Defenderピヨピヨ日記(NO12 砂の器的大宰府旅行 二日目 天橋立から島根へ)

Defender購入後日記

 東の空が明るくなると自然と目が覚めてしまった。昨日は暑くて、テントから体を半分出したまま寝てみたが、あまり熟睡は出来なかった。周囲には蚊取り線香の煙が漂っていた。しばらく寝たままの体制で横たわっていたが、光を感じ体を起こすと、今まさに太陽が天橋立の端の方から登ろうとしているではないか。ねっとりした体を起こし、朝日の写真を撮り、朝食の準備を開始する。太陽が上昇するにつれ、ねばつく体の上に汗が噴き出してきてある意味爽快な気分にもなる。朝飯を食べ、片付けをして、荷物を車に積み終わる頃には汗まみれ。アルプスなどの高山帯以外でのこの時期のキャンプは、ひたすら体力を消耗する。ソロキャンプで焚火が流行っているが、こんな時期に焚火したら暑くて熱くて不快極まりないが、みんなこんな時期でも焚火したりするのだろうか。洗面所で上半身裸になって、水浴びをしてさっぱりしてからさきもりちゃんに乗り、エンジンスタートすると、クーラーの冷気が心地よく体に吹き付けてくる。疲れ気分を吹き飛ばすために、ガンガンに冷やしておいたコメダのまろやかミルクコーヒーにストロー差し込み、一口含むと気分が上昇曲線を描き出すのを感じた。アクセルを踏み込んで、京丹後半島にある伊根を目指す。

朝日が一日の始まりを告げてくれる。体は重くねっとりとしている。疲れは取れていない。
涼しいさきもりちゃんの室内で、まろやかコーヒーを飲むときが至福の時。
一字観キャンプ場に別れを告げて伊根目指して出発する。
途中、天橋立の付け根部分に立ち寄って、少し歩いてみた。

 京丹後半島の先端に向けて、国道178号線を進むと、30分弱で伊根に到着。海の上に家が浮いているような舟屋が軒を連ね、独特な光景だ。一階は船を収納する所で、二階は網などの漁の道具を保管する場所として使われているようだが、この舟屋に住んでいる人もいるようである。TBS版砂の器に登場したのと同じ光景を一種の感動を覚えながら眺め、古い街並みをゆっくり運転する。舟屋の中には旅館になっているところもあるようで、このような場所の旅館に泊り、上げ膳据え膳で運ばれてくる料理に舌鼓を打ち、温泉にゆっくりつかれば、日頃の疲れは吹き飛ぶのだろうなあと妄想しながら、疲れの取れていない我が体に思いを馳せる。

 一通り伊根の町中を見て回り、再び国道178号線に戻り西に向けてさきもりちゃんを走らせるとすぐに、経ヶ崎周辺の断崖と青い日本海の織り成す絶景が我々の目を奪う。途中、展望台(浦入ロードパーク)に車を停めてこの景色を眺めていると、昨日の疲れが自分の体からこの断崖を転げ落ちて抜けていくような気分となる。その後も国道178号線は海に山に美しい風景を我々の前に(と言ってもトクチンは助手席でグウグウ寝ていたが)登場させてくれて、運転を飽きることをさせない。豊岡で来来亭に立ち寄り昼飯を食べ、香美町で県道4号線に入り、鎧駅を目指した。この鎧駅はNHKの朝の連ドラ『ふたりっ子』のロケで使われたことで有名だが、もちろん、TBS版『砂の器』でも登場した場所だ。この鎧駅の隣の駅はあの”あまるべ鉄橋”で有名な”あまるべ駅”であることをはじめて知る。この”あまるべ”は、30年以上前、強風のため鉄橋上にあった列車が転落し、下の工場を直撃。それにより工場の作業員の方や車掌さんが亡くなるという痛ましい事故が起こった場所なのだ。僕は記憶違いをしていて、あまるべは東北のどこか日本海側と思い込んでいたので、この鎧駅に来て、隣駅が”あまるべ”と知って衝撃を受けてしまった。その後、衝撃が冷めやらぬまま再び178号線に戻り、178号線の終着点である鳥取砂丘を目指した。

舟屋が立ち並ぶ姿は圧巻だ。
舟屋の里公園からの景色。
178号線沿いにある浦入ロードパークにさきもりちゃんを停めて写真撮影。青い空、その空よりさらに青い日本海。人は我々以外は誰もいない静かな場所。
鎧駅は無人駅。周囲には20件ほどの家があり、それらが美しい湾を取り囲むように立ち並んでいる非常にこじんまりとした集落だった。
"あまるべ”方面を眺める。
香住(かすみ)方面を眺める。
鎧駅から眺めた湾の景色。これは最高!毎日このような景色を眺めながらの生活は心洗われるだろうなあ。
鳥取砂丘に到着。駐車場にわずかにある木の下にさきもりちゃんを駐車してあげた。ここは太陽にグリルされる感じの場所だな。
サンダルで砂丘に突入したが、砂が熱い!やけどするのではないかと半狂乱になる。
慌てて砂丘を走り抜け、日本海に足を浸して事無きを得る。
砂の器のエンディングで登場するシーンをトクチンが再現。砂の熱さは慣れてきた。
東の方向(やってきた方向)を眺めると、青く涼し気な日本海が横たわる。

 砂丘近くの駐車場にさきもりちゃんを停め、サンダルで砂丘に突入すると、砂が熱せられていて熱くて仕方がない。周囲を見渡すと、スニーカーの人が目に付くが、サンダルの人もいないわけではいない。不思議なことに彼らはみな平気そうなのであるが、こちらとしては火傷をしてしまうのではないかと思うくらいの熱さで、とても平静を保っていられる状態ではない。植物が生えているところ(あまり足が砂に潜らないので、かろうじて歩くことが出来た)を小走りして、海に向かう。砂丘を転げ落ちるように駆け降りて日本海に足を付けると気持ちが良くて昇天。しばらく、気持ち良さに恍惚状態になり、再び砂丘に歩み出すと、不思議なことに、今度は平気になっている。砂丘の尾根筋の所をトクチンと縦走し、馬の背まで登り、周囲を見渡すと日本海から吹きわたってくる風が気持ち良い、わけない。我々は先ほどから太陽にグリルされるし、砂からも熱せられ両面焼き状態である。のんびりと詩的気分に浸る余裕などなくスタスタと車の方へ向けて歩き始める。

馬の背(第二砂丘列)の標高は47mあるらしい。15階建てのマンションの屋上とほぼ同じ高さとのこと。

 トクチンと共に馬の背から降りて、砂丘入口に登っている姿が哀れっぽく見えたのだろう、砂丘入口でNHKの人が

「なんだか、息子さんと共にこちらに登ってくる姿が印象的だったもので!」

と声をかけてきたので、

「太陽光線は厳しく、砂丘の砂は熱い。熱風が吹き付ける中、日本海は涼し気に横たわっていて、まさに夏が体感できるところですよね」

と無難⁉に返答し、それが録画されたようだった。夕方のニュースで山陰地方のNHKで放映されるのか。これで、僕は山陰地方の有名人?。さきもりちゃんに乗る前に洗い場で足を洗い、体全体の砂を落とす。それにしても髪の中まで砂が入り込んでいたのは驚いた。

 その後は、国道9号線をさきもりちゃんはひた走り、米子へ。米子で、とり料理の”さんぽう”という所入り、唐揚げを注文。これがめちゃくちゃ美味しく、砂丘疲れや運転疲れが吹き飛んでいった。その後は、米子市内の銭湯”米子湯”に行き、昨日から砂丘までの汗を流し、風呂から出た後は冷えたラムネを飲み干した。残るミッションは寝る場所を探すことのみ。

とり料理"さんぽう"のから揚げ定食。ご飯もしっかり大盛りにしてくれて、お腹いっぱいだ。
夕食後、銭湯に行く途中、市電が展示されている公園を発見。中に乗れるようだった。
風流な、昭和な米子市内。歩くのが楽しい。
学生時代以来の銭湯かな。砂丘の砂を洗い流すぞ。

 暗くなった道路を走り、島根県の安来(やすぎ)にある月山富田城の歴史資料館横のトイレあり駐車場にさきもりちゃんを停め、そこで車中泊することにした。明日の目標の一つはこの月山富田城に登城することなので、麓で夜を明かそうという魂胆なのだ。運転席と助手席を思い切り前に押し付け、後部座席との間にできた隙間に、荷物を詰め込み、後部座席と同じ高さにして、そこに僕とトクチンで寝てみようという企みだ。昼間、ジュンテンドーというこの地域にあるホームセンターで買った網を、ウィンドーの所に養生テープで貼り付け、蚊が入ってこないようにして、準備は万端だ。後は寝るだけだけど、果して、90の中で二人が寝れるかなあ⁉

養生テープで、ウィンドーの所を塞いで、蚊の侵入を防ぐ。良い風が吹き込み、よく眠れそうだぞ。

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