1935年にアルベルト・アインシュタインとネイサン・ローゼンは重力場についてのアインシュタイン方程式
\[R_{\mu \nu}-\frac{1}{2}g_{\mu \nu}R=\frac{8\pi G}{c^4}T_{\mu \nu}\]
のシュバルツシルト解を研究していた時、ブラックホールとホワイトホールを結ぶ懸け橋、すなわち『アインシュタイン・ローゼンの橋』を発見する。これはある時空の入り口(ブラックホール)から入ると、この橋(時空トンネル)を渡って別の時空の出口(ホワイトホール)に抜け出ることを意味していた。つまり、時空のショートカットルート、または、一種のワープ航法の存在が示唆されたのだった。その後、ジョン・ホィラーによる『幾何学的動力学』の研究などによりこのアインシュタイン・ローゼンの理論は大きく発展し、この架け橋は『ワームホール』と呼ばれるようになった。これらのブラックホール、ホワイトホール、ワームホールは存在していも物理理論上は矛盾を生じないというものであるが、現在において、ブラックホールは観測的証拠があるが、ホワイトホール、ワームホールの観測的証拠を示すものは何一つ発見されていない。
実は5月18日は、兵庫の千種川周辺のスキー場で八光自動車主催のオフロード走行会があったのだ。ランドローバー京都のN美さんから「走りに来たついでに千種川で釣りとかどうですか!」と誘われていて、調べてみると千種川はアマゴが有名の川とのこと。その”つり”というワードに過敏に反応して釣れてきたのが中さんで、彼はオフロード走行なんて興味はないのだが、釣が出来るとなれば話は別らしい。早速二名(二台)で申し込みしてみたところ、すでに満員状態であった。N美さんから話をもらって、二週間以上経ってからだったのがいけなかったか。それにしても、ディフェンダー人気は相変わらずすごいもんだ。オフロード走行会という大義を失った我々は、しかし、釣と言う一番大事かもしれない大義だけは温存され続けているわけで、「だったら、岐阜県という渓流釣りのメッカに詣でることにしようや」ということになり、二人で検討したところ岐阜県の荘川村を流れる庄川に目標を定めたのだった。集合場所は荘川インター降りてすぐの『道の駅 桜の郷 荘川』(”荘川(しょうかわ)”と”庄川(しょうかわ)”が混在して紛らわしいが、”荘川”地区を流れている川が”庄川”だ)、集合時間は「朝9時、10時くらいののんびりタイムでいいのでは!」と言う防人案に対して、「ピリッと8時に集合し、攻めの姿勢で一日過ごそう」という中さん案が通った形になった。
18日の早朝5時、名古屋の家を出発した防人は順調に下道ドライブを楽しみながら犬山、美濃加茂、美濃市を越え、長良川沿いの国道156号を北上する。6時頃、156号沿いのディリーヤマザキに立ち寄った時に、Lineの着信があることに気が付き、開いてみると、
「スマンッ、寝坊した。今京都を出発した」
とあるではないか。「仕事を寝坊するならまだしも、大事な釣りを寝坊するとは何たるチアッ!」と思ったが、ここは冷静に時空構造的に考えてみた。京都から荘川までは4時間弱くらいだろうから、彼が荘川に到着するのは恐らく10時少し前くらいだろう。防人はこのまま順調にいけば8時到着は間違いない。であるなら、二時間弱は一人で余分に釣りを楽しむことが出来る訳で、その間に尺ヤマメとかサクラマスを釣り上げて中さん到着の折には自慢節さく裂状態で出迎えるのが良いという結論に到達した。さきもりちゃんと共に、郡上八幡、郡上白鳥、そして分水嶺のひるがの高原を越えて、予定の8時少し前には道の駅 桜の郷 荘川に到着した。川の様子を見ようとさきもりちゃんから出て川に向けて歩き始めようとしたちょうどその時、背後からクラクションを鳴らされた。
「誰だッ!防人様に背後からクラクションを鳴らす不届きな奴は?」
と思い、振り返ると、そこにはレンジローバーが!窓が開いて、中さんが顔を出して
「よーッ!防人ッ」
と涼しい顔である。こちらは慌てふためいて、
「到着は10時ごろのはずでは?何故にお主がこの時間にここにおるのだ?」
との防人の問いかけに、
「あそこのワームホールを通って来たんだよ」
とレンジローバー後方のピンクの扉を指さした。ムムムッ、ワームホール(別名、”ドラえもんのどこでもドア―”といったりもする)はあくまで理論上の産物と思っていたが、まさか、こんなところにあったとは…!?

こッ、コレがッワームホールへの入り口かッ!こんなところに京都につながるワームホールがあったとは。ドアの幅がレンジローバーよりかなり狭いことが気になることではあるが、まあ、重力のために時空構造がぐちゃぐちゃなんだろうねえー。

恐る恐る扉を開けて、中に入ると…、確かに、京都金閣寺、舞子さん、八坂神社やランドローバー京都のショールームが目の当たりに…?「M田君、営業活動元気にやっとるかぁー!」?

結局8時にはレンジローバーとディフェンダーが"道の駅 桜の郷 荘川"に揃ったのだった。世の中には不思議なこともあるものだ。

結局、こうやって朝9時には中さんと渓流を釣り歩くことになったのだ。新緑が美しい庄川の流れに童心に帰る二人のおじさん。

この日最初のイワナ君が防人の毛バリに食いついてきた。

同様に中さんにも最初のお魚さんが釣れてきた。

お魚さんも釣れたので、落ち着いた気持ちで昼飯の準備に入れることに。防人はドライビング、フィッシング、そしてクッキングが趣味だ。特に自然の中でのクッキングはたまらないね。

今シーズンは中さんと釣りに行くことが多いので、防人の写真も増え、ブログに現れる回数も増えてくる。この写真はチャーハンを炒めているときの姿。今日は、チャーシュー、コーン、玉ねぎ入りの醤油味チャーハンだ。

写真奥に見える橋の前後で釣れてきたイワナは、どれも尾びれがボロボロであった。それなのに、引きは強かったのはどういうことだろう。この写真で釣れてきたイワナの尾びれを拡大したのが以下の写真である。

これですよ。ほとんど尾びれがないッ!魚は尾びれを左右に振って水を押しのけ、これが魚が水中を泳ぐための主要な推進力となるはず。その大事な尾びれがないのに、手ごたえはなかなか強烈なのだ。一体、この橋の前後のイワナ達には何が起こっているのだろう?

この場所では随分と楽しめた。中さんが写真右側を、防人が左側を攻めたのだが、写真の黄色丸でイワナが、黄緑色丸ではヤマメが釣れてきた。庄川は日本海にそそぐ川なのでヤマメとなるが、漁協の放流でアマゴが釣れることもあるらしい。

上記写真の黄色丸で釣れてきたイワナ君。尾びれもしっかりと成長していて、かわいい姿だ。それにしても、あの橋の前後のイワナ達は何故に尾びれがボロボロだったのだろうか?

黄緑色丸のポイントで釣れてきた幅広の美しいヤマメさん。アマゴは朱点があり、太平洋に注ぐ川に生息、ヤマメは朱点なく、日本海側に注ぐ川と東北地方に生息。
この荘川村の庄川には道路が沿っていて、入渓しやすく、釣り人は極めて多い。今回我々が入ったところも場所ムラもあり、簡単な釣りをさせてもらえなかった。リーダーもロングリーダーにしてナチュラルドリフト(毛バリを川の流れに自然に流すこと)をさせないとなかなか飛び出してくれなかった。しかし、場所にうまくハマるといたるところでやる気のあるイワナやヤマメが飛び出してくれて、とても楽しくワクワクする一日を過ごすことが出来たのだった。明日から仕事頑張るぞぉー!

帰りももちろん下道である。ひるがの高原の分水嶺公園でトイレをすまし、名古屋へ向けてのドライビングにワクワクする。ちなみに、このひるがのから愛知の犬山まで(ほぼ100㎞の道のり)、リッター17.2㎞で走り抜けたのだ。まあ、下り坂とはいえ大したものだと思いませんか?結局、今回の釣行での往復、街中、すべて含めてリッター11.6㎞であった。
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