り返しが所有している限り順繰りにやってくるのだけどね!)。そんなこんなでATF交換の思いが頭を巡るようになり、何かにつけて調べる機会が増え、その結果、『トルコン太郎による圧送式交換』にたどり着いたのである。しかし、ATFの交換は最後のオイルレベル調整という職人芸的感覚を要する技術が必要で、適当な所でやるわけにもいかず。もちろん、ディーラーで圧送式交換をやっているところはほとんどないらしい(一般的には、古いATFを抜いて、抜いた分の新油を入れて、レベル調整して終わりという感じ)。関東では新型ディフェンダーをトルコン太郎でATF交換したという記事を見つけたが、名古屋周辺にはそのような整備工場を見つけられずにいたのだ。しかし、口コミやブログなど多角的に情報を拾っていくと、どうも草分け的な整備工場が名古屋の南東方向の豊明という所にあることが分かってきた。「ATFを交換すると車が壊れる(都市伝説か?)」と言われていた時代からATF交換を手掛け、あのATなどのトランスミッションを作っているアイシン精機の人もその整備工場でATFを交換しており、いままで2000台以上の国産車、輸入車の交換を行ってきた老舗中の老舗、
『M’s factory』
という整備工場がそれである。この整備工場は人里離れた山深いところにあり(?)、一人の車整備の匠or仙人により運営されているらしい。年末にこの工場に連絡を取り、予約し、2026年2月6日にさきもりちゃんと共にこの工場を訪れたのである。

ウーム、この道でいいのかなぁー?

ムムムッ!山林に突入していくぞッ!

林を抜けると、小屋(失礼)が現れて…!

なんと、その建物がM's factoryでした。

はじめてだと間違いなく素通りしてしまう。素通りすると毛受(めんじょう)兄弟と身代わり弘法?という謎のスポットが現れる。兎に角不思議な場所にM's factoryはあるのだ。写真背後は住宅地になる。

近所には池もあり、極めてのどかな場所にM'factoryはある。まさに、ディフェンダーの雰囲気にはぴったりの場所だ。ところでこの池は何か釣れるのかな?
到着すると、ピットの中からM’s factoryのM野さんが現れて、今回の”トルコン太郎による圧送交換”についての詳しい説明がなされたが、極めて豊富な知識を有し、経験も豊かで、こちらの些細な質問にも重厚な答えが返って来て、安心してさきもりちゃんのATF交換任せることが出来ると確信した。しかも、このM野氏は話が上手で、こちらもついつい彼の車談議に引き込まれ、気が付いたら1時間半ほど経過していた。時間がたつのはホント速いものだと思った。さーて、以下では”トルコン太郎によるATFの圧送交換”の実況中継に入ろう。ただ、極めて情報量の多いM野氏の弾丸トークを、素人の防人が勝手に解釈して説明を加えているので、怪しいところは多々あるはずなので、きちんとした説明は現場に行って、M野氏直々にお話を聞くべきであろう。

ピットに入り、いよいよさきもりちゃんのATF(オートマチック トランスミッション オイル)の交換作業が始まります。

分厚く重いアンダーカバーを三枚取り外してやっとATにたどり着けるとのこと。ディフェンダーは整備士泣かせの構造らしい。

従来の輸入車のオイルパンは右側。今回さきもりちゃんから取り外したオイルパンが左側。この新しいタイプのオイルパンを装着した車のATF交換は初めてとのこと。ATを覆う部分が古いタイプ(橙)に比べて新しいヤツ(青)は長くなっている。

従来のオイルパンでは、ゴムパッキン部分(橙色矢印)が薄く、ボルトのしめ方がヘタクソだとオイル漏れしたらしい。それに比べて、新しいタイプのパッキン(青矢印)は太くなり改善されていることがわかる。

使い古されたATFを抜いていく。この古いATFの一部をビーカーに入れて保存し、交換後のATFと比較する。4.5ℓのATFがしっかり抜けきったことを確認する。

オイルが抜けたので、オイルパンを取り外す。M's factoryのM野氏によると、67000㎞走っている割にキレイだったようだ。日頃穏やかな運転をしていたことが功を奏したか。

オイルパンヘリの磁石部分(オレンジ色の囲い)で鉄粉を吸い付け除去するわけだが、ここにへばり付いている鉄粉の量もそんなに多くはなかったらしいが、写真を見るとある程度はこびりついていることがわかる。

オイルパンを取り外すと、バルブボディーが露わになる。左側のオレンジ矢印がアイドリングストップ機構関係のシリンダー型の部品?で、ここも汚れが少しあるようだ。その隣の、黄色矢印部分は8流路あるので、ギヤごとのATFが流れる流路?。

シリンダー型の部品を拡大してみよう。灰色っぽくなっていて汚れが目立つ。

洗浄後の様子。特にシリンダ型部品はシルバー色となり、とてもきれいになった。

洗浄後のシリンダー部分(青矢印)を拡大!きれいさっぱりだ。

新しいオイルパンに交換しよう。先ほど取り外したヤツと同じ。

このオイルパンだけで3万円するらしい。1月から値上げされ3万5千円になったとか。運よく防人は年末に申し込んでいたので、ギリギリ、3万円の価格でやってもらえることになった。ラッキーッ!

さーて、いよいよトルコン太郎による圧送交換の準備開始。オイルクーラーを外して、専用の二本のホースをバイパス接続(並列接続)する。トランスミッションのポンプで古いフルード(ATF)を排出し、一方、トルコン太郎のポンプで排出量と同量の新しいフルード(新油)を注入していく。

さきもりちゃんのエンジンをスタートし、トルコン太郎もオンにして、いよいよ両者のコラボによる圧送交換の開始だ。

今回使用されるATFは『Royal Purple Max ATF』というヤツで、高温域で威力を発揮するタイプ。リッター4870円なので全体で16.5ℓ使用するので80355円なーり。

左の赤矢印が新油。真ん中の黒矢印がさきもりちゃんから抜き取った古い油。空になったAT内に抜き取ったフルードよりやや多い量の5ℓの新しいフルードを充填させたものが、一番左の茶色矢印の状態。新油と比べてまだまだ汚れているので、ただオイルを抜いて入れるだけのATFの交換はあまり効果がないことがわかる(値段は安めだが!)。さーて、いよいよ新油を入れて汚れた油を抜いての圧送交換スタート。だいたいこの循環で、10ℓほどの新油を使うらしい。だから交換費用が高額に!自車愛が強烈でないと無理です。

圧送交換終盤の状態。左の赤矢印のところが新油。真ん中の瓶が使い古しの油(さきもり号に入っていた油)。そして、右側の赤矢印がさきもり号のATに満たされている油なのだが、ここまで来ると、左(新油)と右(注入した油)のフルードはほぼ同じ状態となった。これがトルコン太郎による圧送交換の威力なのである。今回の『Royal Purple Max ATF』というATFは高温域に極めて高い耐性があるので、日本の夏場では威力を発揮するらしい。夏が来るのが楽しみだ。

添加剤として『D1ケミカル SOD-1 Plus』を使用。注入したATFを助け、クラッチの洗浄能力をアップさせたり、動力伝達能力をあげたり、ATFにとっての良き助っ人となるものらしい。

上記の添加剤を、注射器みたいな器具で、AT内に注入していく。700mlほど使用する。お値段は11200円なーり。

トルコン太郎の操作自体は誰にでもできるとのこと。最大のポイントは、オイル交換終了後のオイルレベル調整にあるらしい。この調整はなかなかシビアで、これを怠るとトランスミッションを壊してしまうことになる。やはり、2000台以上の車のATF交換してきたM's factoryのM野氏の職人芸に頼ることが安心につながる。写真のように規定油温でオーバーフローさせ、ATFが写真よりもう少し細く糸状になれば油量調整完了。

左側が新油。カプセル内に銀色の異物除去用のフィルターがあるため、それによる光の反射のため、かなり明るい赤色になっていることに注意。現実はもっと暗い赤である。右側が、何度も登場しているが、交換前のさきもり号のAT内に充満していたATFであり、真っ黒だ。そして、真ん中が先ほどのオイルレベル調整でAT内から流れ落ちてきた油。きれいな赤色で、圧送交換が完璧に行われたことを実感できる。さーて、後はドライブ中の変化を実感できるかな。
新型ディフェンダーは8万キロぐらいで、ATF交換を推奨しているようだが、今回は67700㎞で交換を行ってみた。M野氏としては5万キロごとの交換を推薦していたが、現実に、ATの使用済みフルード(油)を見てみたところ、それほど汚れていなかったようだ。これは日ごろから急発進急停車をすることなく、よって高い回転数まで上げることはあまりしておらず、高速でも80~90㎞くらいでチンタラちんたら走行していることが良かったのか。しかし、クニャクニャの峠道は普通の人より多く走っているはずだが。まッ、このような状況でATF交換を実施したのだが、交換後のドライブフィーリングの変化は以下のように劇的なものだった。
◎ アクセルを踏み込んだ時の反応が、交換以前に比べて明らかに良くなった。ついつい、交換前の感覚でアクセルを踏むと、飛び出し過ぎてしまい💦焦ってしまうぐらいである😱。
◎ 変速によるショックがまろやかになった😍。
◎ アクセル離しての巡行中、それまではエンジン回転数が1100くらいであったが、交換後は1000弱くらいになり極めて静寂になり気持ちが良い😙。
◎ きつめの登坂路では3100~3200くらいまで引っ張ってからシフトアップしていたが、交換後は2900~3000でギヤが変速されるようになった😎。
◎燃費は良くなるように思えるが、今のところデーターは取れていない。
◎お財布が軽くなった😓。
次に今回のATF交換でかかった費用をあげておこう。
◎オイルパンASSY ZF 1セット…30000円
◎オイルクーラーOリング 2個…1380円
◎ROYAL PURPLE MAX ATF 16.5ℓ…80355円
◎D1ケミカル SOD-1 Plus…11200円
◎パーツクリーナー 3本…1800円
合計(税込み)…168000円なーり!
M野氏と話し合って、次回は8万キロ走行したら、再び、ATFを交換する感じで良いかもということになった。次回交換までさきもりちゃんは元気で走り続けているのだろうか。英国車とのカーライフは一寸先は闇である。ジェダイの教えの通り、瞬間を感じ、噛みしめていくしかないだろう。

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