三月の初めのこの五日間の実家の片付け、その後の奥さんの両親との温泉旅、それ以外の日も何らかの用事が入り、休む間もなく過ごしていたら、微熱が出だしヘルペスの症状を併発してしまった防人である。3月中旬以降は仕事を休むわけにもいかず、体調も悪く現在最悪の状況が進行中である。自分としてはまだまだ20代のつもりなのだが、体の方は騙せないということか。
甲府に泊まる時、最近はルートインコート甲府に泊まることに心地よさを感じている。それは、朝食が充実していることと、お風呂に入ることもできる(客室の狭い風呂ではなくて)からである。しかし、今回、初日のピアノの分解で消耗してしまった体は、部屋にたどり着いてシャワーした途端、バタンキューとなり、気が付いたら朝の6時になっていた。準備をして、朝食を食べ、6時50分には実家へGO!

ほらッ!しっかりバランスよく朝食が取れるでしょ。ここでしっかり食べておいて、昼は缶コーヒーくらいで胡麻化して、ひたすら片付け作業に集中するのである。
今日は、昨日知り合ったリサイクルの早川さん達が紹介してくれた、『古物買入 京都小道具 山本 Line ざいや山本』が来てくれて、骨董を中心に持って行ってくれるようなのだ。そのため、7時ちょっと過ぎに実家に入り、骨董関係を中心に下の家のダイニング、リビングに集め、運び出しやすいようにした。また、上の家にもまだまだ本が1000冊ほどあったので、それもなるべく運び出しやすいように準備を施す。9時少し前、山本社長と二人の社員さんが到着。社長さんと挨拶を交わし、ざっと家の中を案内すると、
「この辺の家具や机、椅子、ごみの袋なんかも全部うちのトラックに積めるだけ積んでいきます」
「エ”ッ、ゴミも…!」
「我が社に持って帰って分別しますから」
「ハァー!ありがとうございます。アッ!それと、上の家に分解したピアノがあるんですけど、僕とリサイクルの早川おじいちゃんとだと、運び降ろせなくて困っているんですよねぇー。対応してくれる業者とか知りませんかね!」と防人が言うと、
「うちに力自慢が一人いるから、今から呼びましょう。彼と合わせてみんなで運べば何とかなるでしょう」
「ホッ、ホ、ホ、本当ですか。感謝カンゲキ雨嵐ですぅ―」
そこで、防人は三階のピアノ部屋に入り、押し入れにある大量の布団の中から、毛布をピアノ下部の板と金属が接合されている部分に巻き付けとれないようにした。また、シーツを上部の金属部分に巻き付け壁紙とかを傷つけないように入念に準備を進めた。しばらくすると、社長から力自慢が到着したと告げられたので、床、階段に残りの布団を敷き詰めて、その上をソリ🛷のように滑らして降ろしていこうということになった。階段は僕が下側になり、力自慢の社員さんが上側、サイドを他の社員さん二人、後、やや遅れて到着したリサイクルの早川さん達がフォローする形で移動を開始した。階段をゆっくりゆっくり降ろしていく。一歩一歩慎重に。そして、核心部分の階段の屈曲部分に差し掛かる。ここで、少しスピードが付き過ぎたので、上側の力自慢社員さんの手が離れ、一瞬、防人だけが下側から支える状態になってしまった。
『ノォーッ、ワシはここで壁とピアノに挟まれて圧死するのか?』
一瞬、走馬灯のようにさきもりちゃんを買ってから現在までの記憶が頭を流れ去る。
『ピアノの \(mg\sin\theta\) が俺様にすべて掛かってくるぅー。この階段の\(\theta\)はいったい何度なんだぁー?』
なんて思っていると、周囲が体勢を立て直して再び保持してくれたので、圧死せずに済んだ。危ないアブナイ。その後の、外階段はそのまま巻き付けた毛布のみで無事降ろすことが出来た。業者に頼んだとすると、7万~15万円かかったところが、命の危険(圧死)と引き換えに、多くの人との力添えのおかげで4000円(バールとハンマー代)で済んでしまったのだ。有難い限りだ。その後、山本さん達は家具だの、ゴミだのどんどん車に積めるだけ積んで、二回にわたり合計6台のトラックで物品を持って行ってくれたのだ。もし、山本社長(非金属大好き)との出会い、と言うことはリサイクルの早川さん達(金属大好き)との出会いが無かったら、未だ家の片付けは遅々として進まず、一体どうなっていたことだろう。本当に色々な人に助けられている実家の片付けである。山本社長に、
「今回の料金は!」
と話しかけたとき、彼はおもむろに封筒を出して、3万円をこちらに渡してきたのだ。あまりに驚いて、言葉を失っていたが、どうにか気を取り直して、
「いやいや、こちらがゴミとして処分しようと思っていた家具や本当のゴミ、更にはピアノの運び出しもやって頂いたのですから、こちらがお金を払うのべきであって…」というこちらの発言を遮り、社長は
「これは骨董の引き取り代です。こちらが頂きに上がっているのですから」
ときっぱりと言い切ったのだ。あまりの感動に最敬礼して山本さん達を見送ったのだった。

骨董屋山本の社長さんが、力自慢を呼び寄せてくれて、みんなで協力して三階から一階の階段下までピアノの核心部分を運び降ろすことが出来ました。本当に山本社長ありがとうございました。この日は、朝から激しめの雨の中、実家に残る最後の骨董や本、更にはテーブルや棚などをどんどん運び出してくれた。

昨日は専門外のピアノの分解を手伝わせてしまって、汗だくにさせてしまったリサイクルの早川さん達(鉄や希少金属が大好きなおじいちゃん達二人)だが、今日は専門のクーラーの取り外しで、極めて手際が良い。更には、洗濯機、冷蔵庫、電気製品全般の運び出しもお任せした。流石プロですな。

クーラー、冷蔵庫、洗濯機などの家電はリサイクル券を郵便局で発行してもらって、それをおじいちゃんたちに渡す。例えば、冷蔵庫なら170ℓ以下以上かで払うお金が異なる。後は、会社名をきちんと調べておくべし。このリサイクル券だけ購入して、それをおじいちゃん達に渡せば、それ以外は無料で運び出してくれた。これを電気屋さんに頼もうものなら、搬送費用とか一人当たりの日当とか色々請求されかなり余分なお金が飛び出していくことだろう。

午前中から午後にかけて、骨董の山本さん達、リサイクルの早川さん達の運び出して、かなり家の中はスッキリしてきた。特に上の家の一階、二階ともにほとんどの物品がなくなり、いよいよ仕上げの段階となった。気をよくして、下の家のダイニングに来た時、床下収納があることに気が付き、開けてみると…!下の家の片付けは大量のジャムに始まり、ジャムに終わるのか?(釣りは鮒に始まり鮒に終わるというが…!)

この日の朝はこの場所(下の家のダイニングとリビング)に所狭しとオヤジの骨董や本などが積み上げられていた。それらを京都小道具山本(ざいや山本)さん達がどんどんトラックに積んで運んで行ってくれてかなりすっきりしたのだ。ガッ・・・、床下収納からはあの忌まわしいジャムがまたしても行く手を阻んできた。それ以外の家具は、バールで分解して、外の階段下(そこにはピアノも置いてある)に山盛りに積み上げたのだった。
リサイクルの早川さん達も、クーラーの取り外しを行った後、別件でこの場所を離れることになったが、帰りがけに
「これから毎日作業に来ますので」
と言っていた。二日目の段階で、かなりの物品が家の中から運び出され、目途が立ってきた。後は、8棟ある倉庫の中身。それと、階段下に山盛りになっている家具の残骸の運搬だ。それは、明日、再びカースレンタカーで2トントラックを借りて、若手の不動産プロのK澤君と二人でガンガン運ぶつもりだ。ただ、明日は夕方から甲府は大雪警報が出ている。なるべく早め早めに行動しなくてはいけないだろうなあ。大戸屋で晩ご飯を食べて、宿屋に帰ったのは夜の8時過ぎだった。
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