2020年10月に姉が他界して以降、山梨の実家の激烈なる片付け作業、父のサポートなどで名古屋・山梨間の月に2~3回の往復が習慣化した。更に、さきもりちゃん(我が家のDefender90)を購入したり、そのさきもりちゃんのエンスト現象で名古屋・京都間の往復も加わり、極めて忙しく、多動児の防人にはとても刺激的な日々であった。更に、2024年元旦には父も他界し、実家の完全なる片付け・売却などに向けてさらにシフトアップして足リ抜けてきたのであった。そんなドタバタ状態であったが、実家も売却でき、更に、さきもりちゃんのエンストなども落ち着いてしまい(なぜか少し悲しい!)、日々のんびりした時間が流れることが多くなってきた今日この頃である。そんなこんなで数学・物理のことを考える時間が増えてきて、おかげで、2020年以前の状況に戻りつつあるということになってきているのだ。平日は数学に頭が支配され、水曜日の休日は山に出かけるという実り豊かな単調生活(Fruitful monotonous life)が訪れつつあるということかもしれない。そんな状況がブログにも表れてきていて、数学の記事か山の記事かの繰り返しになってきている。このような生活がいつまで続いてくれることやら!人生、一寸先は闇であるからね。さーて、そんなわけで、今日は『バーゼルの問題』という難問を記録しておくことにしよう。
例えば、二次関数:\(y=f(s)=s^2\)において、\(s=2\)での値を求めよ!と言われたら、それは簡単で、\(y=f(2)=2^2=4\)とサクッと求めることが出来る。ところが、話がζ関数
\[\zeta(s)=1+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}+\frac{1}{4^s}+\cdots+\frac{1}{n^s}+\cdots \]
になった場合、\(\zeta(2)\)の値を求めよ!となると話は随分複雑なことになってしまうのだ。
前回は調和級数が(\(\zeta\)関数の\(s=1\)における値が)
\[\zeta(1)=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\frac{1}{4}+\cdots=\infty \]
となることを見た。これは隣り合う自然数を分母に持ってきて、次から次へと足していくわけであり、これらの無限の和は発散してしまうわけである。それであるなら、自然数を二乗した\(1、4、9、16、\cdots\)達を分母に持ってきて足していけば、随分と間が空いた自然数の逆数を考えることになるので、無限に足していった場合、今回は収束して特定の値になるのではないだろうか。これは1644年にピエトロ・モンゴメリにより提起された問題であり、多くの数学者を悩まし続け、あの、ヤコブ・ベルヌーイも挑戦したが、答えにたどり着くことはなかった。ヤコブ・ベルヌーイがスイスのバーゼルにおいて上梓した「無限級数の扱い」という著作の中で、彼は、
「もし、誰かが私たちの努力から逃れていた計算法を発見して報告してくれたなら、私たちはその人に大いに感謝します」
と書いている。この問題が厄介なのは、以下に見るように収束の遅さにある。つまり、無限和をいきなり考えるのは難しすぎるので、有限和で計算して行って、大体の値を求めようと思っても、
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{k^2}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots+\frac{1}{10^2}=1.54977\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{20}\frac{1}{k^2}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots+\frac{1}{20^2}=1.59616\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{30}\frac{1}{k^2}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\cdots+\frac{1}{30^2}=1.61215\)
\(\displaystyle \vdots \)
となって、どんどん値が増えて行くので収束先が見えてこない。\(n=30\)まで計算しても、収束する値に目途をつけるどころか、このまま\(n\)の値を増やして無限までもっていくと発散してしまう可能性も捨てきれない感じだ。このように正面突破が不可能なこの難問はいつしか『バーゼルの問題』と呼ばれるようになった。そこで、このバーゼルの問題が発散せず、どのような範囲の値に収束するだろうかの概算値をオイラー・マクローリンの和公式から評価してみよう。
《オイラー・マクローリンの和公式》\(a、b\)を\(a\leq b\)なる任意の自然数とする。\(M\)は任意の自然数で、関数\(f(x)\)は区間\([a、b]\)で\(M\)回微分可能で\(M\)次導関数が連続であるとする。この\(f(x)\)に対して、
\(\displaystyle \sum_{k=a}^{b}f(k)=\int_{a}^{b}f(x)dx+\frac{1}{2}\left( f(a)+f(b) \right) \)
\(\displaystyle +\sum_{k=1}^{M-1}\frac{B_{k+1}}{(k+1)!}\left( f^{(k)} (b)-f^{(k)} (a) \right)\)
\(\displaystyle-\frac{(-1)^{M}}{M!}\int_{a}^{b} B_{M}(x-\lfloor x \rfloor)f^{(M)}(x)dx \)
この式において、今回は\(f(x)=x^{-2}\)、\(a=1\)、\(b=n\)と置いてみる。公式の左辺は、
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}f(k)=f(1)+f(2)+\cdots+f(n)=1+\frac{1}{2^2}+\cdots+\frac{1}{n^2}=S_{-2}(n) \)
であり、\(n\rightarrow \infty\)とするとバーゼルの問題となるわけである。さて、ここではオイラー・マクローリンの右辺の\(M\)は\(M=4\)に設定して考えてみよう。まず、準備!
◎\(f^{(1)}(x)=-2x^{-3}、f^{(2)}(x)=3!x^{-4}、f^{(3)}(x)=-4!x^{-5}、f^{(4)}(x)=5!x^{-6}\)
◎\(\displaystyle B_2 = \frac{1}{6}、B_3 = 0、B_4 = -\frac{1}{30}\)
◎ベルヌーイの多項式は\([0、1]\)において、\(\displaystyle -\frac{1}{30}\leq B_{4}(x) \leq \frac{7}{240}\)
であることを確認しておこう。このもとで、オイラー・マクローリンの和公式は以下のようになる。
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^2}=\int_{1}^{n}x^{-2}dx+\frac{1}{2}\left( f(1)+f(n) \right) \)
\(\displaystyle +\frac{B_2}{2!}\left( f^{(1)} (n)-f^{(1)} (1) \right)\)
\(\displaystyle +\frac{B_3}{3!}\left( f^{(2)} (n)-f^{(2)} (1) \right)\)
\(\displaystyle +\frac{B_4}{4!}\left( f^{(3)} (n)-f^{(3)} (1) \right)\)
\(\displaystyle-\frac{(-1)^{4}}{4!}\int_{1}^{n} B_{4}(x-\lfloor x \rfloor)f^{(4)}(x)dx \)
\(\displaystyle =1-\frac{1}{n}+\frac{1}{2}\left( 1+\frac{1}{n^2} \right) +\frac{1}{6}\left( 1-\frac{1}{n^3} \right)-\frac{1}{30}\left( 1-\frac{1}{n^5} \right)\)
\(\displaystyle -5\int_{1}^{n} B_{4}(x-\lfloor x \rfloor)x^{-6}dx \)
さて、ここで、最後の積分(剰余項)は
\(\displaystyle\frac{7}{240}\left( \frac{1}{n^5}-1 \right)=-5\frac{7}{240}\int_{1}^{n} x^{-6}dx \)
\(\displaystyle \leq-5\int_{1}^{n} B_{4}(x-\lfloor x \rfloor)x^{-6}dx \leq \)
\(\displaystyle 5\frac{1}{30}\int_{1}^{n} x^{-6}dx=\frac{1}{30}\left( 1-\frac{1}{n^5} \right)\)
とはさみうつことが出来る。よって、\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^2}\)もはさみうてて、そのもとで\(n\to\infty\)とすると\(\zeta(2)\)は以下の範囲となることがわかる。
\[1.604\cdots=1+\frac{1}{2}+\frac{1}{6}-\frac{1}{30}-\frac{7}{240}<\zeta(2)<1+\frac{1}{2}+\frac{1}{6}=1.666\cdots \]
このように、オイラー・マクローリンの和公式という強力な道具を使うと\(\zeta(2)\)は\(1.6\cdots\)なにがしとなるであろうことがチョロッとした計算だけで想像がついてしまう。しかし、当時この道具を持っていなかったヤコブ・ベルヌーイが分かっていたことは、\(\zeta(2)\)が\(2\)より小さいということだけであった。ライプニッツ、ヤコブ・ベルヌーイ、ヨハン・ベルヌーイ、などの聡明な数学者達の手をすり抜けてきたバーゼルの問題を手中に収めたのは、バーゼルで生まれ育ち、バーゼル大学でヨハン・ベルヌーイから数学の手ほどきを受け、18世紀最大最強の数学者と言われたレオンハルト・オイラーであった。彼は、まず、\(\zeta(2)\)の数値的値を、収束の速い級数に組み込むことで\(\zeta(2)=1.64493\cdots \)となることを見抜いた(オイラーが自分の名が施された”オイラー・マクローリンの和公式”を用いて、\(\zeta(2)\)の数値的評価を行ったかどうかについて防人は知らない)。そして、その後の血の滲むような努力の果てに、
\[\zeta(2)=\frac{\pi^2}{6}\]
となることを突き止めたのだった。今回、我々はオイラーの方法ではなく、高校の範囲内の数学のみで、しかし、超絶技巧的な方法で上記の値に迫ってみようと思う。
まず、記号を導入する。
\(\displaystyle I_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n}xdx、 J_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{n}xdx、 S_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2\cos^{2n}xdx \)
《その1》「\(I_n=J_n\)」を示そう。
\(\displaystyle x=\frac{\pi}{2}-y\)と置換すると、\(dx=-dy\)より、
\(\displaystyle I_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n}xdx=\int_{\frac{\pi}{2}}^0 \sin^{n}\left( \frac{\pi}{2}-y \right)(-dy)\)
\(\displaystyle=-\int_{\frac{\pi}{2}}^0 \cos^{n}ydy=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{n}ydy=J_n\)
《その2》有名な関係式「\(\displaystyle I_n=\frac{n-1}{n}I_{n-2}\)」を示す。但し、\(n\geq 2\)である。
これは部分積分で瞬殺ですな。
\(\displaystyle I_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n}xdx=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-1}x \sin x dx=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^{n-1}x (-\cos x)’dx \)
\(\displaystyle =\left[-\sin^{n-1}x \cos x \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}+\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (n-1)\sin^{n-2}x \cos x \cos x dx \)
\(\displaystyle =(n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin^{n-2}x (1-\sin^2 x) dx=(n-1)(I_{n-2}-I_n) \)
よって、\(\displaystyle I_n=\frac{n-1}{n}I_{n-2}\)を得る。ここで、
\(\displaystyle I_0 =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}1 dx=\frac{\pi}{2}、 I_1 =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin xdx=1\)
であることを用いると、以下の公式を得る。
●\(n\)が偶数の時
\(\displaystyle I_n=\frac{n-1}{n}I_{n-2}=\frac{n-1}{n} \cdot \frac{n-3}{n-2}I_{n-4}=\frac{n-1}{n} \cdot \frac{n-3}{n-2}\cdots\frac{3}{4} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{\pi}{2}\)
●\(n\)が奇数の時
\(\displaystyle I_n=\frac{n-1}{n}I_{n-2}=\frac{n-1}{n}\cdot\frac{n-3}{n-2}I_{n-4}=\frac{n-1}{n}\cdot \frac{n-3}{n-2}\cdots\frac{4}{5}\cdot \frac{2}{3} \cdot 1 \)
《その3》漸化式:\(\displaystyle S_{n-1}-\frac{2n}{2n-1}S_n=\frac{1}{n(2n-1)}I_{2n}\)を示す。但し、\(n\geq1\)である。
それにしても、どうしたらこんな漸化式に気が付くのかねぇーッ😱!気が付くことは難しいけど、示すことは簡単で、\(S_{n}\)から始めて、部分積分を駆使すれば楽勝ですが。
\(\displaystyle S_n =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2 \cos^{2n}xdx=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2 \cos^{2n-1}x (\sin x )’dx \)
\(\displaystyle =\left[x^2\cos^{2n-1}x \sin x \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}+\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} (x^2\cos^{2n-1}x)’\sin x dx \)
\(\displaystyle =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \left(2x \cos^{2n-1}x+x^2(2n-1)\cos^{2n-2}x(-\sin x)\right)\sin x dx \)
\(\displaystyle =-2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} x \cos^{2n-1}x\sin x dx+(2n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2\cos^{2n-2}x(1-\cos^2 x) dx \)
\(\displaystyle =-2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} x \left(-\frac{1}{2n}\cos^{2n}x \right)’ dx \)
\(\displaystyle +(2n-1)\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2\left(\cos^{2n-2}x-\cos^{2n} x \right) dx \)
\(\displaystyle =-2\left[ -\frac{1}{2n}x\cos^{2n}x \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}-\frac{1}{n}\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\cos^{2n}xdx+(2n-1)\left(S_{n-1}-S_n \right) \)
\(\displaystyle =-\frac{1}{n}J_{2n}+(2n-1)\left(S_{n-1}-S_n \right) \)
\(\displaystyle =-\frac{1}{n}I_{2n}+(2n-1)\left(S_{n-1}-S_n \right) \)
よって、\(\displaystyle (2n-1)\left(S_{n-1}-S_n \right)-S_n=\frac{1}{n}I_{2n} \)
以上より望みの漸化式、\(\displaystyle S_{n-1}-\frac{2n}{2n-1}S_n=\frac{1}{n(2n-1)}I_{2n}\)を得る。
《その4》\(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}}=\frac{\pi^2}{6}-\sum_{k=1}^n \frac{1}{k^2}\) を示す。但し、\(n\geq 1\)
いよいよバーゼル問題の形が見え隠れし始めましたなぁー!証明は《その2》、《その3》をガンガン使えばやれるのだろう。とにかくやってみよう。まず、《その3》より、
\(\displaystyle S_{n-1}-\frac{2n}{2n-1}S_n=\frac{1}{n(2n-1)}I_{2n}\) \(n\geq1\)
\(\displaystyle \Leftrightarrow \frac{2n-1}{n}S_{n-1}-2S_n=\frac{1}{n^2}I_{2n}\)
この両辺を\(I_{2n}\)で割ると、
\(\displaystyle \frac{2n-1}{n}\frac{S_{n-1}}{I_{2n}}-2\frac{S_n}{I_{2n}}=\frac{1}{n^2}\)
となる。ここで《その2》の漸化式で\(n \to 2n \)と置き換えを行うと、\(\displaystyle I_{2n}=\frac{2n-1}{2n}I_{2n-2}\)となり、これを用いて変形を続けると、
\(\displaystyle \frac{1}{n^2}=\frac{2n-1}{n} \cdot \frac{2n}{2n-1}\frac{S_{n-1}}{I_{2(n-1)}}-2\frac{S_n}{I_{2n}}=2\left(\frac{S_{n-1}}{I_{2(n-1)}}-\frac{S_n}{I_{2n}}\right)\)
を得る。この式の左辺は\(\displaystyle 1/n^2 \)、右辺は差分系となっているので、これは足し合わせるしかないだろう。\(n \to k\)と置き換えて、両辺をΣすると、
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n \frac{1}{k^2}=2\sum_{k=1}^n \left(\frac{S_{n-1}}{I_{2(n-1)}}-\frac{S_n}{I_{2n}}\right)=2\left(\frac{S_{0}}{I_{0}}-\frac{S_n}{I_{2n}}\right)\)
となる。ここで、
\(\displaystyle I_0 =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}1 dx=\frac{\pi}{2}、 S_0 =\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2 dx=\frac{1}{3}\left(\frac{\pi}{2}\right)^3\)より、\(\displaystyle \frac{S_0}{I_0}=\frac{\pi^2}{12}\)となる。
よって、目的の \(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}}=\frac{\pi^2}{6}-\sum_{k=1}^n \frac{1}{k^2}\) が示せた。
《その5》\(x\)が\(\displaystyle 0\leq x \leq \frac{\pi}{2}\)の時、ジョルダンの不等式:\(\displaystyle \frac{2}{\pi}x\leq \sin x\) を示せ。
まあ、これはグラフを描いて考えれば自明だけど!一応、以下のように示しておくか。
\[f(x)=\sin x-\frac{2}{\pi}x\]
と置く。\(\displaystyle f'(x)=\cos x-\frac{2}{\pi}\)において\(\displaystyle f'(0)=1-\frac{2}{\pi}>0\)かつ\(\displaystyle f'(\frac{\pi}{2})=-\frac{2}{\pi}<0\)なので、\(f'(\alpha)=0\)なる\(\alpha\)が\(\displaystyle \left[0、\frac{\pi}{2} \right]\)に存在している。よって、\(0\)から\(\alpha\)まで\(f(x)\)は増加、\(\alpha\)で極大値、\(\alpha\)から\(\displaystyle \frac{\pi}{2}\)は減少することがわかる。その上、\(\displaystyle f(0)=f(\frac{\pi}{2})=0\)より\(\displaystyle 0\leq x \leq \frac{\pi}{2}\)において、\(f(x)\geq 0\)が示せる。
〈補足〉まあ、二次導関数を考えると\(\displaystyle 0\leq x \leq \frac{\pi}{2}\)の時\(f^{(2)}(x)=-\sin x \leq0 \)なので、\(f(x)\)は上に凸なのは明らか。更に、\(\displaystyle f(0)=f(\frac{\pi}{2})=0\)なんだから明らかに\(f(x)\geq 0\)が成り立つね。
《その6》いよいよバーゼルの問題:\(\displaystyle \zeta(2)=\frac{\pi^2}{6} \)を示す。
《その4》より\(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}} \)が\(n \to \infty \)の時、\(0\)に収束することを示せばよい。そのためには、\(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}} \)をなんとかうまくはさみうてばよいのだろう。その時に《その5》で示したジョルダンの不等式
\[x\leq\frac{\pi}{2}\sin x\]
を使うわけだ。やってみよう。
\(\displaystyle S_n = \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}x^2\cos^{2n}xdx \leq \frac{\pi^2}{4} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\sin^2 x \cos^{2n}xdx\)
\(\displaystyle =\frac{\pi^2}{4} \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}\left(\cos^{2n}x-\cos^{2n+2}x \right) dx=\frac{\pi^2}{4}\left(I_{2n}-I_{2(n+1)}\right) \)
\(\displaystyle =\frac{\pi^2}{4}\left(1-\frac{2(n+1)-1}{2(n+1)}\right)I_{2n}=\frac{\pi^2}{8(n+1)}I_{2n}\)
これより、\(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}} \)は以下のように
\[0< \frac{2S_n}{I_{2n}}\leq\frac{\pi^2}{4(n+1)}I_{2n} \]
とはさみうつことができた。よって、\(n\to\infty \)の時、\(\displaystyle \frac{2S_n}{I_{2n}}\to 0 \)が示せた。以上より、バーゼルの問題が、
\(\displaystyle \frac{\pi^2}{6}-\zeta(2)= \lim_{n \to \infty} \left(\frac{\pi^2}{6}-\sum_{k=1}^{n}\frac{1}{k^2}\right)= \lim_{n \to \infty} \frac{2S_n}{I_{2n}}= 0 \)
が解決したわけだ。ヤレヤレ😥。


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