Cucina Lagrange お肉屋さん(愛知県名古屋市栄新中日ビル THE MARUAKI)

Cucina Lagrange

 名古屋に来て35年以上が過ぎると、とんかつには味噌、朝は小倉トースト、おにぎりは天むすというように体が自然に要求するようになった。しかし、小学校から名古屋で育ったわけではない防人にとって、名古屋の『連れ合い文化』には入り込めていないし、自転車を『ケッタ』というのははばかられ、どうしても『チャリ』と言ってしまう。『なごや』という発音も、地元の人が『なご↑(”や”を上げる)』と言うのに対して、防人は『なごや↓(”や”を下げてしまう)』と言ってしまう。

 このように名古屋連れ合い文化に入り込めていない防人だが、名古屋土着のお金持ちのKさんとは長い間の知り合いである。昔から山梨のブドウとかを送っているのだが、そのお返し(倍返し、いや、10倍返しくらいか)にいつもメシをおごってくれるのである。最近の防人は、この飯にありつくためにブドウを送るようにしていると言っても過言ではない(”エビで鯛を釣る”改め”ブドウで高級ランチ・ディナーを釣る”とはこのことか)。今年も、御馳走に預かる日がやってきた。今回はリニューアルして間もない中日ビルの中に新しく店舗をオーブンした丸明というお肉屋さん(中部の人にとってはとても有名なお肉屋さんで、防人もよくハンバーグのひき肉を買いに行くところである。あくまで、安いひき肉で、高価な飛騨牛などは買ったことが無い)が経営する焼き肉レストラン『The Maruaki』に行こうということになった。

 これが新しい中日ビルだ(と言うより入口だ!全景を撮るのを忘れてしまった)。二階のモンベルには小物を時たま買い物に来るが、この中にあるレストランとかには入ったことが無いのであった。
 後日、栄に行ったときに新中日ビル全景撮ってきましたぜ。なかなか、カッコいいですよね。
 入ってすぐの所には大きな吹き抜きがあり、開放感がある空間を楽しめる。
 三階に丸明(まるあき)のレストランがある。昼飯時には列ができるほど人気店のようだ。

 入店すると、個室のような雰囲気の仕切られた席に案内される。窓からは名古屋栄の中心部の様子がよく見える。K氏はメニューを見るなり、

「これにしようか」

と一番高いコース(1万円のコース)を選択。『ヒッヒッ昼から1万円ですかぁー!』と目が点になる防人を横目に、極めて自然な感じでササっとオーダーしてしまった。もし、防人がこのようなランチを注文したなら、オドオドしながらも、外身には尊大な態度となり、

『俺様が1万円のランチを注文した防人だ。なんか文句あるか』

的な雰囲気丸出しになってしてしまうこと間違いなしなのだが、このK氏は極めて自然で、しかも、いつもなのだが、お店の一番高いメニューしか視線が行かないような属性が?、性格が?気性が?あるようなのである。名古屋では南山地区、白壁地区がお金持ちの巣があるのであるが、この辺りを歩くと巨大な家に巨大な木が生えていて、外構の擁壁だけで防人の土地と家の合計の値段以上いっているのではないかという家がひしめき合っている。そして、車もベンツやアウディなどは買い物用の車、趣味の車はフェラーリ、マクラーレン、アストンマーチン、ランボルギーニ、…といった異次元の世界なのである。この高級住宅街にK氏の家はあり、周囲の家と負けず劣らずのご邸宅である。K氏は車にはそんなにお金をかけていないようだが、それでも、シーマ、セルシオ(どちらもその中の最上級クラス)、会社の一線を退いて以降はレクサスのSUVの一番高い奴(名前を知らない!恐らく1千5百万円位する奴だと思う)に何度か乗り、最近は年も年だからレクサスのLX、更には来年はLXよりもう一回り小さいのにすると言っていた。防人が、

「ディフェンダーとか、ディーラー車検に出すと40万円位するようなんですよ!どうしましょう」

と言うと、

「まあ、車の価格の一割くらいかかるのは仕方ないんじゃあないの。40~50万位は覚悟しておかないと。まあ、僕はここ数十年は車検に出す前に買い換えているから、あまりよくわからないけどね」

というご返事。

「左様でござんすか。相談する相手を間違えておりました」

という感じの住む世界の違いによる平行線の会話がいつものように続くのであった。この御仁は会社を興し、株式の取引やドル建て貯金などもわんさか持っているようなのだが、頭も良く、東京私立の御三家から東大に進学し、博士の学位も持っていらっしゃる。本当に世の中の神様は二物も三物も一人の人間にお与えになられ、防人を含む大多数の人間には何も与えない(防人には珍人と言うレッテルをお与えになったが!アッ、これはランドローバー京都のM田さんが与えたのだったか!!)のだなあとしみじみと思うのである。まあ、防人は目の前に並べられたお肉がおいしければ、それで人生的には良いのだけどね。

 ちなみに今回のランチメニューは、

1.ナムル盛り合わせ、キムチ、サラダ、タレなど

2.上タン塩

3.飛騨牛イチボ

4.飛騨牛上カルビ

5.シチュー

6.飛騨牛サーロイン/シャトーブリアン

7.選べるごはんもの

8.デザート

である。一人1万円なーりッ!

 窓からの栄のセントラルパークの眺め。対岸には三越ラシックという防人がほとんど入り込まないデパートがある。
 お肉をタレ、レモン、塩の色々な味で楽しめということだろうか。他の皿はナムル盛り合わせ、キムチ、サラダの前菜。
 まずは上タン塩から。レモンで頂く。
 飛騨牛イチボ(左)、飛騨牛上カルビ(右)だ。
 このひと切れでご飯を一杯食べつくしてしまった防人はすかさず二杯目を注文。
 焼肉コースの中休みに牛肉のシチューが登場。胃袋に中休みはない。
 極めつけは飛騨牛サーロイン(左)とシャトーブリアン(右)だ。
 匂いでごはんをかき込んで、シャトーブリアンではご飯があっという間になくなり、三杯目に突入。
 ご飯を調子に乗っておかわりしていたら、最後は、牛しぐれのお茶漬けだった。もうお腹いっぱいだぁー!

 昼飯後はK氏と別れ、職場まで1時間ほどのお散歩をして行ったのだが、午後は眠くて眠くてウトウトしていたら、わが社の女帝殿に

「防人さんッ!ここは昼寝する所ではないですよ。仕事をしてくださいッ」

と怒られてしまったのだった。

「高級なランチを食してきたので、もう眠いったらありゃしませんよ」

と返答すると、呆気に取られて女帝殿は忙しそうに立ち去って行ったのだった。この日は全く仕事にならなかった。すこし、ご飯おかわりしすぎたかな。

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