年末は娘が信州から帰って来て、山歩きに行きたそうだったので、大晦日の31日の朝7時に名古屋の家を二人で出発したのだった。思い返してみると去年の大晦日はオヤジ殿の体調が急変し、翌元旦の夜8時には他界したので、こちらも名古屋と山梨の3度にも及ぶ往復をお正月前後の一週間くらいの間にすることになってドタバタの極みだったのである。それに比べて今年はのんびり過ごせそうである。であるなら、「大晦日登山と言うのも風流だし、恐らく人はあまり来ないだろうから山もすいているだろう」と思って、娘とノコノコと出かけたのだった。

石津御岳の登山口にある駐車場に8時30分には到着。国道258号線の"般若谷"の交差点から桑名方面に向けて最初の交差点"太田北"を右折し、細い道を登り詰めると駐車場が見えてきた。大晦日だというのに、6~7台の車が停まっていた。

駐車場のすぐ上で道は二手に分かれるので、左に進む。その直後から登りが急になり、体が慣れていないので、ハアハアする。その後、石津御岳頂上まで、ひたすら急登が続くルートである。覚悟せよ。

ミカン畑の間の急坂をハアハアしながら登る。朝一の体が慣れていない登りは結構堪えるもんだ。振り返るとそこには揖斐川の流れが!

左手に鳥居が見えてきたら、そこの階段を登り、鳥居をくぐり更に続く階段を登り詰めていく。

少し行くと、新たな鳥居と獣除けフェンスが見えてくるので、入り口の扉を開けてフェンスを通り抜けると林道に出る。

林道脇の登山道入り口から再び急登が始まる。息つく間もなくひたすら登りあるのみ。12月だけど、汗が噴き出す。クマスプレー持ってきていないぞ。現れたら仁王立ち戦法か!

四合目にある展望台。木が茂っているのであまり展望は望めない。しかし、階段状になっているので、お弁当食べたり、おやつ食べたりにするのには向いてる場所だ。

展望台より更に上に行くと採石により山肌が削り取られた所にでる。ここからの景色の方が展望台からの景色より良かったように思われた。

石津御岳を開山した"覚海(かくかい)上人の石碑がある。開山(かいさん)というと槍ヶ岳の播隆(ばんりゅう)上人、比叡山の最澄(伝教大師)、高野山の空海(弘法大師)が有名だ。仏教の修行は人里離れたところで、高い所の方がより神様に近いと思われたのだろうから、色々なお坊さんによって各地の山が開かれたのだろうね。

神社の建物を過ぎて少し行くと写真の場所に到着する。娘が立っている辺りを右折すると、踏み跡があり、そこを登りきったところに石津山という表示ある。実は、神社の建物の裏側に向かうと祠がありそちらが頂上?という話もあるようだが、こちらの方が少し高いように思われた。

木に"石津山”というプレートがかかっていた。周囲を見ると、ここが一番高所のように思われた。石津山はふたコブラクダの様な山容と言うことだろうか?

石津山以降、道を間違えて時間を一時間ほどロスして、このパラグライダー発着所に到着したころにはお腹が空いたので、昼飯タイムにすることにした。

今日は娘も同行と言うことで、昼は現地でひき肉、玉ねぎを炒めて作ったキーマーカレーとズッキーニが入ったガーリック・醤油風味のバターライス、そしてポテトサラダと言う献立。娘もこの外飯には感動したようで、その後何度となく「美味しかった」と言っていたなあ。

パラグライダー発着場からの景色は最高だ。濃尾平野が一望でき、手前には木曽川、長良川、そして揖斐川の雄大な流れを見ることが出来る。よーく見ると、木曽三川公園や木曽・長良・揖斐分流のために島津藩により構築された千本松原を見ることが出来る。

我々は石津山(黄色の三角マーク)を過ぎて十字路に出たとき、何も考えずに直進してしまった(赤矢印ルートを選んでしまった)。しばらく歩いていくと高圧電線(緑矢印)が現れ、あろうことか我々のルートと交差する様相を呈してきたのだ。地図上で正規のルート(青矢印)であれば、高圧電線と平行して歩くことになるはずなので、これは明らかにおかしい。国土地理院の地形図(写真参照)を調べ、赤矢印ルートに入り込んでいることを確信したので、戻ることになった。このまま直進しても行けそうであったが、多度山を経て多度大社に下山したかったので、間違ったところまで引き返すことにしたわけだ。おかげで、小一時間ほど時間を失い、コースタイム通りの所要時間となってしまった。戻ってみると、木の茂みに『多度山』と書いた矢印プレートが正規の方向に掛けられていたのだった。こんな感じで、道を間違えたときに地形図とにらめっこで現在の状況を把握しようとする行為は、パズル解きのようなワクワク感があり、これがトレッキングの醍醐味のようにも思えてしまうのだ。スマホの位置情報を頼っていてはこのワクワク感は得られない。だから、防人はスマホは使わないのだ(使えないのだ?)。

正規のルートになり、パラグライダー発着場、新設のアンテナ(写真)を過ぎて、その後は高圧電線も平行に走り出して、すべてが地形図通り!また、大晦日だというのに多くの登山者と出会うことに。みんな、山が好きなんだなぁー!

石津山過ぎて以降しばらくは中部電力の作業用林道に沿って歩くが、新設のアンテナ過ぎて少し行ったところで、この作業用林道は終点を迎える。看板の左側から樹間に入り込む。ここから、雑木に覆われたのんびり楽しい稜線歩きがしばし続く。

こんな感じの穏やかな稜線歩きが続くのである。しかも、時たま濃尾平野や木曽三川の雄大流れを垣間見ながらの歩きだ。

多度山山頂(403m)は公園化されていて、自転車や車でも?来られてしまう感じだった。もちろん見晴らしは素晴らしい。

木曽三川の河口部、伊勢湾などが見える。

健脚コースを下ると、愛宕神社脇の駐車場に降りてくることになる。

多度大社まで降りてきましたぞ。ここには"神様に一番近い駐車場"があるようだ。近いだけあって、初穂料としての500円が必要か。確か、"天国に一番近い島"なんていうのもあったかなぁ?ニューカレドニアだったかな?

まだ、大晦日の昼頃だけど、参拝に来る人が結構いたことに驚いた。これって、初詣を一日前に済ませてしまおうということ?確かに、駐車場とか空いているし、合理的な考え方かもしれないね。

多度大社の門前町は風流だ。のんびり歩いても楽しいですよ。まあ、我々はこれからさきもりちゃんが待つ石津まで(養老鉄道で二駅分)、麓の町中を徒歩で戻らなくてはならないので、足早に門前町を歩き抜けたのだったが。

途中、雲行が怪しくなり、レインジャケットを羽織ったとほぼ同時に風雨に見舞われる。みぞれ交じりの冷たい雨だった。三切池あたりで晴れ上がり、彼方に虹が。主虹、副虹、過剰虹と虹のフルコースに感動した。写真では主虹しか映っていないのが残念だが。

多度から石津の養老山麓はミカン畑が多く点在している。ミカン屋さんがあったら少し買おうと思っていたが、そのようなお店はなかったなあ。

多度大社から石津駐車場まで一時間半ほどのウォーキングだった。今回の周回ルートはほどほどなボリューム感と最高の景色を堪能できたのでとても満足できた。
登山から帰り、夕飯の支度(煮込みハンバーグ、ポテトサラダ、釜炊きご飯、味噌汁)をして、夕食後は家族で紅白を見ながら、防人は爆睡してしまったのだった。去年とは大違いの極めてのんびりとした年末年始を過ごすことが出来たのである。
《追記》お正月に奥さんからお年玉(ボーナスの一部)を5万円ほど貰った防人である。これがあれば、ラゲッジ ストレージ ボックス(4万4千円)を購入できるではないか。早速、Treey Landに注文メール送るかなぁー!新年早々、妄想世界に浸る防人である。
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