Defenderピヨピヨ日記(NO16 砂の器的大宰府旅行 六日目 広島呉から瀬戸内の大崎下島へ)

Defender購入後日記

 この呉をはじめとして、広島、竹原、三原の間は子供の頃何度となく列車で行き来したことがある。広島の原爆ドームも何度か訪れた。それに、家では僕のおふくろがよく広島弁をしゃべっていて、広島がいつも生活の近くを漂っていた。そう、おふくろは広島出身で、幼少期を忠海というところで過ごしたのである。原爆投下後の広島に看護補助で入り、被爆者健康手帳を持っていた。ということは、僕は被爆二世?姉が血液の病気で生涯苦しんだのももしかして原爆が関係しているのかな?おふくろは身長は小さく、小太りで、元気がよくはちきれんばかりのバイタリティーを周囲にばらまいていた。歌が上手く、夕食を作りながら”瀬戸の花嫁”、”若鷲の歌”、”荒城の月”、…とかをヴィブラートを掛けながらよく歌っていた。おふくろのお父さんは忠海の沖合にある大久野島というところの毒ガス工場で働いていたようで、戦争中の生活は安定していたようだ。お琴の先生がおふくろたちを教えにやってくると、お琴が嫌いなおふくろは、先生を見るや否や裏山に駆けだして行って、帰るまで隠れていたそうである。また、暑い夏には忠海の海岸でよく過ごしたようで、水泳には絶対の自信を持っていた。

「私の泳ぎは華麗で、何キロでも泳げたのよ」

とよく自慢するものだから、

「それなら、今度プールに行ったときに泳いで見せてよ」

と僕が言うと、今は太ってしまって合う水着がないからできないと言い続け、結局おふくろの泳ぎを直に見ることはなかった。更に、学業についてもおふくろの自慢節は炸裂する。

「私はね、忠海始まって以来の秀才と言われていたのよー。だから、行進の時も班長を任されていて、兵隊さんとすれ違う時は”捧げつつッ”と号令をかけて威勢が良く、立派だったのよ」

という話を何度聞かされたことか。しかし、そんなおふくろでもどうしてもかなわない人がいたようだ。おふくろがよく”シュベ”と呼んでいたお姉さんである。僕が

「おふくろが忠海始まって以来の秀才なら、シュベさんはどうなのよ?」

と聞くと、おふくろは

「シュベは天才なのよ」

とよく言っていたなあ。そのシュベさんは瀬戸内のみかん島として有名な、そして、最近ではアニメ映画”ももへの手紙”で有名になった、大崎下島の大長という所に嫁いだのだった。

 今は、シュベさん、シュベさんのご主人(僕にとっては”おじさん”という位置づけかな)、おふくろ、そして、僕の姉は皆天国に召されてこの世にはいない。今回の旅の、実は最も重要なミッション、大長でお線香をあげ、更に忠海に行っておふくろやシュベさんが泳ぎ楽しんだ故郷の海におふくろを戻してやる、おふくろのことが大好きでカプセル親子の関係だった姉も一緒に、戻してあげるという大役が僕らには残されていたのだ。

 朝7時にビジネス旅館野村を出発。近くのファミマで朝食を済ませ、国道185号線からとびしま海道に入る。安芸灘大橋、蒲刈大橋、豊島大橋、豊浜大橋を経て大崎下島に。そこから少し走ると、大長(おうちょう)だ。

左の建物は海上自衛隊呉地方総監部だ。実は道を間違えて、迷走中のさきもり号。
いよいよとびしま海道に入る。通行料700円払って、安芸灘大橋に突入。
見下ろすと潮の流れが激しいのでビビる。
呉から一時間ほどで大長に到着。
建物の中にある漁船は、アニメ映画"ももへの手紙”で登場したのと同じ漁船かな!
市民センターでは映画のキャラクターが出迎えてくれる。奥はミカンや映画のことが紹介されている。
昭和な、いや江戸的な雰囲気が漂う大長の街並み。タイムトリップした気分になる
立派な構えの家だなあ。江戸時代レベルの建物がいっぱいあるらしい。
資誠堂さん。今は閉店してしまったらしいが、子供の頃、大長に来た時はいろいろとお世話になった。
ここが今日の目的地。アニメ映画"ももへの手紙”でここがももの家として描かれ、中心的な役割を果たした。まさに、アニメファンにとっての聖地なのだ。

 市民センターの駐車場にさきもりちゃんを停め、役所の人に理由を話し許可を得る。建物の中には、アニメ映画”ももへの手紙”を記念した建物が増設?されていて、映画のこと、大長のみかんのことなどが説明されていた。記憶を頼りに狭い路地を歩き、シュベさんの嫁いだおうち(現在は娘さんたちが、つまり、ぼくのいとこが住み、ミカン栽培を引き継いでいる)を目指す。少し迷ったが何とか無事に到着。しかし、誰もいない。きっとミカン畑に出かけているのだろう。それもそのはず、今日僕たちがここに来ることは全く連絡していなかったのだ。今回の旅は、寝泊りする場所もその日の気分、もしかしたら途中でくじけて名古屋に帰ってしまうかもしれないといういい加減な予定の組み方だったので、大長にいつつくのか、本当に行くのかどうかさえ決められないでいたからである。スマホで調べてみると、何とか通じて

「今家の前にいるんですけど」

というと、

「えーッ」

と驚いた様子。みかん畑で落ち合う約束をしたが、その後、雨が降っり出したことを口実に畑の作業を取りやめて、わざわざ家に戻ってきてくれて大変恐縮してしまう。更には、今日はうちに泊っていきなということになり、更には更には、広島などで働いている姉妹たちにも連絡を取ってくれて、お盆には少し早いのだが、無理して4人が集まってくれることになったのだ。残念だったのは(こんなことを言って罰当りだが)、小学校頃、よくプロレスごっこの相手をしてくれたお兄ちゃん(現在は僕も彼もおじさんだが)は都合がつかず、今回は会えないのでプロレスごっこが出来なかったことだ。バックドロップは次回と言うことになった。そして、午後はのんびり島のどこかで過ごしてきたらと言うことになり、さきもりちゃんのエンジンをスタートさせ、島をドライブしてみることに!すると、大浜海浜公園というところに、藤棚があって太陽光を避けてのんびりできそうなところを発見。そこで、椅子を持って行って、日陰でくつろぎながら昼飯づくりを開始。

豊浜大橋を眺めながらくつろぐトクチン。地元の元気な高校生たちが泳いでいた。
今回の旅では色々な種類のカレーを食べたものだ。スープはミネストローネスープだ。
後方に伸びるラインのループを確認し、左手(ラインをつかんでいる)を後の右手の所まで持っていき、その後にシュートに入る。右手を前方に押し出すと同時に左手を後方に思いっきり引く(これをホールという)。ループが形成され、うまく追い風に乗ると40~50mくらい先まで毛バリを飛ばすことが出来て、大変気持ちが良い。
手前で泳いでいる子供をトクチンと勘違いして話しかけていた。トクチンはあんなに遠くで水遊びをしていたのか。

 飯も食べ終わり、のんびりするのも飽きてきたので、海でフライフィッシングでもしてみようかと思い、8番のロッド(フライロッドとしては大きめだ)にラインを通してやってみるが、全く当たりなく、哀れにもクラゲ君が間違って毛バリに引っかかって釣れてきただけだった。トクチンもやっぱりのんびりするのに飽きてきて、泳ぐことにしたらしい。釣りをやめて戻ってみると、手前をトクチンが泳いでいるようだったので、のぞき込むと泳ぐのを辞めてしまった。

「おおーい、もっと泳げよ。水泳教室通っていたんだろう!」

「…」

「立っていないで、バシッとカッコよく泳ぎを決めてみろよ」

「…」

トクチンは海から上がり、こちらにやってくる。

「なんだ、もう上がるのか?」

「…」

5mくらいの所まで彼が近づいてきて、僕はやっと気が付いた。僕が話しかけているのはよそのうちの子供で、トクチンではないことに!よーく見ると、トクチンは遥かに遠くの波打ち際で何かゴソゴソ遊んでいる。自分の息子を区別できないとは、僕の顔面認識能力も地に落ちたものだ(もともと落ちている⁉)。

 結局、5時過ぎくらいまでのんびりして、大長の家に戻ることになった。台風は九州にやってきているようで、風は強くなっていたが、午後の天候は晴天に恵まれてラッキーだった。

大長の家でくつろいで、テレビを見まくるトクチン。
我々が海に遊びに行っている間に焼き上がったケーキ。レモンの香りが漂う夏に合う美味しいケーキだった。

 大長に戻ると、4人姉妹勢ぞろいしてくれていて、予定を我々のために変更までして、会いに来てくれて感謝感激だ。また、みんな話し好きで、教養があって、どのよう内容でも会話のキャッチボールが続くのである。話始めると、色々な内容のボールが飛んできて、キャッチしたり打ち返したりとても楽しいことになる。そんな4人が台所でああでもないこうでもないと会話を交わしながら夕飯の支度をしている姿は、おふくろと姉が同じような雰囲気でご飯支度をしていたので、何とも言えない懐かしさを感じてしまうのだった。

 夕飯はとても豪華で、トクチンの好きなものを中心に次から次へと料理が運ばれてきて、どれもとても美味しかった。特に、後半出してもらった、アナゴ丼は最高!今思い出しただけでもよだれがこぼれてしまう。ただ、料理の写真を撮るのを忘れて夢中に食べていたので、このブログで紹介することが出来なくて残念だけど。料理後は今回の旅の話、おふくろやシュベさんの話などで盛り上がり、気が付いた時は夜中の2時になっていた。この8日間、トクチンと話す以外はほとんどしゃべらなかったので、僕もしゃべることに飢えていたのかもしれない。この大長に泊めさせてもらったおかげで、お腹も、しゃべることもたっぷりと満たしてもらえていっぱいになった。我々は明日は朝7時には起きて、8時には忠海目指して出発したい。まだ、しゃべり惜しいがそろそろ寝なくてはなるまい。皆さん、おやすみなさい。今日は美味しく楽しかったです。

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