ディフェンダーをオーダーした後、納車されるまでの長い日々、やることは未来のディフェンダーライフに向けてネット上でいろいろな情報を集めることに執念を燃やすことだった。そんなある日、ランドローバーのホームページを久しぶりに覗いてみて驚愕の事実を知ることになる。なんと、半導体不足により、給油口の蓋のロック機能が装着されないとある。それも、このロック機能の欠落はランドローバーの全車種におよんでいるらしい。ロック機能がないということは誰でも簡単に給油口の蓋を開けることができるわけで、異物混入されたり、それこそ、マッチでシュッとかされてドッカーンなんてなったら泣くに泣けないよねえー!早速、我がさきもり君の信頼あつきディラーのM田氏に連絡してみると、「納車時にオーナーさんには説明していますが、皆さんそんなに気にしていないですねー。メーカーの方もこれに関しては対応する気はないようです」という返事。「そんなものかなあー」と一時は納得するも、やっぱり不安感は拭えない。まあ、止まっている車の給油口を開けて異物混入してやろうなんて今まで考えたことはなかったけど、それは給油口はロックされているものという前提があったからではないだろうか。その当然の前提がないというのは、やっぱり納得がいかない。「お前の車、給油口ロックできないだって!」とかいじめられたら泣いてしまうかもしれない。
ランドローバージャパンが対応しないのであれば、ディーラーに言ってもただ困らせてしまうだけなので、このような時はランドローバーオーナーの駆け込み寺と言われているレイブリックが名古屋にあるではないか。ということで、早速、レイブリックにお邪魔させてもらうと、真野さんが丁寧に話を聞いてくれて、「そうなんですよー。いくら半導体が不足しているからと言って、給油口のロックを省くとは…」と真野さんも釈然としない状態。とにかく進展があったら連絡をくれるということになった。

初めてのレイブリック。ピット内では旧型ディフェンダーが整備を受けていた。

中に入ると、お洒落な店内が。コーヒーを頂いて、作業内容の説明をして頂いた。

一か月後(我がさきもり君の納車の一か月ほど前)、真野さんから連絡が入り、「ディフェンダーにはロック機能は備わっているがECUの問題でロックをかけられないみたいです(ロック機能自体がないわけではなく、そこに電流が流れないので作動しない状態)。回路を解析して外部スイッチでロックソレノイドを動かすところまで試作品は成功しているので、給油口のロックはできるようになります」とのこと。早速、さきもりちゃんのディーラーのM田氏に報告すると、M田氏もたいそう喜んでくれた。家で、「おいはレイブリックとランドローバー京都を橋渡ししているぜよ。あたかも、薩長同盟を成立させた坂本龍馬みたいなもんぜよ。ディフェンダーの未来は明るいぜよーッ!」と叫んでいたら、家族はあきれ顔で「呑気なもんね!」と妻の一言で一蹴されてしまった。

ピット内の様子はこんな感じ。これはオイル交換をしているときの様子。手前はディスカバリーが車検点検を受けていた。ここにくるとあらゆる世代のランドローバー車を眺めることが出来るので、目の保養になるよ。

10月の下旬に我がさきもりちゃんが納車れて、その二か月後の2023年1月10日、給油口のロック機能が備わって、かつ、オイルとエレメントもかえてもらって(納車からちょうど5000㎞走行)ご機嫌なさきもりちゃんの雄姿がこれです。
結局、給油口のロック機能は車のキーによるドアロック開閉と連動してできるようになった。ディーラーのコンピューターはドアロックに関連したレーン(回路上)に異物があることを認識してしまうため、ドアロックに関連したモジュールなどを交換する際にはコネクターを外して無効化する必要があるらしいのだが、わかりやすい位置にコネクターは配置してあるようだ。このことは、ディーラーのサービスにも一言伝えておいた方がよいかもしれない。現在の車は、同じ部品を他の同車種から持ってきて取り付けると、コンピューターが異物と認識してしまうらしい。あたかも、臓器移植をすると拒絶反応をする人間と同じで、その拒絶反応をなくすために、無効化するコネクターをわかりやすい位置に配置したということのようなのだ。作業時間は半日くらい。値段は38000円。要予約。ディラーの営業さんに言えば(ランドローバー京都なら前田さん)わかる人もいるかもしれないけど、これはランドローバージャパンがやってくれているわけではないので、よくわからなかったらレイブリックさんに直接相談する方がよいだろう。本来は、ランドローバージャパンが対応保証してくれても良さそうな案件なだけに、そのようなしりぬぐい的な作業をレイブリック、大阪のランドローバー堺と電装屋さんが協力してやってくれたことに本当に感謝。まさに、レイブリックはランドローバーオーナーの駆け込み寺だ。
《追記》2024年11月28日にランドローバー京都に立ち寄って話したとき、
「2024年からはロック機能も回復し、通常状態に戻りました」
とM田さんが言っていた。

2024年11月28日にランドローバー京都に通勤途中に立ち寄ってみると、アイガーグレイの110ディフェンダーがオプションてんこ盛りで出迎えてくれた。ショールームの雰囲気とマッチしていてカッコいい!
コロナ過は収束したが、未だに半導体不足は続いているようだ。自動車産業、通信、家電業界などが競って半導体確保に動いた影響で、価格が上昇し、それが車の価格も押し上げた。細かいメカニズムはわからないけど、あらゆる原材料価格も上昇した。当初、ランドローバーはダウングレードすることで(給油口のロック機能、サングラスホルダー、センターコンソールのトレイ、…etc のカット)価格維持を行っていたが(それでも徐々に値上げされていた。防人が購入したディフェンダー90スタンダードの価格の大まかな推移は当初499万円⇒520万円⇒560万円〈この時点で契約〉⇒590万円〈契約後一週間で価格上昇!結局この597万円の価格で購入することになった〉)、最近は高級SUV方向に舵を切り、お値打ちのスタンダードクラスを廃止、上級機種をメインとして、V8などのハイパワーエンジンが搭載された超高級ディフェンダーとかが市場に投入されているところを見ると、ある一定の裕福層(年収2000万円以上かな)にターゲットを絞ったという感じがする。防人は裕福層ではないので、何だか肩身が狭いが、だからこそ、スタンダードディフェンダー90(さきもりちゃん)を可能な限り長く乗っていきたいと思っているのである。しかし、前途は多難だ。車検だって日本車の感覚ではなく、初回車検から30~50万円、油の値段の上昇からオイル交換代も馬鹿にならない(ディーラーでやると3~4万円)。バッテリーも2~3年ごとに交換の必要性がありこれが値上がりしていて10万円以上。フロントガラス損傷に伴うガラス交換は40万円以上、エンジン深層部のガスケット(要はゴムパッキン)交換が40万円(エンジンをバラさないといけないから、交換部品自体はチープだけど工賃が馬鹿にならないのだ)、電装系のトラブルでもウン十万円、冬タイヤ(ホィール含む)購入が40万円以上~(ちなみに、防人はてんぷらさんのおかげで8万円で購入)…となるわけで、これらはガソリン代や重量税とは全く別な話なのである。ここに自動車カスタムなどの趣味が加わると、5万円~無限となる。まあ、趣味の車はお金がかかるということらしい。アストンマーチンなどは故障ごとに100万円単位でお金が飛んでいくらしいので、それに比べたら安いということかもしれないが・・・。
このように高級SUVメーカーの道を邁進するランドローバー社だが、今後は原点に立ち返って、ワークホースとしてのディフェンダー、お値打ちディフェンダーも復活してもらいたいものである。まあ、600万円(!?これをお値打ちと言っていいかわからないけど)くらいの簡素なディフェンダーで、その後はオーナー自らの手で、サングラスホルダーとか、センターコンソールとか、給油口のロック機能とか、バッテリー交換とか…、を徐々にカスタムしながら日頃のメンテナンスもディーラー任せにせず楽しめるDIYディフェンダーなるグレード(”DIYグレード”とかのネーミングにして)があっても面白いのではないかと思われるのだがどうだろうか!そして、このグレードのオーナーにはDIYディフェンダークラブなるカードが発行され、その提示の元、ディーラーのピットを予約使用でき、自分でタイヤ交換とかオイル交換をサービスの人と同じつなぎを着て油まみれになって作業できるなんて特典がついてきたら良いのにと思ってしまうのは僕だけか。そうすると、DIYディフェンダークラブは裕福層から”貧乏クラブ”とか揶揄されるかもしれないけど。まあ、そうは言ってもワークホースディフェンダーを長きにわたり生産してきたランドローバー社としては、庶民を置き去りにしないで欲しいと思ってしまう今日この頃なのである。