今回の年末年始の10日ほどの休みは、元旦の日を除いてかなり規則正しい生活を送ることができた。毎朝8時に起床し、数学の勉強、昼飯後に3~4時間ほどウォーキングorサイクリング、夕方数学の勉強、夕飯作り(防人家では、ご飯を作るのは防人、後片付けは奥さんと相場が決まっている)、コーヒー飲みながらブログ記事(数学記事)作成、夜中3時に就寝。いやー、本当に我ながら世の受験生を凌駕するお勉強生活をおくれたと自負しているのでござる。少なくとも、高校生のトクチンより、防人の方がはるかに勉強していたと思う!世の高校生、というかトクチン、大丈夫かッ。
ここで、オイラー・マクローリンの和公式に夢中になったきっかけを与えられた雑誌やお勉強で主に使った本を紹介しておこう。

数学セミナー増刊号『リーマン予想がわかる』
この雑誌が職場に置いてあって、それをパラパラとめくり、「超入門・リーマン予想」を読み始めてみたところ、最初は余裕であったが、関数等式あたりで雲行きが怪しくなり、オイラー・マクローリンの和公式が登場するに至って、「なんじゃいッ😡この式は!」となり、その後もいろいろな式が登場して、看板の『超入門』は防人にとって偽りであったことを痛感する。

ベルヌーイ数とゼータ関数 荒川恒男 et al.牧野書店
ベルヌーイ数とζ関数のことを知りたかったらこの本を読むに限る。オイラー・マクローリンの和公式もべき乗和多項式の説明もすべてこの本の受け売りである。情報としてこの本以上のことは防人のブログ記事には登場しないので、もし持っているのであれば、このブログなんて読まないで、サッサとこの本を読むべし。

和算からベルヌーイ数へと続く数の世界 小林吹代 技術評論社
この本は最近見つけて、急遽購入したもので、和算からスターリング数、ベルヌーイ数と話が進み、最終的にはクラウゼン・フォンシュタウトの定理を目標に据えているようだ(まだ読み終えていないが)。出だしは面白く引き込まれてしまったので、読み終えることは確実だ(と思う!)。同じ著者で『ゼータへの最初の一歩 ベルヌーイ数・・・』という本も面白そうだったのでポチッとしてしまった防人である。

ゼータへの最初の一歩 ベルヌーイ数 小林吹代 技術評論社
ポチッと画面を押して届いた本がこれである。早速読み始めてみる。この本こそは大変面白い。ベルヌーイ数についてのクラウゼン・フォンシュタウトの定理の具体例から始まり、気が付くとこの定理の世界に引き込まれ、更にはゼータ関数の周辺を歩き回ることが出来るなかなかの力作だ。今回の防人ブログ記事の内容を、パスカルの三角形の観点から視覚的にわかり易く解説がなされていて極めて相補的だ。
これらの本以外にも、ゼーター関数を中心としたおもろい数論の本はいっぱいあります。特に加藤和也という人(とても有名な非可換類体論の世界的な大家です)が絡んだ本はどれも面白いので一読の価値あり。
さーて、前回のブログ記事で準備はできたのでオイラー・マクローリンの和公式の証明に入りますかなぁー!使う道具は部分積分だ(高校数学で十分対応可能)。一応、証明に入る前に、前回証明した結果を列挙しておく。今回使うのでね。
今回の証明に必要な関係式!
① \(\displaystyle B_{n}(0)=B_{n}(1)=B_{n}\qquad (n\neq1)\)
\(\displaystyle B_{1}(1)=\frac{1}{2}、B_{1}(0)=B_{1}=-\frac{1}{2}\)
② \(\displaystyle \frac{d}{dx}B_{n}(x)=nB_{n-1}(x)\)、
ここで\(\displaystyle B_{0}(x)=1 \)は記憶に留めるべし。
③ \(n\)が\(3\)以上の奇数とする。この時、\(B_n=0\)となる。
④ \(n\neq1\)なる任意の自然数\(n\)に対して\(\displaystyle (-1)^n B_n=B_n \)
次に、今回示すべき式、オイラー・マクローリンの和公式に再登場願いまひょッ!
\(a、b\)を\(a\leq b\)なる任意の自然数とする。\(M\)は任意の自然数で、関数\(f(x)\)は区間\([a、b]\)で\(M\)回微分可能で\(M\)次導関数が連続であるとする。この\(f(x)\)に対して、
\(\displaystyle \sum_{k=a}^{b}f(k)=\int_{a}^{b}f(x)dx+\frac{1}{2}\left( f(a)+f(b) \right) \)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{M-1}\frac{B_{k+1}}{(k+1)!}\left( f^{(k)} (b)-f^{(k)} (a) \right)\)
\(\displaystyle-\frac{(-1)^{M}}{M!}\int_{a}^{b} B_{M}(x-\lfloor x \rfloor)f^{(M)}(x)dx \)
それでは証明に入ろう。出発点は\(f(x)\)を\(x\)で積分し、性質②を組み込んで部分積分に持ち込むのである。
\(\displaystyle\int_{0}^{1}f(x)dx=\int_{0}^{1}1\cdot f(x)dx=\int_{0}^{1}B_{0}(x)f(x)dx=\int_{0}^{1}B_{1}(x)’f(x)dx \)
\(\displaystyle=\lbrack B_{1}(x)f(x) \rbrack_{0}^{1}-\int_{0}^{1}B_{1}(x)f(x)’dx\)
\(\displaystyle=B_{1}(1)f(1)-B_{1}(0)f(0)-\int_{0}^{1}B_{1}(x)f(x)’dx\)
\(\displaystyle=\frac{1}{2}\left(f(1)+f(0)\right)-\int_{0}^{1}B_{1}(x)f(x)’dx\)
この式の第二項の積分に対して、再び同様な部分積分を施す。
\(\displaystyle \int_{0}^{1}B_{1}(x)f^{(1)}(x)dx=\frac{1}{2}\int_{0}^{1}B_{2}(x)’f^{(1)}(x)dx \)
\(\displaystyle =\frac{1}{2}\left(B_{2}(1)f^{(1)}(1)-B_{2}(0)f^{(1)}(0)\right)-\frac{1}{2}\int_{0}^{1}B_{2}(x)f^{(2)}(x)dx \)
\(\displaystyle =\frac{1}{2!}B_{2}\left(f^{(1)}(1)-f^{(1)}(0)\right)-\frac{1}{3!}\int_{0}^{1}B_{3}(x)’f^{(2)}(x)dx \)
再び上式の第二項に対して部分積分を施す。
\(\displaystyle \frac{1}{3!}\int_{0}^{1}B_{3}(x)’f^{(2)}(x)dx \)
\(\displaystyle =\frac{1}{3!}B_{3}\left(f^{(2)}(1)-f^{(2)}(0)\right)-\frac{1}{3!}\int_{0}^{1}B_{3}(x)f^{(3)}(x)dx \)
ここで、規則性を見出すために今までの計算を統合していくと、
\(\displaystyle\int_{0}^{1}f(x)dx=\frac{1}{2}\left(f(1)+f(0)\right)\)
\(\displaystyle +\frac{(-1)}{2!}B_{2}\left(f^{(1)}(1)-f^{(1)}(0)\right)\)
\(\displaystyle +\frac{(-1)^2}{3!}B_{3}\left(f^{(2)}(1)-f^{(2)}(0)\right)+\frac{(-1)^3}{3!}\int_{0}^{1}B_{3}(x)f^{(3)}(x)dx \)
\(\displaystyle =\cdots\qquad 以下部分積分繰り返す \cdots \)
\(\displaystyle=\frac{1}{2}\left(f(1)+f(0)\right)\)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{M-1}\frac{(-1)^k}{(k+1)!}B_{k+1}\left(f^{(k)}(1)-f^{(k)}(0)\right)\)
\(\displaystyle +\frac{(-1)^M}{M!}\int_{0}^{1}B_{M}(x)f^{(M)}(x)dx \)
とわかる。さて、ここで、上式の\(x\)を\(x+n\)で置き換えて、更に、ベルヌーイの多項式においては\(x\)の所を\(x-\lfloor x \rfloor \)で置き換える細工をする。これは、性質①を使いたいからである。つまり、\(x+n-\lfloor x+n \rfloor \)を考えると、
\( x\rightarrow 0 \)の時、\(x+n-\lfloor x+n \rfloor \rightarrow n-n=0\)
\( x\rightarrow 1 \)の時、\(x+n-\lfloor x+n \rfloor \rightarrow 1+n-n=1\)
となるからである。ここで、\(X=x+n\)と置換をして同様に計算過程を振り返ると(再度書くのは大変なので省略ね。ここは各自やってみるべし)、
\(\displaystyle\int_{n}^{n+1}f(X)dX=\frac{1}{2}\left(f(n+1)+f(n)\right)\)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{M-1}\frac{(-1)^k}{(k+1)!}B_{k+1}\left(f^{(k)}(n+1)-f^{(k)}(n)\right)\)
\(\displaystyle +\frac{(-1)^M}{M!}\int_{n}^{n+1}B_{M}(X-\lfloor X \rfloor)f^{(M)}(X)dX \)
上記で\(n=a、a+1、a+2、\cdots、a+m\)についての式を書き並べて足し合わす。更に、\(b=a+m+1\)と置き、積分変数は\(X\)で書いても\(x\)で書いても同じなので、\(x\)に戻すと、
\(\displaystyle\int_{a}^{b}f(x)dx=f(a)+f(a+1)+\cdots+f(b-1)+f(b)\)
\(\displaystyle -\frac{1}{2}\left(f(a)+f(b)\right)\)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{M-1}\frac{(-1)^k}{(k+1)!}B_{k+1}\left(f^{(k)}(b)-f^{(a)}(n)\right)\)
\(\displaystyle +\frac{(-1)^M}{M!}\int_{a}^{b}B_{M}(x-\lfloor x \rfloor)f^{(M)}(x)dx \)
を得る。ここで性質④を用いると\((-1)^{k+1}B_{k+1}=B_{k+1}\)であるから、やっとこれでオイラー・マクローリンの和公式を示すことができた。
(応用1)さて、ここでオイラー・マクローリンの和公式を用いてべき乗和公式を導出してみよう。\(f(x)=x^s\)(但し\(s\)は自然数)としてオイラー・マクローリンの和公式にたたき込んでみよう。この時、公式に登場する\(M\)は\(s\)より一つ多い自然数\(M=s+1\)に設定しておく。このようにすると、公式の最後の項は\(f^{(M)}(x)=0\)よりゼロとなるので気にしなくてよい。それから、第三項のΣだが、\(f^{(s)}(x)\)は定数なので、\(f^{(s)}(1)-f^{(s)}(0)=0\)となる。よってΣは\(s-1\)まで足し合わせればよく、それ以上はゼロとなってしまうので結果に効いてこないことに注意。そこで、\(a=0\)、\(b=n\)として公式を適用すると、
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}k^s=\sum_{k=0}^{n}k^s=\int_{0}^{n}x^s dx+\frac{1}{2}\left( 0^s+n^s \right) \)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{s-1}\frac{B_{k+1}}{(k+1)!}\left( f^{(k)} (n)-f^{(k)} (0) \right)\)
\(\displaystyle =\frac{n^{s+1}}{s+1}+\frac{1}{2}n^s+\sum_{k=1}^{s-1}\frac{B_{k+1}}{(k+1)!}s(s-1)(s-2)\cdots(s-(k-1) )n^{s-k}\)
\(\displaystyle =\frac{n^{s+1}}{s+1}+\frac{1}{2}n^s+\sum_{k=2}^{s}\frac{B_{k}}{(s+1)k!}(s+1)s(s-1)\cdots(s-(k-2) )n^{s-(k-1)}\)
\(\displaystyle =\frac{n^{s+1}}{s+1}+\frac{1}{2}n^s+\frac{1}{s+1}\sum_{k=2}^{s}{}_{s+1} \mathrm{ C }_k B_{k}n^{s+1-k}\)
\(\displaystyle =\frac{1}{s+1}{}_{s+1} \mathrm{ C }_0 B_{0}n^{s+1-0}+\frac{1}{s+1}{}_{s+1} \mathrm{ C }_1 B_{1}n^{s+1-1}+\frac{1}{s+1}\sum_{k=2}^{s}{}_{s+1} \mathrm{ C }_k B_{k}n^{s+1-k}\)
\(\displaystyle =\frac{1}{s+1}\sum_{k=0}^{s}{}_{s+1} \mathrm{ C }_k B_{k}n^{s+1-k}\)
となって、(その2)で求めたべき乗和公式と同じ結果となった。
今回でやっとオイラー・マクローリンの和公式の証明と、この公式からべき乗和の公式を導いた。今後は、ζ関数とオイラー・マクローリンの和公式、ベルヌーイ数とクラウゼン・フォンシュタウトの定理、ベルヌーイの多項式とオイラーの公式の関係、…なんかを徐々に述べていきたい。

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