朝一のオフロード走行を十分満喫した防人とトクチンの次なる目標はブンゲン(射能山)登山だ。このブンゲンという変わった名前は、この山に端を発する沢の名前”ブゲン沢”から付けられたというが、地図を見る限りそのような沢は見つけることが出来ない。また、射能山(しゃのうざん)は”放射能山”と書けばわかると思うが、ウラン鉱石が産出した(する?)ことによるようだが、これ以上の情報はネットで調べる限り出てこなかった。
さきもりちゃんを駐車場に停め直して、登山の準備をして、営業のDさんに
「ブンゲン登山してきます。夕方までに降りて来なかったら遭難ということでお願いします」
と断りを入れて出発。登山計画としては、若竹荘脇から尾根伝いに登る登山道を使って登ろうと思い、若竹荘を探すが、…、ないッ!地図では若竹荘脇から丘を越えて谷を渡り、そこから急登して尾根に取り付いて、ブンゲン山頂をめざすようだ。スキー場を見渡すと、フェンス越しに丘の上に出れそうな感じの所がある。早速行って登ってみると、反対側の谷筋に向かうルートを発見。先まで行って調べてみると、明らかに人の歩いた跡があり、登山道らしき気配が漂うのでトクチンに「行ってみるか」と尋ねると不安そう。そこで、安全策を取って、ゲレンデから主稜線に乗越て、そこからブンゲンを目指す方針にする。

黄色の線に沿って登り、フェンスの向こう側を歩いていくと、黄色矢印の所に丘の反対側に向かうルートを発見。歩いていくと、黒いホースと共に谷筋へ。間違いなさそうだが…。
先ほど、さきもりちゃん(我が家のDefender90)で登ったゲレンデを歩くが、登山道と比べると思いのほかゲレンデ歩きは辛い。登って行く方向が丸見え過ぎて景色の変化がないし、登山道のように九十九折になっていないので、最大傾斜線に向けて登ると距離は短いが、斜度はきつい。ディフェンダーのタフさを思い知るが、人間の方がより激しい道を行けるはずなので負けてはいられない。トクチンと二人でじわじわと登る。変更した登山予定では、グランスノー奥伊吹のゲレンデマップに従って説明するとファミリーゲレンデ、バラダイスゲレンデ、チャレンジコース、天狗岩コースと上がり、1250mの地点まで行けば、尾根筋の登山道に合流するだろうという魂胆だ。チャレンジコースを登りきったところで、二人とも腹がすきすぎたので、昼飯タイムに!ここはオフロード走行での折り返し点でもある。昼飯の準備をしていると、下から、ディフェンダーたちが隊列を組んでやってきた。そして、チャレンジコースの30度弱のゲレンデ(ここはしっかりした道があって、ぬかるんでいるわけではないので登るのも降りるのも簡単だ!)を登り、目の前を通り過ぎて方向転換し、再び降りて行った。家族で乗っている組が多く、降下するときは一瞬目の前のルートが見えなくなるので、車内からは「キャーッ」という悲鳴にも近い歓声が沸き起こっていた。こちらも応援がてら手を振ると、車内の子供たちは元気よく手を振り返してくれた(大人たちは手を振ってくれなかったけど!)

チャレンジコースのヒルクライムを頑張るディフェンダー。

チャレンジコース上部の広場で方向転換し、今度はクライムダウンしていく。

我々は写真の白色のリフト小屋のあたりで昼飯を食べた。

トクチンは唐揚げ弁当、僕はレトルトカレーをレトルトご飯に掛けて!
昼飯後は、天狗岩コースをひたすら登る。上部は斜度を増すので、かなりきつい。途中、大きな岩がコース脇に現れるがこれが天狗岩なのだろうか。汗だくになりながら登りきると、稜線上にトレイルを発見。右に折れて20分くらいでブンゲン山頂にたどり着いた。頂上からの見晴らしは良く、南は伊吹山、北(北北東)は貝月山(1234m)などの徳山方面の山々が見渡せる。しかし、大量の虫がブンブン飛び回り落ち着かないので早々にもと来た道を戻り、先ほどのスキー場合流点も直進し、旧スキー場経由で日の出山を目指す。日の出山から先はオフロード走行で我がさきもりちゃん(Defender90)と走ったダイナミックコースを下るが、斜度がきつく制動かけながら降りるのは一苦労。人間ヒルディセントコントロールをオンにしたはずが、疲れもたまって途中からは走り出してしまい、やや暴走気味にゲレンデを駆け降りる結果になった。

中央の岩が天狗岩?クライミングしてみようと取り付くが、僕の実力では無理だった。

天狗岩コース上部から振り返る。センターハウスがはるか下に見え、正面は金糞山だ。

天狗岩コース上部から見た、ブンゲン山頂(黄色矢印)。もうすぐのところだね。

リフトの終点駅からの眺め。青矢印が金糞山(1317m)、黄色矢印は昼飯を食べたところ。

天狗岩コースのリフト終点から少し登ったところで縦走路に出会った。右方向に進む。

青矢印が伊吹山(1377m)と黄色矢印がブンゲン(1255m)、その間に虎子山(1183m)が見える。

ブンゲン山頂。中さん曰く、「写真中央に初老の筋肉妖精がいるぞ!」らしい。

ブンゲンから県境尾根を戻る。ササもきれいに駆られている。

日の出山(黄色矢印)が見える。途中に天狗岩コースへの分岐があるが、帰路は直進。

天狗岩コース分岐から日の出山まではブナの森で、歩いていて気持ちが良い。

旧スキー場跡に向かって降る

旧スキー場手前で沢と合流

旧スキー場ゲレンデを下る

当時、多くのスキーヤーを運んだであろうリフトの支柱が、もの悲しく、錆び付き、取り残されていた。

リフト乗り場。ワイヤーが残置され、油のにおいが漂っていた。廃墟マニアにはたまらない一品ではないだろうか。

朝、ディフェンダーで降って登ったダイナミックコースを今度は歩いて降る。これがかなりきついのだ。ディフェンダー恐るべし!

グランスノー奥伊吹の駐車場の脇でコーヒータイム。真ん中には、我がさきもりちゃん(Defender90)の可愛い姿が!
登山が終わり、グランスノーの駐車場脇でCafe Lagrangeをオープンし、コーヒーを入れていると、向こうからランドローバー京都のDさんがやってきて、しばし話し込む。今日のオフロード走行のこと、ディフェンダー90のこと、昔乗っていた四駆のこと(Dさんはテラノ、僕はパジェロ)やこれまでの自動車遍歴、更に極めつけはDさんの若き頃の話とそれらの写真群。これは刺激的だったなあ。とても貴重な写真なので、Dさんのお客さんになって親しくなった暁には是非とも見せてもらうといいのでは。それにしても、奥伊吹でのオフロードイベントは二回目の参加だが、毎回楽しく時間を過ごすことが出来て申し分ない。スタッフの方々はオフロード走行の楽しさを味わってもらおうと必死でサポートしてくれるから、我々参加者はオフロード走行の楽しさに集中できるわけだ。欲を言うと、今度はちょっと中級な、スタック前提の厳しめのオフロード走行会なんていうのがあると刺激的かなあと思ったりして。
とても素敵な思い出とともに、奥伊吹を後にして、関ケ原、養老、海津、…といつもと少しルートを変えて名古屋に戻るのであった。さきもりちゃんのタイヤやマッドフラップは泥だらけで、ディフェンダーのあるべき姿がそこにはあっただろう。
コメント